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天才数学者、株にハマる


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 株価って予測はつかないし、でも旨いことやって儲かればいいけど下手すりゃ大やけど。
そもそも株って自分が儲けているときは誰かが損をしている訳ですよね。逆もしかり。

 だからこそ、株をやっている人、やってみたい人、そしてもちろん手も出したくない人、いろんな人がいる訳です。

でも、絶対に上がる株が数学的に解析できて、事前に分かれば...

もちろん、そんなうまい話がある訳ありません。

 この本はちょっと前のアメリカにおけるインターネットバブル(いわゆるIT企業のバブル)に踊ってしまった数学者である著者が、自嘲気味にその体験談(いわずと知れたワールドコム、そういやーマンホールの写真もとったなぁ)と絡めて株の世界を数学的見方から解説しているものです。

 株をかじったことがある人ならご存知だとは思いますが、株の世界にはなんとかして儲けるためのうまい方式を見つけるべく、様々な公式があります。
 大きくテクニカル分析とファンダメンタル分析の二つ。
テクニカル分析はその株価の値動きを数式で解析して買い時と売り時を見つけるもの。ファンダメンタル分析は色んな株の株価を分析し、割安株などを見つける手法です。
 それらの様々な手法について、果たして有効なものなのかを数学的見地から検討しています。なかなか小難しいそれらの手法を、極力わかりやすく説明しているのですが...やっぱり難しいです(笑)。一応、理数系と思っている私ですが、数式自体あまり理解できてません(笑)。
その辺りは申し訳ないけど飛ばしちゃいました。でも、ところどころに挟み込まれている例え話が結構面白くて最後まで読めました(途中何度か放り出そうとしてたけど)。

 肝心なのは著者自身、大損こいていること。
うまい話がそんなに転がっているわけありません。株式市場が数学的に正しく効率的であれば、ピッと式に数値を入れれば何時買って、何時売るってわかるんでしょうけど、そこに人間の欲と思惑が絡むとその式が役に立たなくなります。本の中にこんな例えがありました。

人を集めて0から100の間の数字を言ってもらう。
そしてその数字の平均値の80%の数字を言った人に賞金を上げるとします。
その時あなたはどういう数字を答えますか?
平均は50だろうから、自分は40と答えます?
いやそう考える人が多いはずだから、平均が40で32ですかね?

 思惑がからむと、もう数式はどうなるかわかりません。

 しかし、うまいタイトルですね。株をやっている人にはも儲けるためのハウツー本に見えるし(そうでなけど)、エッセイ好きには面白そうな本に見える(その実は株をネタにした数学本です)。

天才数学者、株にハマる


著者 ジョン・アレン・パウロス
訳者  望月 衛, 林 康史
ジャンル エッセイ
出版社 ダイヤモンド社
四六判 264ページ
価格 1,890円

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2004年10月10日 08:49に投稿されたエントリのページです。

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