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2004年04月25日

スイス銀行体験記

 遠距離夫婦赤道越え交換日記 さんのトコの記事に出ていた”あなたのお値段鑑定します”
ちょいと、やってみた。そしたらだいぶ値段が低くて、クヤシイ!
 で、気を取り直して、”お金持ちセンスを測定”にチャレンジ。こいつだとなんと私は”悪徳商人タイプ”で”石油王級”らしい、すばらしい!金持ちのピークは2027年だとか。ちょいと悪徳商人というのが気になるが、来るべき将来に向けて資金の運用先を考えなくては(笑)
 ということで、図書館から借りてきました、「スイス銀行体験記」。石油王たるもの、スイス銀行に口座の二つ、三つもっていないとね(オイオイ)

 いわゆるスイス銀行と呼ばれるのはプライベートバンクというもので、日本の銀行のように決済等を主流とするコマーシャルバンクと違い、フィナンシャルプランナーに近いものだとか。資産を増やすことではなく、孫やその子孫の世代まで、たとえ国がなくなろうとも一族の資産は減らさないようにする、それがプライベートバンクの目的。そもそもプライベートバンクの顧客の資産はン十億クラス以上が普通。手数料等を考慮すると1億円以上ないとペイしないし、3千万円くらいが最低の預け入れ金額らしい。
 これら顧客から預かった資金は顧客と十分に打ち合わせをし、リターンとリスクなど顧客の要望やお金に対する考え方に応じて、プライベートバンクの名義で資金を運用する。こうすることによって、いわゆる匿名性の高さを保ち、また複数の顧客の資金とまとめて運用するので有利な条件で運用することが可能となるだそうです。
 この本ではそういったスイスのプライベートバンクの概要の説明に加え、プライベートバンクを利用している日本人顧客4人(匿名ですが)のインタビュー、そして果敢にも1千5百万円でプライベートバンクに口座を開いてしまった著者の体験談で構成されます。
 著者は数年後に続編を書くつもりでいるようですので、来るべき将来に備え、そちらも期待したいと思います(笑)
スイス銀行体験記―資産運用の達人プライベート・バンクのすべて

スイス銀行体験記

野地秩嘉 著
ジャンル ルポルタージュ
出版 ダイヤモンド社 
216ページ
価格 1,575円

2004年04月22日

贋作者

 美術館とかに行って絵を見たりするとき、その絵が本物かどうか疑ったりしますか?そもそも誰の絵かなんて、そんなこと気にしない?贋作だって本物と見間違えるくらい技量があり、その絵が気に入るかどうかが重要でどっちだっていいような気がします。
 ある画家の技法や主題をまねたら、それは贋作になるのかというとそうではないですよね?その絵がすばらしく気に入れば、誰が書いたのかなんていうのは本当はどうでもいい話です。つまり画家の名前が絵の良し悪しを判断するものでは無いはずです。
ただ美術館に見に行く時などは、画家の名前が一つの目安であるのは間違いありません。でもだからといって、まねて書いた絵をまねた画家の作品だと称すると、それは犯罪、その絵は立派な偽物となってしまいます。

 トム・キーティングはイギリスの労働階級に生まれ、本当に絵が好きで絵の勉強にのめり込み、そして絵の修復などを行ったきた人です。ところが勉強や修復などの経験を積むうちに、いろいろな画家の技法を身につけ、そして時々その画家が乗り移ったかのごとく、まるでその画家が書いたような絵を書き上げることができたのです。その絵を、彼の友人達は画家のサインを捏造した上で、ゴヤ、レンブラント等の作品と称して売ってしまったのです。その数は二千点以上。
そして、その事件の発覚は、世界的に有名な画廊やオークション会社を巻き込む一大スキャンダルとなったのでした。

 この本はその贋作者トム・キーティングの半生を綴った第一部と、そもそもそれらの贋作が本物として流通してしまう美術界の問題についてリポートした第二部とに分かれています。
贋作者にしろ、美術界にしろ日頃あまり接点の無いことですので、非常に興味深く面白く読めました。

贋作者

第一部
トム・キーティング 著
フランク・ノーマン(採録)
第二部
ジェラルディン・ノーマン 著

瀧口 進 訳
ジャンル ノンフィクション
出版 新潮社
306ページ
※ 絶版 図書館で探して下さい。

2004年04月16日

夜桜 櫻の樹の下には...@<桜.BLOG>

 夜、満開の桜をひとり見ると、昼間の明るい日差しの中で咲き誇る桜や、大勢で宴会をしながらふと見上げる桜とも違う美しさを感じます。薄暗い闇の中で、ぽっと浮かび上がる白い桜の花。凜として神々しく、人を寄せ付けない、ある種の怖さを感じる美しさです。

 そんな時ふと思い出すのは、「桜の樹の下には死体が埋まっている」という話。あの満開の桜の美しさ、はかなさ、そして怖さについて、なるほどと思わせる説得力があります。
 この話のもとになったのは、梶井基次郎の「桜の樹の下」。昭和初期の作家であり、若くして夭折した梶井の、病気療養中に伊豆で書いたといわれるこの作品には、有名なこのフレーズだけでなく、美しい桜の樹の下に埋まっていると想像される死体の描写など、充分すぎるくらいインパクトがあります。
 「桜の樹の下」が収められている梶井唯一の著作集「檸檬」を、文庫本で読みましたが、そのほかの作品も「城のある町にて」や「橡の花」など若い時分の例えようのない不安感、なんとなく感じる閉塞感を見事に描いている気がします。
 梶井基次郎の作品は死後50年経っているため著作権が切れており、青空文庫等でフリーで読む事ができます。「桜の樹の下」は比較的短い話ですので、ちょっとこちらで読んでみては如何ですか?
檸檬 (集英社文庫)

檸檬 集英社文庫

梶井 基次郎 著
ジャンル 小説
出版 集英社 
247ページ
価格 380円


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2004年04月07日

柏餅

 桜餅のとなりに、柏餅が並ぶ季節になってきました。考えてみると桜餅や柏餅のほかにも葉っぱを利用した物としては、笹の葉を利用したチマキや笹の葉寿司、お弁当の料理の仕切りに使うバレンや朴葉味噌などいろいろあります。

 この本では日本における樹木の料理への使用方法について、そのものを食べる・包む・香りづける・色づけるなど9つの分類に従って紹介しています。決して料理のレシピなどではなく、雑学っぽくエッセイ風にまとめてあるので、スッと読めます。
 実は以前に書いた桜餅の葉っぱの毒性などはこの本がネタ本です。

 この本がからもう一つネタをひっぱると、桜餅に道明寺と長命寺と関東、関西で違いがあるように、柏餅にも違いがあるそうです。東西で包む葉っぱが違うそうです。関東ではその名の通り柏葉を使いますが、関西ではサルトリイバラの葉を使うことが多いそうです。(本当ですか?関西の方)
桜餅の場合この辺りでも並べて売ってますから分かりますけど、柏餅はせいぜい中の餡違い(みそあん・こしあん)で売っているくらいですね。ひょっとして餡違いも関東、関西で違いがあるのかな?
樹木がはぐくんだ食文化

樹木がはぐくんだ食文化

渡辺弘之 著
ジャンル ノンフィクション
出版 研成社 
122ページ
価格 1,890円

2004年03月09日

言葉の力@<桜.BLOG>

 言葉の力。このタイトルを見てピンと来た人はどれだけいるでしょうか?
桜の時期、毎年のようにある話を思い出します。問題ない程度に載せると...

 「この色は何から取り出したんですか」
  「桜からです」
 と志村さんは答えた。素人の気安さで、私はすぐに桜の色びらを煮詰めて色を取り出したものだろうと思った。実際は、これは桜の皮から取り出した色なのだった。あの黒っぽいゴツゴツした桜の皮から、この美しいピンクの色がとれるのだという。志村さんは続けてこう教えてくれた。この桜色は、一年中どの季節でもとれるわけではない。桜の花が咲く直前のころ、山の桜の皮をもらってきて染めると、こんな、上気したような、えもいわれぬ色が取り出せるのだ、と。
大岡 信 著
講談社学術文庫 詩・ことば・人間 「言葉の力」 より

この部分を読んで思い出した人は多いのではないでしょうか?
そうです。中学の教科書です。「桜というのは花びらだけが桜色なのでなく、桜の木全体で桜色なのだ」という話に例え、言葉というのは表面的な意味だけではなく、その背後にはたくさんの意味がこめられているという話です。
 桜の季節になると、いつもこの話を思い出します。桜の樹をみるたびに、木の皮もなんとなくピンクに見えてきます。実際に染めて見た学校もあるようです。今回<桜.BLOG>企画があったのでネットで調べてみました。驚いたことにこの話、今の教科書にも載っています。つまり私が中学生だった頃から使っている!いったい何年前からだろう(遠い目...苦笑)。
 もちろんエリアや学校によっても使う教科書が違うと思いますので、みなさん全員がこの話を知っているとは限りませんが、懐かしいと思いませんか?ちなみに私が国語を勉強した光村図書のHPでは教科書タイムとラベルというコーナーがあり、時代別の教科書に掲載されていたたお話の目次があります。なかなか面白いですよ。

詩・ことば・人間 (講談社学術文庫 (672))

詩・ことば・人間
<講談社学術文庫>

大岡信 著
ジャンル ノンフィクション
出版 講談社 
960ページ 文庫版
価格 660円+税

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2004年03月07日

奇跡の人

 自分の運転する車で交通事故を起こし、植物人間状態から立ち直った克己は、病院のみんなから奇跡の人と呼ばれている。ただ事故前の一切の記憶を失ったばかりか、知能程度も子供に戻ってしまった。けれど赤ちゃんのような状態から教科書と頼りに懸命に勉強し、8年かけてようやく中学程度までに回復した。だから病院の仲間はみんな克己にあやかろうとしている。
 いよいよ退院の日が近づいてきた。ずいぶん前に死んだ父親に続いて、献身的は介護をしてくれた母親も死んでしまったから、これからは一人で生きていかなくちゃならない。でも周りの人の暖かい励ましと支援でなんとかやっていけそうだ。
 ただひとつ...。失った記憶を取り戻したい。けど、そのことに触れようとすると院長先生もみんな教えてくれない。なぜ? 自分の家に戻っても、あってよさそうな、事故の前後の写真も無い。自分はいったい誰?

 記憶を失った主人公が記憶を取り戻すべく、いろいろともがき苦しみ真相に迫る小説です。結末は意外でした(救いがないけど)。
正直、真保裕一の小説って期待して読んだけど、今一歩、面白くありませんでした。
奇跡の人

奇跡の人
真保裕一 著
ジャンル 小説
出版 角川書店
405ページ 四六版
価格 1,700円+税

2004年03月04日

ゾウの時間ネズミの時間

 どんな動物でも一生にうつ心臓の鼓動はだいたい同じって話、聞いたことがありますか?
この本はあらゆる生物、それこそミジンコからゾウまで、サイズの違いによる研究をテーマにした本です。
 ネズミの生涯は数年であるけど、ゾウは百年にまでおよびます。けれど時間の流れは大きさによって異なり、同じ1秒でも意味が違う。つまり哺乳類の場合ではどんなものでも、一生に打つ心臓の鼓動は約20億回、一生にする呼吸は約5億回だそうです。ゾウでも、ネズミでも、人間でも。
 その他にも大きい生物は本当に大食いか?とか単純な構造の生物に大きいものがないのはなぜか?等サイズにかかわる興味深い話が載っています。
ほかにも昆虫や植物の体の作り方、珊瑚のような動かない動物やウニ・ヒトデといったちょっとだけ動く棘皮動物についても解説してあり、非常に面白かったです。
ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)

ゾウの時間ネズミの時間−サイズの生物学

本川達雄 著
ジャンル ノンフィクション
出版 中央公論新社
230ページ 新書判
価格 660円+税

2004年02月24日

A Day in the Life of Africa

  アフリカというと何を思い浮かべますか?砂漠やジャングルといた厳しいけど美しい自然?それとも内戦や飢餓といった人間のネガティブな部分?新聞や雑誌等のメディアで刷り込まれるアフリカのイメージってそんなところでしょうか?
 この本は2002年2月28日、アフリカ大陸のあちこちで人々の生活をカメラマンが撮った写真を集めたものです。いわゆる”アフリカ”の写真はありません。アフリカでの”生活の様子”が生き生きと映しています。
 南アフリカでは、ボランティアのおばさんたちが道一杯に広がりながら、箒を振りかざし、踊りながらやってくる。ケニアではメダルを目指して若者がトレーニングに励む。そして夜ディスコで踊る若者。
みんな生き生きしています。なんか日本の方が活気がないような気さえします。
この本の収益はアフリカのエイズ教育資金に使われます。

A Day in the Life of Africa

A Day in the Life of Africa

ジャンル 写真集
出版 Pub Group West  (洋書)
288ページ

2004年02月19日

オトナ語の謎。

 大人の言葉って不思議ですよね。ふだん何げなく使ってても、ふと我に返ると意味不明だったりします。 
初対面でも「お世話になってます。」 「宿題」を持ち帰ったり、価格を「勉強」したり。
 オトナ語を使うと、桃太郎はやり手の営業マンみたいだし、男女の別れ話はシビアになって笑えます。
 この本は糸井重里のHP「ほぼ日(ほぼ日刊イトイ新聞)」で話題になったオトナ語の謎。コーナーを単行本化したものです。ということはHPを見れば本を買わなくて済むと思ったあなた、正解です。若干の差はあれど読むことができます。でも始めから読むのであればやっぱり紙の本の方がいいですよ。
オトナ語の謎。 (ほぼ日ブックス)

オトナ語の謎。

佐藤満彦 著
ジャンル エンターテーメント
出版 東京糸井重里事務所
224ページ 
価格 1,300円

2004年02月17日

ガリレオの求職活動 ニュートンの家計簿

誰もが知ってるガリレオやニュートン。でもそれらの偉人がどんな人だったか?「それでも地球は動いている」とつぶやいたとか、リンゴの木の話とかは知ってても、どういう階級に生まれ、どのように生計を立てていたのかは知らないのが普通ですよね。
 この本では科学者がパトロンの庇護を受けていたコペルニクスの時代から、職業的科学者として成り立つようになったファラデーの時代までその家計や人物像をまとめた本です。
コペルニクスは医者としても政治家としても活躍していたとか、ガリレオは職を求めいろいろな国を転々としたなどの話は興味をひきます。
 中でもガリレオが宗教裁判にかけられる発端となった地動説の本は、教会の検閲を受けてから出版されているという話なんてビックリ。それじゃなんで宗教裁判なの?となりますよね。それはガリレオのパトロンでもあり後ろ盾でもあった国王が亡くなり、その反動で誹謗中傷が噴き出てたからだからそうです。
 この本はあなたの「ヘエー」を引き出します。必ずほかの人に話したくなることばかりです。
ガリレオの求職活動 ニュートンの家計簿―科学者たちの生活と仕事 (中公新書)

ガリレオの求職活動 ニュートンの家計簿

佐藤満彦 著
ジャンル ノンフィクション
出版 中央公論新社
281ページ 新書判
価格 840円+税

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