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獄中記 地獄編/ジェフリー・アーチャー


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 イギリスの元国会議員にして、ベストセラー作家であるジェフリー・アーチャーが偽証罪に問われ実刑判決を受けたことは記憶に新しいと思います。

 実際は偽証罪といっても非常に些細なものであり、通常では裁判にすらならないような嘘(訳者あとがきに記載)であるのですが、恣意的な判事や濡れ衣を着せようとする者などにより、不幸にも収監されてしまいます。
 この本はまさにタイトル通り、ジェフリー・アーチャーが殺人や麻薬の売買等で収監されている囚人たちと共に過ごした獄中記です。

 単なる日記形式をとったノンフィクションではありますが、さすがベストセラー作家です。普段知りえない塀の中の様子、日本の刑務所と同じなのか判りませんが、興味深く読むことができます。
どうにも我慢できない食事、融通の利かないルール、そして収監されている人たち(模範囚、塀の中の麻薬の売人)など...

 思うことの中でも、一番容易に想像できるのは"クサいメシ"のこと。

 今朝はシェパードの巡回のまえに目が覚める。彼らがなぜあんなに吼えるのかようやくわかる。受刑者たちと同じものを食べさせられているからだ。

獄中記 地獄編/ジェフリー・アーチャー 187ページより

実際、彼はあまり口をつけられず、売店で手に入れたコーンフレークばかり食べています。(イギリスの刑務所では週に12ポンド5ペンスまで売店で買い物ができる)。

 その辺あたりは日本の"クサいメシ"も同じようです。

 左の写真は、先日千葉刑務所での矯正展(受刑者が作った物品の即売会)が行った時の、受刑者の食事について展示です。
 食事は一汁二菜。麦飯に味噌汁、おかずに漬物です。展示を見ても食欲をそそるものではありません。それに例え美味しくても、量が少なくて我慢できそうにありません。なんと受刑者一人あたりの食費は1日417円!
もっとも塀の中じゃ運動量が少なくて必要カロリーは少ないのだとは思いますが...

 売店でなんとか食べ物を調達するとはいえ、週に12ポンド5ペンスしか使えないのであれば、当然食べ物やミネラルウォーターが無くなりそうになります。そんな時はどうするのか?やはりあるのです、規定外のものを手に入れる方法が。

 刑務所の中も一種の社会の縮図です。いろんな受刑者がいて、表向き、裏向きのいろいろな役割をしています。ジュフリー・アーチャーは刑務所のルールや暗い現状、そして受刑者の人柄になど、話を聞いて(なにせ時間はたっぷりあります)執筆を続けます。
 読んでいてi面白いのはやはり色々な人々ですね。刑に服しているのが不条理だとは思える人、逆に刑務所の中でしか生きるすべをしらない人。人間的に魅力的な人、アブない人

 続編を読むのが楽しみです。

獄中記 地獄篇

著者 ジェフリー・アーチャー
訳者 田口 俊樹
ジャンル ノンフィクション
出版社 アーティストハウスパブリッシャーズ
四六版 342ページ
価格 1,890円

獄中記―地獄篇角川文庫
もあり

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2004年12月02日 08:58に投稿されたエントリのページです。

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