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2004年07月03日

限りなくキョウダイに近いフウフ

 真樹と涼は子供のいないフウフ、っていうか、キョウダイみたいなフウフ。そして最近はやりのセックスレス。若い頃は喧嘩もしたけど、30過ぎてからは二人の仲は安定期。
別に嫌いなわけでも浮気相手がいるわけでもない。けれど友人たちに「変だ」と指摘されたことから、妙なことを思いついた。それは一旦離婚して、真樹が涼の親の養子になるということ。そうすればフウフじゃなくて、キョウダイになれる!
そんなことを表明したとたん巻き起こる騒動。

二人の決意がきっかけとなって表われる、友人たちの内情。
一見、普通に見えても普通じゃない。逆に普通ってなに?って感じになります。まあ本人が納得していればいいんでしょうけど...
個人的にはキョウダイみたいなフウフというのはアリとは思うけど、でもそれは決してキョウダイにはなれないと思います。また逆に仲の良いフウフみたいなキョウダイって、ある意味それは変だと思いますが、どうですかね?

cover限りなくキョウダイに近いフウフ

小林 光恵 著
ジャンル 小説
発行 作品社
204ページ
価格 1,500円+税

2004年06月25日

日本のスイッチ

柿ピーどっちかというと好きなのは? 柿の種?ピーナッツ?
私はだんぜん柿の種です。
はっきりいって柿ピーがあったらピーナツは避けて食べます。避けるためのワザも取得してます。袋入りの場合、袋のまま軽く揺すってやると比重の差からピーナッツは沈み、柿の種は浮上します。そこをすかさず柿の種だけごっそりと取るのです。

あなたは教科書の写真にヒゲを書いたことがありますか?
私はあります。なに!?あなたは無い!そんなあなたは少数派です。

てな感じの、世論調査というにはふざけてる。でもみんなどうしているのかちょっと気になる、そんな質問を慶応義塾大学 佐藤雅彦研究室が毎日新聞社と協力し、iモードを使って調査。

いいですょ、このくだらない質問の数々。
今ではiモード以外の、ボーダフォンライブ!やEZwebも駆使して毎週3万人強が回答。この本はそんな調査結果、2002年10月7日の開始時から昨年末まで、をまとめて本にしたものです。
ちなみに柿ピーは柿の種が好きな人が55%、ピーナッツが好きな人が45%。
教科書にヒゲを書いたことがある人が75%、無い人が25%
いやー面白い質問ばっかり。こんどまたピックアップしてみます。

※ 日本のスイッチプロジェクトは今現在も続いてます。
携帯電話のwebメニュ-で毎日新聞社から。
先週、回答してみました。全国の回答者44716人中、私とまったく同じ回答をした人が688人いました。回答が少数派なのかどうかもわかって面白いですよ。

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日本のスイッチ

慶応義塾大学 佐藤雅彦研究室 著
ジャンル ノンフィクション
発行 毎日新聞社
文庫版 265ページ
価格 1,050円

2004年06月18日

ららら科學の子

三島賞は矢作俊彦氏の「ららら科學の子」(文芸春秋)に、山本賞は熊谷達也氏の「邂逅(かいこう)の森」(同)に決まった。  5/18 朝日新聞社

 昔、FM東京でやってたラジオドラマ。それがきっかけで読み始めたのが矢作俊彦の「マンハッタン・オプ」。谷口ジローののイラストとあいまってどっぷりとハードボイルドの世界にはまりました。
 でも本の作者紹介には、「ピンカートン東京支社勤務を経て」とかいったふざけた略歴を書いてたりして、どんな人なんだろうと思いました。(あっピンカートンって、レイモンド・チャンドラーとかのハードボイルドの世界では超有名な探偵社ね)。
 でも、そのころ本当に矢作俊彦にはまりました。「コルテスの収穫」の下巻を今でもまっているほど(笑)。こいつは眉村卓の「とらわれたスクールバス」状態で、上巻・中巻の次がン十年出ていません。文庫書き下ろし作品のはずなのに...(笑)
思わず昔の想いがメラメラと巻き起こり買ってしまいました。

話の筋は...

昔、ひょうんなことから日本から密出国し、そして30年ぶりに帰ってきた主人公。
あのころ、暑い学生運動があった日本は、いまやまったく違う国になってしまった。
って感じのストーリーです。

うーん正直、面白くなかったです。
昔読んだ話のように、シニカルな、それでいて芯のある、熱い想いを秘めた主人公がじゃないんですよね。こっちが昔と違う環境(前は中高生だったもんで)にあったことも否めませんけど。

cover

ららら科學の子

矢作俊彦 著
ジャンル 小説
出版 文芸春秋
480ページ
価格 1,890円
 

2004年06月06日

パリは燃えているか?

「Dデー」60周年、仏・ノルマンディーで式典  第二次大戦の勝敗を決した連合軍のノルマンディー上陸作戦決行日「Dデー」から60周年にあたる6日、フランス・ノルマンディー海岸に16か国の元首、首脳や退役軍人ら約6000人が集い、一連の記念式典が行われた。 6月6日付 読売新聞より

 今日、6月6日は「史上最大の作戦」で知られるノルマンディー上陸作戦が行われた日。60年前の今日から連合国軍の反撃が始まり、パリ解放、そして第二次大戦終結へと転換することになった。
 60年前紛争といえば国家間のものだったのが、今はアルカイダに象徴されるテロリスト集団との戦い。いやテロリストに限らず、テロリスト掃討の名の下にブルトーザーで家をつぶすという、テロと変らない事をしている国もある。この世の争いは、どこかの国の大統領がいうような「善悪との対決」といった単純なものでは決してない。それは今だけでなく、60年前も...

 標題の「パリは燃えているか?」とは、ドイツが4年間占領していたパリに連合国軍に侵攻を受けていることを聞いた際のヒトラーの言葉。ヒトラーは「パリを失うものはフランスを失う」という史実から、「パリは絶対に死守せよ! 仮にパリを奪われる時には瓦礫の山と化していなければならない」と、連合国の侵攻の時には、パリの橋梁から発電施設、電話局、そしてエッフェル塔に至るまで爆破するよう命令を下していた。

 本書はパリの危機をめぐる模様をドイツ側、パリ市内のレジスタンス、シャルル・ドゴール将軍率いるフランス軍、そして連合国軍の様々な人々のインタビュー、アンケート並びに調査によって書き上げられたノンフィクションです。
 当初、連合国軍はパリを先に開放した場合の物資補給を鑑み、パリを迂回するルートでドイツに攻め入る作戦でした。しかしドイツ軍占領下のパリにおける市民の不満は爆発寸前、レジスタンスは一斉蜂起を検討していた。しかし仮に一斉蜂起してもすぐ殲滅されてしまい、逆にワルシャワのような悲劇を招きかねない。レジスタンスの中でも共産主義者、ドゴール将軍派が解放後の主導権を睨んで対決していて一枚岩ではなかった。
 一方でドイツ軍のパリ総司令官はジレンマに陥っていた。レジスタンスの動きは不穏であるし、連合国軍の動きも気になる。このままではパリを爆破せねばならぬ。総統の命令は絶対であるし、疑念の余地はない。しかし、この美しい街を破壊しつくすということは、取り返しのつかないことになりかねない。

 このような多方面から見たパリ開放は、非常にドラマチックで面白かったです。印象的なのは、「三色旗」と「ラ・マルセイユーズ」、いかにフランスの人たちが国を愛し誇りに思って国旗と国家を大切にしているのかがわかります。そういえば映画、カサブランカの1シーンでもそのようなシーンがありましたね。面白いと言ったけど、難点を一つ。登場人物が多すぎて名前がよく覚えられません。通常の小説等だと名前が出てこない通りすがりの人まで名前を載せているので、誰が誰だが良くわからないところがあります。外国小説の登場人物の名前を覚えられない人にはちょっと読み終えるのが難しいと思います(笑)

パリは燃えているか 上  
パリは燃えているか 下 

ドミニク・ラピエール
ラリー・コリンズ    共著
志摩 隆 訳
ジャンル ノンフィクション
発行 早川書房 ハヤカワ文庫
文庫版 369ページ/369ページ
価格 652円


 
 

2004年06月05日

リゾートホテルジャンキー

 「ホテル・ジャンキー」の著者が、海外の一流どころのリゾートホテルについて、そのホテルの売りや、そこでの体験談をエッセイに綴ったものです。むしろホテルのファシリティそのものより、一流どころなる宿に泊まりに来た人々の世界を垣間見せてくれます。
 と、書いたものの、「本当かねー?」というエピソードがいっぱい。あまりにもドラマッチックすぎといったところです。まあホテルは舞台、宿泊客は役者、と見立てた一種の小説として読んでみたら面白いですよ。(少しガイド的要素の入ったヤツね)
 こういったところへ泊まってはみたいものの、泊まってもせいぜい1、2泊。ましてや常連客なんぞにはなれないし。違う世界への憧れと夢を見たいなら...オススメかな?


cover

リゾートホテル・ジャンキー

村瀬 千文 著
ジャンル エッセイ
発行 幻冬舎文庫
文庫版 171ページ
価格 600円

2004年05月26日

イエスの遺伝子

 主人公、トム・カーターは遺伝子学者。
彼の発明した遺伝子解析システム ジーンスコープは人間の遺伝子を、まるでスーパーにおけるバーコードのように読み込める。その発明によって彼はノーベル賞を受賞することができた。しかし同時に人の遺伝子を解析するという行為は神を恐れぬ不遜なこととして、狂信的キリスト教集団に命を狙われることなり、ノーベル賞受賞式で妻を殺されてしまった。妻はテロリストに命を奪われたが、一方で妻の死により遺伝性の腫瘍が一人の娘にも発症することがわかった。残り時間はあとわずか、その時トムは...

 ひとことで言うと、インディ・ジョーンズとミッション・インポッシブルとを掛け合わせたような小説です。つまり映画化されたときの状況が実に浮かびます。その上「こんなのいくら小説だとは言えありえないようなぁ」というB級映画のような安っぽい記述(シーン)があったりします。だからこそ、よけい映画っぽいんでしょうね。
そういった部分は目をつむるとして、話の筋はよく練りこまれており、面白かったですよ

 この作品は1997年に発表され、舞台設定は2002年と、もう昔の話となってしましたが、今、近未来小説として読んでも違和感ありません。現実のバイオインフォマティックスの分野では、昨年4月14日にヒトゲノム計画によりの解析が終了しました。そのプロジェクトが大きく前進したのは、セレラ・ジェノミクスというベンチャー企業がスーパーコンピューターを駆使して解析したと報道されています。まさにトム・カーターのジーン・スコープさながらです。
 ただ解析が終了したといっても、読み取りが終了しただけで、DNAのどの部分が遺伝情報としてどういう意味を持つのかは、今まさにコンピュータで解析を行っているようで、まあまだジーン・スコープのようにはいかないようですね。

 この話、ビジュアル的に派手なシーンがたくさんあるなあと思ってたら、すでにディズニーが映画化の権利を買っているそうです。おそらく小説で読むより映画で見たほうが楽しめると思う話です。早く映画化されないかなぁ?

cover

イエスの遺伝子

マイクル コーディ 著
ジャンル 小説
発行 徳間書店
四六版 510ページ
価格 1,890円

2004年05月19日

OUT

桐野夏生さん「OUT」、受賞逃す 米エドガー賞

米国ニューヨークで29日夜(日本時間30日午前)、第58回エドガー賞授賞式(アメリカ探偵作家クラブ主催)が開かれ、英国イアン・ランキンさんの「Resurrection Men」(邦題「甦る男」早川書房)が最優秀作品賞に選ばれた。日本人として初めて最優秀作品賞にノミネートされていた桐野夏生さんの「OUT」(英文版、講談社インターナショナル)は受賞を逃した。 4/30t付 朝日新聞より

ということで、読みました、OUT。

 コンビニの弁当工場で夜パートで働く主婦4人。夫や子供とすれ違いになる夜のパートに出ているのは夜のパートの方が給料がいいから。夜働くから、夫や子供など 家族とすれ違い。いやむしろすれ違いになることを望んでいるのかもしれない。
この主婦4人はとりわけ親しい訳でもなく、ただパート先で一緒になっているだけ、むしろ性格の違いからお互いさげずんでいたりする。けれど、そのうちの一人が口論の末勢いあまって夫を殺してしまったことから、四人は...

 いやー、人物描写が見事ですね。鬱屈した主婦の心情描写が見事です。なもんで、登場人物が鬱屈している分、全般的に雰囲気が暗い。ただ雰囲気が暗いけど、読み込ませるような文章力があります。まあハードボイルドってこんな感じですよね。
ただねー、読み終えて、なんかいまいちすっきりしないって感じを受けました。

 ところで、冒頭にも書いたようにアメリカのミステリー賞であるエドガー賞にノミネートとのことですが、ミステリーってどういう定義(意味)なんですかね?探偵や刑事が出てきて、なんてことは言いませんが、謎解きがあるのがミステリーと思ってたけど、違うのかな?まあジャンルなんてどうでもいいと言えばいいのだけど。


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アウト

桐野 夏生 著
ジャンル 小説
発行 講談社
四六版 447ページ
価格 2,100円

※文庫版(上)(下)もあり

2004年05月13日

サラ金会社の夜はふけない

 先日、占いでお金持ちセンス判定をしたら石油王クラスだったので、スイス銀行体験記という本を読んで来るべき将来に備えてましたが、同じ金融機関でもお世話になるのはコッチの方が可能性が高いだろうということで読んでみました。
 まあ、いわゆる業界の暴露本ですね。サラ金会社に勤めていた筆者が体験した、お客の与信方法についてや、逃げ回る多重債務者、へんてこな社員、結構笑えます。無人融資の機械に映し出される人間模様なんかは大爆笑でした。
 幸いにしてまだお世話になったことはありませんが、もし借りにいくことになったら思わずこの本のことを思い出して、店内をきょろきょろ、そしてにんまりしてしまうかも...(そんなことしたら貸してもらえないか?)

サラ金会社の夜はふけない

ほのぼの 湖太郎 著
ジャンル ルポルタージュ
出版 第三書館 
265ページ
価格 1,260円

2004年05月08日

世界の中心で、愛を叫ぶ

 まもなく映画が封切られるこの話、とうとう二百五十万部を突破して、ノルウェイの森を抜いて歴代1位の発行部数だとか。韓国でも映画化の話もあるというこの話、この読書発電所でも、読了直後の初秋に読後感を書いてみましたが、ついたコメントは賛否両論。昨年に読んでからだいぶたったているので、そんな意見も頭に入れて再読してみました。
 その感想は...やっぱ良いです。愛していた彼女を亡くした主人公の喪失感、彼女がいなくとも流れていく月日、そして彼女と過ごしたあの夏。描写がすばらしいと思います。
ただ否定的意見にもあったように文章が軽く、奥行きが無いのは否めません。読み返せばまた新たな発見があるような文章ではないのは確か。でも軽い文章だからこそ、素直に感情移入できるのでしょうね。普段本をあまり読まない人にお勧めかな?逆に読み込んでいる人にとっては物足りなさを感じる人が多いと思います。
 最近、ジェットコースターのようと揶揄される、見逃すと訳が分からなくなってしまう連続ドラマや複雑な人間関係のモノから、シンプルな、ある意味古めかしいと感じるくらいの純粋なラブストーリーが見直されてきている気がします。冬のソナタのような韓国ドラマが流行っているのは、そんな理由からのような気がします。
 まあ、もはや恋愛小説にときめく歳でもないオヂさんが言うのも...という気がするけど(苦笑)

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世界の中心で、愛をさけぶ

片山 恭一 著
ジャンル 小説
発行 小学館
四六版 210ページ
価格 1,400円+税

2004年05月05日

SEのフシギな生態

 失敗談から学ぶ成功のための30ヶ条 というサブタイトル通り、プログラム開発のSEとして働いていた筆者の失敗談や不条理な業界の内情をマンガとエッセイで綴っている本です。マンガの部分だけを読んでも状況がわかるし、さらに突っ込んだ部分はエッセイで書いてあります。
 それを見ると...同じやねぇー、ワタシの状況と...
私はプログラム開発をしてる訳でもないし、いわゆるSEではないんだけど、同じ技術者として営業と一緒にお客さんのところへ行ったり、PM(プロジェクトマネージャー)的なことをしてるんで、ウンウンと頷くトコ非常に多し!そうなんだよなぁーと思ったり、こんなヘマしねぇぞと思ったり(そんなこと言ってるとわが身に降りかかったりするんですよね...)
 あまりに身につまされる話ばっかりで、是非これから社会に出ようと思ってる理系の学生に読んで欲しい本です。ちなみに著者はHPを開設しており、その作品の一端をみることができますよ。


cover

SEのフシギな生態

きたみりゅうじ 著
ジャンル ノンフィクション
出版 技術評論社
254ページ
価格 1,554円

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