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言葉の力@<桜.BLOG>

 言葉の力。このタイトルを見てピンと来た人はどれだけいるでしょうか?
桜の時期、毎年のようにある話を思い出します。問題ない程度に載せると...

 「この色は何から取り出したんですか」
  「桜からです」
 と志村さんは答えた。素人の気安さで、私はすぐに桜の色びらを煮詰めて色を取り出したものだろうと思った。実際は、これは桜の皮から取り出した色なのだった。あの黒っぽいゴツゴツした桜の皮から、この美しいピンクの色がとれるのだという。志村さんは続けてこう教えてくれた。この桜色は、一年中どの季節でもとれるわけではない。桜の花が咲く直前のころ、山の桜の皮をもらってきて染めると、こんな、上気したような、えもいわれぬ色が取り出せるのだ、と。
大岡 信 著
講談社学術文庫 詩・ことば・人間 「言葉の力」 より

この部分を読んで思い出した人は多いのではないでしょうか?
そうです。中学の教科書です。「桜というのは花びらだけが桜色なのでなく、桜の木全体で桜色なのだ」という話に例え、言葉というのは表面的な意味だけではなく、その背後にはたくさんの意味がこめられているという話です。
 桜の季節になると、いつもこの話を思い出します。桜の樹をみるたびに、木の皮もなんとなくピンクに見えてきます。実際に染めて見た学校もあるようです。今回<桜.BLOG>企画があったのでネットで調べてみました。驚いたことにこの話、今の教科書にも載っています。つまり私が中学生だった頃から使っている!いったい何年前からだろう(遠い目...苦笑)。
 もちろんエリアや学校によっても使う教科書が違うと思いますので、みなさん全員がこの話を知っているとは限りませんが、懐かしいと思いませんか?ちなみに私が国語を勉強した光村図書のHPでは教科書タイムとラベルというコーナーがあり、時代別の教科書に掲載されていたたお話の目次があります。なかなか面白いですよ。

詩・ことば・人間 (講談社学術文庫 (672))

詩・ことば・人間
<講談社学術文庫>

大岡信 著
ジャンル ノンフィクション
出版 講談社 
960ページ 文庫版
価格 660円+税

cover

 この本には表題の言葉の力のほか、いくつかの随筆・評論が載っています。桜のようなやさしい例えは少ないけど、いろいろな例えを用いて言葉というものについて論じてます。まとめると「桜の話」になります。さすが教科書ですね。どの話も書いてある言葉はやさしい言葉なんですけど、でも意味を理解するのに力がいります。
 振り返ってわが身を思うと、このBLOGそしてEメールでのやりとり、普段の仕事でも簡単に書こうと思うと書けますが、思いを伝えるのって非常に難しいですよね。
誤解が無いよう、でも表現は柔らかく美しく、言下の意味・思いを含めた文章、書けるといいなぁ

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コメント (2)

おお!覚えていますよ。私も教科書で読みました。
すごく印象的で記憶に残ってます。

「桜.BLOG」で、この文章と再会できるとは思ってもみませんでした。
良い話を思い出させてくれてありがとうございます。

yomikaki:

いえいえそんなお礼を言われるようなことじゃ...
でも結構印象的ですよね、この話。強烈に頭に残ってます。

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2004年03月09日 13:06に投稿されたエントリのページです。

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