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パリは燃えているか?

「Dデー」60周年、仏・ノルマンディーで式典  第二次大戦の勝敗を決した連合軍のノルマンディー上陸作戦決行日「Dデー」から60周年にあたる6日、フランス・ノルマンディー海岸に16か国の元首、首脳や退役軍人ら約6000人が集い、一連の記念式典が行われた。 6月6日付 読売新聞より

 今日、6月6日は「史上最大の作戦」で知られるノルマンディー上陸作戦が行われた日。60年前の今日から連合国軍の反撃が始まり、パリ解放、そして第二次大戦終結へと転換することになった。
 60年前紛争といえば国家間のものだったのが、今はアルカイダに象徴されるテロリスト集団との戦い。いやテロリストに限らず、テロリスト掃討の名の下にブルトーザーで家をつぶすという、テロと変らない事をしている国もある。この世の争いは、どこかの国の大統領がいうような「善悪との対決」といった単純なものでは決してない。それは今だけでなく、60年前も...

 標題の「パリは燃えているか?」とは、ドイツが4年間占領していたパリに連合国軍に侵攻を受けていることを聞いた際のヒトラーの言葉。ヒトラーは「パリを失うものはフランスを失う」という史実から、「パリは絶対に死守せよ! 仮にパリを奪われる時には瓦礫の山と化していなければならない」と、連合国の侵攻の時には、パリの橋梁から発電施設、電話局、そしてエッフェル塔に至るまで爆破するよう命令を下していた。

 本書はパリの危機をめぐる模様をドイツ側、パリ市内のレジスタンス、シャルル・ドゴール将軍率いるフランス軍、そして連合国軍の様々な人々のインタビュー、アンケート並びに調査によって書き上げられたノンフィクションです。
 当初、連合国軍はパリを先に開放した場合の物資補給を鑑み、パリを迂回するルートでドイツに攻め入る作戦でした。しかしドイツ軍占領下のパリにおける市民の不満は爆発寸前、レジスタンスは一斉蜂起を検討していた。しかし仮に一斉蜂起してもすぐ殲滅されてしまい、逆にワルシャワのような悲劇を招きかねない。レジスタンスの中でも共産主義者、ドゴール将軍派が解放後の主導権を睨んで対決していて一枚岩ではなかった。
 一方でドイツ軍のパリ総司令官はジレンマに陥っていた。レジスタンスの動きは不穏であるし、連合国軍の動きも気になる。このままではパリを爆破せねばならぬ。総統の命令は絶対であるし、疑念の余地はない。しかし、この美しい街を破壊しつくすということは、取り返しのつかないことになりかねない。

 このような多方面から見たパリ開放は、非常にドラマチックで面白かったです。印象的なのは、「三色旗」と「ラ・マルセイユーズ」、いかにフランスの人たちが国を愛し誇りに思って国旗と国家を大切にしているのかがわかります。そういえば映画、カサブランカの1シーンでもそのようなシーンがありましたね。面白いと言ったけど、難点を一つ。登場人物が多すぎて名前がよく覚えられません。通常の小説等だと名前が出てこない通りすがりの人まで名前を載せているので、誰が誰だが良くわからないところがあります。外国小説の登場人物の名前を覚えられない人にはちょっと読み終えるのが難しいと思います(笑)

パリは燃えているか 上  
パリは燃えているか 下 

ドミニク・ラピエール
ラリー・コリンズ    共著
志摩 隆 訳
ジャンル ノンフィクション
発行 早川書房 ハヤカワ文庫
文庫版 369ページ/369ページ
価格 652円


 
 

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2004年06月06日 21:44に投稿されたエントリのページです。

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