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もし僕らのことばがウィスキーであったのなら/村上春樹

 2年前のBLOGを書き始めた頃から、いやもっとその前から、簡潔だけど奥行きのある文章が書けたらなぁと思ってました。 難しい漢字、難解な言い回し、そんなことしなくても伝えたいことをきちっと伝えられる文章って書けたら素晴らしいですよね。

 いや文章に限りません。普段しゃべっている言葉だって、自分の思いを100%伝えられているとは思えません。表情や身振りで補っても、半分も想いが伝わらないことが多々あります。

 でも面と向かって話をしても思いを伝えるのは難しいのに、シンプルでも思いのこもった奥行きの深い文章を書ける人たちがいます。村上春樹さんの文章はそんなひとりだと思います(中にはよく分からない話もありますし、ひょっとして私が根本的に理解を誤っている場合もあるかもしれませんが...)

 その村上春樹さんがスコットランドとアイルランドを旅して、その風景、そこに住む人たち、そしてスコッチウィスキーについて綴ったエッセイがこの本です。

もし僕らのことばがウィスキーであったのなら、もちろん、こんなに苦労することもなかったはずだ。僕は黙ってグラスを差し出し、あなたはそれを受け取って静かに喉に送り込む、それだけですんだはずだ。

 言葉以外にも思いを伝えられるものもあります。ウィスキーだって思いを伝えるものの一つですよね。造り手の思い、作った場所、そんなものがウィスキーを飲めば伝わることもあります。もちろん僕らの言葉はウィスキーじゃないので、言葉以上には伝わらないのだけれども...

 村上春樹さんが言葉を練り、思いを込めたこの本、は確かに「スコッチウィスキーの匂いのする小さな旅の本」に仕上がってます。言葉で足らないぶん、スコッチウィスキーを飲んで補う、そんな本です。それって単に酒飲みの口実かな(笑)

けれど...こんな文章が書けたならいいなぁ。

もし僕らのことばがウィスキーであったのなら

著 者  村上春樹
写 真  村上陽子
ジャンル エッセイ
出版社 平凡社
四六版 119ページ
価 格  1,470円

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» もし僕らのことばがウィスキーであったなら 送信元 半端人生
村上春樹著「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」を読んだ。 ウィスキーが好きで村上春樹が好きなので。 村上春樹がうまいウィスキーをめぐって、スコットランドとアイルランドを旅した紀行文みたいなもの。 奥様の撮られた写真と村上氏の極上の文章が楽し. [詳しくはこちら]

コメント (2)

Bake:

!かっこいい!
ただ、私はお酒が苦手なので、若干夢の世界です。
簡潔に書けばあらすじのよう、難しく書けば意味がわからず、
という文才のない私には、「かっこいい」と思わせる文など
これも夢のまた夢です(^^)

yomikaki:

Bakeさん、こんにちは。

ことばは”ウィスキー”じゃなくてもいいと思いますよ。たとえば、”まんじゅう”だったりケーキだったり...

でも、「もし僕らのことばがまんじゅうだったら」だと漫才っぽいかな?(笑)
こんなかっこいい文章が書けたらいいですよねぇ。

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2005年06月16日 07:20に投稿されたエントリのページです。

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