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2003年09月 アーカイブ

2003年09月15日

TUGUMI

吉本ばなな(最近、よしもとばなな に変えたらしいが)さんの本

 どうも、と売れてる作家ってなんだかそれに乗るのがやな感じがして、結構読まず嫌いだったりする。(売れてる時って「けっ!」って感じなんですよね) でもそういう作家の中でも、後で読んだエッセイやノンフィクションで気になり、そして気に入りの作家となることって多いんです。

 村上春樹の場合は、「アンダーグラウンド」(地下鉄サリン事件の被害者のインタビュー集)がきっかけ。その切り口、文章に「この人の小説ってどんな感じだろう?」って気を起こさせました。
この吉本ばななの場合、今は廃刊になってしまったSINRAって雑誌に、沖縄あたりの離島の旅行記が載っていて、いつか読んでみたいと思いました。

 今までなかなか縁遠く読んでませんでしたが、今回図書館で思い出し借りてきたのがこの「TUGUMI つぐみ」です。(単に忘れていただけという話も)
体が弱いけどそれを補うほど有り余るエネルギッシュな従妹のつぐみ。彼女が引き起こす一夏の騒動を、主人公の目を通してつづってます。一途な、でも場合によっては残虐なほど鋭いつぐみ。こんな娘周りにいたら大変だ。

PS.よくよく考えると、「世界の中心で、愛を叫ぶ」とおんなじ位、ありがちに感じるシュチエーション(でも実生活ではあまり聴かないだけどね)

TUGUMI つぐみ

吉本 ばなな 著
ジャンル 小説
中央公論社
234ページ
価格 1,030円
 

2003年09月20日

異国船漂着物語

 台風が来たあとなどに浜辺にでると様々なものが流れ着いてますよね。
見知らぬ文字のポリ容器や場合によっては椰子の実など。日本は島国でしかも海岸線が長いことから昔からいろんなものが流れついてきました。その中でも大きいのが船そのもの。しかも流れ着いた船の中に見られぬ格好をした人が乗ってたら...

 この本は江戸時代から明治初期にかけて、日本に漂着した異国船の話です。

 御宿に漂着したサン・フランシスコ号の場合、漂着時に村民総出で乗組員を助け、漂着した積荷はきちんと集めて返したことが感謝された。(当時の世界情勢の中では漂着物は拾った人のものとなるのが当たり前、下手すれば漂着した人は皆殺しで積荷を奪われるのが常識だったそうです) それが縁で御宿の町は約400年後の1978年にメキシコの大統領を迎えた...。

 大分に流れ着いたリーフデ号の場合、その船尾に飾られていたエラスムス(宗教改革の発端となった「痴愚神礼賛」を書いたオランダ人)の像が、その後栃木県佐野市で「アズキ砥ぎばばあ」として祭られた...。

などなど、全部で8隻の異国船の漂着時の記録とそれを発端とする騒動や近年の交流について書いた本です。

異国船漂着物語
難破船と、彼らを救った浜辺の住民たちとの交流秘話

著者 松島駿二郎
ジャンル ノンフィクション
出版 JTB
253ページ
1,500円

2003年09月22日

漂流記の魅力

 最近、この手の本ばっかりですが...
タイトルを見ると漂流記の魅力について解説した本のような気がしますが、どうしてこれは立派な漂流記そのものです。

 1793年に遭難し、ロシアに漂着した若宮丸の乗組員が10年後かけ、日本人として初めて世界を一周し帰国した様子を描いた物語です。ロシアに漂着というと、どうしても大黒屋光太夫の話が有名ですが、それにもおとらず苦節の日々を過ごしています。
若宮丸の場合はシベリアを横断してロシア皇帝に拝謁するまでは一緒ですが、大黒屋光太夫の場合と違い、そこから大西洋を横断。そして南アメリカ大陸のホーン岬を回って、太平洋に出てハワイ経由で日本に帰国します。まさに世界一周!

 鎖国を守ろうとする幕府と交易を迫るロシア。その交渉の道具としてロシア側に利用されて帰国することができたのですが、鎖国の妨げになってはと冷たい態度をとる幕府。その狭間で、せっかく日本に帰国したというのに、帰郷もできず出島から出れない若宮丸の乗組員。気を触れるものもでてしまいます。ようやく最後は帰郷することもできますが、その頃海外に出た日本人がどう扱われていたのかがよく分かります。

 非常に興味深い内容なのですが、もう少し詳しく読みたいと思ってしまいました。逆を言うと軽く読めます。

漂流記の魅力

吉村昭 著
新潮新書
191ページ
680円

2003年09月23日

貯金

 今朝の新聞に金融広報中央委員会なる団体が、調査した日本の平均貯蓄額が載っていた。
その額はなんと1,460万円!「ホントにぃ〜」って額でしょう。まあ調査自身当てになるものかわからないし、統計のマジックにマスコミ特有のあおりが加わっているのでしょう。

 毎年のことながらちょい気になったので、HPで調べてみました。
やっぱりね。平均は一部の世帯の貯蓄額に引っ張られて高くなっているみたいです。中央値なら850万円。でもそれでも多い気がするなぁ。
中央値ってメジアンですよね。昔、学校でメジアンとモードってやったけなぁ。
そうそうモード(最頻値)はどうなの?っと調べるとこれは400万位。やっぱそうだよな。それくらいなら納得できます。
ココ(pdf)の2ページ目(報告書の15ページ)の一番下を見ると回答した世帯の貯蓄の分布状況がわかります。

 やっぱり統計とマスコミは信用ならん。どうせなら生データ載っければいいのにね。

 しかし5,000万以上の貯蓄がある世帯(あくまで貯蓄ね、不動産じゃないよ)が150世帯もあるんですね。たかだか回答数が4,000世帯くらいしかないのに...ふぅーっ、あるトコにはあるんだ。

2003年09月24日

ニライカナイの空で

 主人公の進一は12歳。
 1963年、父親の破産でたった一人で父の戦友の九州の炭鉱町に預けられ、そこから始まる少年の冒険物語です。都会育ちだった進一が、炭鉱の町の子供たちや荒くれの大人にもまれ、逞しくなっていきます。

 いまどきの子供は塾にTVゲーム、ホントに外で遊ばなくなったようですが、今の子供ととそして悪ガキとどっちが良かったか。でも子供だけではないですね。預けられた先の父親は昔の頑固親父そのもの。すぐ鉄槌が下るような親ですが、愛情が深いからというのがいろいろなシーンから滲みでます。それに対し進一の父親はある意味今日的。

 始めの不安な出会いから、親友となった竹ちゃんとのヨットでの冒険、そしてラストの別れまで一気に読みました。 坪田譲治文学賞受賞作

ニライカナイの空で

上野哲也 著
ジャンル 小説
出版 講談社(講談社文庫)
317ページ
価格 619円

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