ごぞんじ無敵の体当たり(場当たり?)漫画家、西原理恵子が放つ「できるかな」シリーズ第3弾!
第一弾では手作り放射能測定器を持って「もんじゅ」へGo!第2弾では理学博士を使って作ったロボットでロボット相撲に参戦。そして今回は親方日の丸に反旗を翻し、脱税できるかな?池袋のキャバレーに潜入し、ホステスできるかな?とやりたい放題。
最近だんだんネタ切れというかマンネリ気味ですが、なかなかどうしてサイバラワールドに引き込まれます。このメチャクチャさが小市民の私にはマネなどできるはずもなく、でも一種の爽快感を覚えます。
しかし...前からブックカバーが派手だったけど、とうとうやっちゃいました。なんと色は蛍光かかったショッキングピンク!これだけでインパクトあります。
西原理恵子 著
ジャンル エンターテーメント
出版 扶桑社
142ページ
価格 1,000円
本のタイトル作「デッドエンドの想い出」を含む短編集。全部で5作品入っていますが、どれもほんわかした陽だまりのような話ばかりです。よしもとばなな らしいと言えばそうかも。タイトル作よりむしろ一番初めの「幽霊の家」が一番印象に残っています。気のいい男の子と女の子のラブストーリーです。変わらないってことは悪いってことではない。むしろ幸せなことかもしれないって考えさせられます。
その他にも「おかあさーん!」にでてくる女の子は確かに大変な経験をしたんだけど、まわりの人達に支えられてなんとかやっていけそうだし、「デッドエンドの思い出」の主人公は失恋のショックを叔父さんの知り会いの店で働く男の子に励まされて何とか立ち直る。安心して読めますし、読んであったかくなれます。
今の季節、窓際で日向ぼっこしながら読むのに最適かも。けど反面、刺激が無くてつまらんという見方もあるなぁ。
よしもとばなな 著
ジャンル 小説
出版 文芸春秋
232ページ 四六版
価格 1,143円+税
私のいる幼稚園に転入してきたウメ子は他の子とはちょっと違う。私の苦手なジャングルジムだって、てっぺんまでスルスルと登るし、みんなが逆らえないユカちゃんにだって遠慮はない。着ている服だって真っ赤なエプロンドレスだったり、ロビンフッドみたいな緑の服とか変な服ばっかり。そんなウメ子にはお父さんがいない。お母さんとの二人で暮らしている。大きくなったらどこにいるかわからないお父さんを探しにいくだって...。
時々街にやってくるお兄ちゃんの大好きな紙芝居屋の源さんは、ウメ子のお父さんを知っているみたいだ。ウメ子のお母さんの古い友達。ある日久しぶりに街にやって来た源さんは、今度ウメ子のお父さんに会いに行くと言う。それを知ったウメ子は...
幼稚園児のお話です。面白いんだけと、ふと我に返ると、幼稚園児がこんな目的のある行動を取るかというと...?せめて小学生からですよねぇ。ちょっと釈然しないなぁ。まあ確かに中学生になって振り返っている体裁を取っているけどね。
阿川佐和子 著
ジャンル 小説
出版 小学館
258ページ 四六版
価格 1,500円+税
文庫版有り
うだつの上がらないサイエンスライターの真一は、ピンチヒッターでインタビューした信託銀行のエリートである梨香子となぜか付き合い始め、そしてとうとう結婚に。美人でスタイルも良く頭も切れるそんな梨香子だが、結婚生活を始めてから今まで見せたことのない裏の顔を見せ始めた。女らしく と言われることに異常なほど 反応し、鬼のような形相で当たり散らす。身の回りのことがまったくできず、料理はもちろん洗濯物にいたってはカビが生える始末。そんな彼女が身ごもった時、真一は...。
この本は篠田節子さんの仲間である青山智樹さんの子育て奮闘を基に、劇中劇ならぬ小説中日記を青山さんが書き、それをベースに篠田さんが小説仕立てにしたものです。したがって二人の作家の共作なのですが、そこがやはりネックで小説中日記の部分が全体の流れの中で浮いてしまっている感じがします。しかし実感のこもった日記部分は、切り出して読んでみるとパパになるということの戸惑いと期待が良く込められてます。
でもオーバーなくらいの人物設定やストーリーなどが面白いので、やはり小説として割り切って全部篠田さんが書いたほうが(あるいは日記部分に手を入れるか)良かったような気がします。TVドラマになってたようですね。
篠田節子 著(作中育児日記 青山智樹)
ジャンル 小説
出版 朝日新聞社
312ページ 四六版
価格 1,500円
文庫版有り
珍しく、色々な文学賞とかの受賞やノミネート前に読んでいた本です。
といってもザウルスのブンコビューアーなんで、いわゆる電子書籍として読みました。だもんでひょっとしたら、感想は紙の本と違うかも知れません。
高校に入学して仲のいい友達もできた頃、クラスメートから浮いてる私(ハツ)と にな川。ひょんなことからよく話をするようになったけど、にな川はミョーでオタク。思わず蹴りを入れたくなる。友達のつもりはないし、当然恋人ってわけでもない 微妙な関係。
ハッキリいって盛り上がりもないし、どってこと無い話です。読んだのは昨年だけど、読んだことを忘れてたぐらい。でもこの微妙な関係ってヤツは書くのもそうだし、読んで共感するのも年代が限られるかもね。(オヂさんにはもうわからないかも...淋しい)
蹴りたい背中<芥川賞受賞作品>
綿矢りさ 著
ジャンル:小説
ザウルスセレクト文庫
300kB
価格:670円
普通の書籍バージョンは
蹴りたい背中<芥川賞受賞作品>
綿矢りさ 著
出版 河出書房新社
142ページ 四六版
価格 1,000円
先日、国立近代美術館でイサム・ノグチ展を観たのを機に、イサム・ノグチについて知りたくなり、図書館で伝記を借りて来ました。
やっぱりイサム・ノグチといえば、和紙を使った有名な「あかり」シリーズでしょう。洒落たインテリアショップや雑誌などで良く見かけます。私も「あかり」でイサム・ノグチを知りました。その後イサム・ノグチという表記から彼が日系二世であり、彫刻家であったことを知りました。ただ大抵の人がそうであるように私も知っていたのはそこまででした。
彼は彫刻家であるといっても普通の彫刻家の枠に捕らわれず、彫刻を単なる一つのモノではなく空間を構成する一つの要素として捕らえ、作品はいわゆる彫刻品だけでなく空間をプロデュースした庭とか公園と多岐にわたっています。
その彼の作品の根底には二世であるがゆえの苦しみ、日本でもアメリカでも自分を受け入れてもらえない「宿命の越境者」としての苦しみがあるようです。
しかしながら、ハンサムな彼は数多くの女性と浮名を流しました。メキシコの女性画家として有名なフリンダ・カーロと不倫による騒動を起こし、また李香蘭で知られる山口淑子と結婚し北鎌倉の魯山人の離れを借りて新婚生活を過ごしています。山口淑子とは結局別れることになりますが、魯山人の離れで過ごした時期は彼にとって幸せであったように思えます。
やがて彼は日本とアメリカを行き来するうちに、日本三大石材産地の一つである四国の牟礼で晩年の彼を支える石匠 和泉正敏と出会います。和泉は個人として共に作品を仕上げ、彼の実家 和泉石材店としてもイサムの日本での活動を支援するなど、公私にわたりイサムを支援しイサムになくてはならない人となります。やがて和泉は丸亀市にあった築二百年の農家を移築し、イサムの日本における拠点として提供します。当初煤と煙で真っ黒であったその家をイサムは「こんなお化け屋敷に住むのはいや」と拒絶しますが、修復作業を見ているうちにのめり込み、やがて「イサム家」と呼ばれるようになります。(イサム家はやがてイサム・ノグチ庭園美術館としてオープンします)
晩年、彼は和泉のいる日本の牟礼とミケランジェロを輩出したイタリアのピエトラサンタ、そしてニューヨークを転々としながら、最後までアグレッシブに創作活動を送り、そして1988年12月30日に他界しました。
そんな彼が最後までこだわり続けた作品のひとつが芸術作品として捉えて貰えなかった「あかり」シリーズであると聞くと、普段なにげなく見ている「あかり」も感慨深いものがあります。またもう一つこだわっていたもの、それはニューヨークでは何度もコンペに応募しながら、採用されることの無かった「プレイマウンテイン」...札幌市郊外のモエレ沼公園(1998年7月一部開園 2004年完成予定)として実現します。
最後まで「越境者」としての作品を作り続けたイサムですが、幼少時代を過ごした日本での自然風景、魯山人の側で過ごし影響を受けた新婚時代、そして牟礼での生活と充分その感性は「越境者」ではなく、「日本人として」の感性のように感じました。
この本はイサム・ノグチの生涯を綴った伝記なのですが、一気に読ませる文章力、過不足無く調べ盛り込まれた中身、非常に面白い本でした。
ps.サイトで本の情報を調べて知りましたが、第22回講談社ノンフィクション賞受賞だったんですね。
ドウス昌代 著
ジャンル ノンフィクション(伝記)
出版 講談社
397ページ(上)/389ページ(下) 四六版
上下 各 2,000円
※ 講談社文庫版もあり
「罪を憎んで人を恨まず」って、言葉がありますよね。
宗教用語?真の意味はよくわからないけど、「罪を犯した人、その人を恨むのでは無く、恨むなら罪を犯さざろう得なかった環境(社会?)を恨みなさいよ」という事でしょうか。
けれど人間ってそうそこまで達観した境地にはなかなか至らないもので、被害を被った人は当然としても事件に関係の無い人であっても、罪を犯した人を恨み「アイツは犯罪者だ」とレッテルを貼る。そしてそれは犯罪者本人だけでなく、その家族にまで貼られてしまう。アイツは「殺人者の弟だ」と...
この本は弟のために罪を犯し服役中のた兄からの「手紙」と、殺人者の弟だという負い目をもった主人公の生活と心情を綴った話です。
犯罪者の弟が感じる疎外感。兄のことを隠して生活していてもやがてはバレてしまう。そのとたん腫れ物に触るように、あるいは露骨に自分たちの周りから弾き出そうとする人。なかには以前と変わりなくつきあってくれる人もいます。そしてとうとう、ある決心をした主人公に見せられた手紙。そこから感動のラストへと続きます。
読み終えてなんかスッキリしない(救いが無い)話ですが、東野圭吾の話の紡ぎ方に旨く、引き込まれます。
東野圭吾 著
ジャンル 小説
出版 毎日新聞社
357ページ(四六版)
価格 1,800円
シエスタおじさん。青空に浮かぶその人は空にぷかぷかと浮かび寝ている。
なにをするわけでもないが、空に浮かぶ姿を見ると幸せになれるとも言われている。
激しく動き回るときはなにかが起こるとも言われている。
ほとんど迷信の権化のようなおじさんと母を捜しにでかけたぼくとの話です。でもシエスタおじさんとぼくは会話をするワケでなく、ぼくの旅の中でところどころで寝ているだけ。
ぼくの旅では、様々な宗教談義が出てきます(さわりですけど)。よく分からないなんてことない話のようでいて、深い話なのかも知れない。ちょっと不思議なお話でした。
シエスタおじさん
青空に浮かぶその人はすべてを知っている
小暮満寿雄 著
ジャンル 小説
出版 文春ネスコ
158ページ (B6)
価格 1,350円
主人公の進一は12歳。
1963年、父親の破産でたった一人で父の戦友の九州の炭鉱町に預けられ、そこから始まる少年の冒険物語です。都会育ちだった進一が、炭鉱の町の子供たちや荒くれの大人にもまれ、逞しくなっていきます。
いまどきの子供は塾にTVゲーム、ホントに外で遊ばなくなったようですが、今の子供ととそして悪ガキとどっちが良かったか。でも子供だけではないですね。預けられた先の父親は昔の頑固親父そのもの。すぐ鉄槌が下るような親ですが、愛情が深いからというのがいろいろなシーンから滲みでます。それに対し進一の父親はある意味今日的。
始めの不安な出会いから、親友となった竹ちゃんとのヨットでの冒険、そしてラストの別れまで一気に読みました。 坪田譲治文学賞受賞作
上野哲也 著
ジャンル 小説
出版 講談社(講談社文庫)
317ページ
価格 619円