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Book アーカイブ

2008年03月12日

阪急電車/有川浩

阪急電車すっかりハマりつつ有川浩の新刊です。

 「袖摺りあうも他生の縁」。
阪急今津線の中で繰り広げられる人間模様を描いたオムニバスの短編集です。たまたま同じ電車に乗り合わせただけの老若男女。 そんな他人が同じ車内で励まさられ、叱られる。例えそれが直接声を交わさなくても...

微妙に絡み絡み合う16話が一冊の本としていい感じにまとまっています。

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2008年03月07日

街のアラベスク / 阿刀田 高

街のアラベスク実に久しぶりに阿刀田高の本を読みました。
昔はよく読んだのですが、ここ7~8年いや10年?まるっきり読んでいません。

でも先日、本屋に行ったら、この本が平積みになっているじゃないですか。
ちょうどボルネオで読む本は図書館で借りようかどうしようか迷っているところだったのですが、思わず手にとったのが運のつき、 そのままレジに持っていってしまいました。

 

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2008年02月11日

船の科学 / 池田良穂

図解・船の科学―超高速船・超巨大船のメカニズム ナッチャンRera」 という船を知っていますか?
昨年、青函連絡船に就航した最新のフェリーです。フェリーというと「さんふらわ」のような船が真っ先に思い浮かびますが、 この船はなんと双胴船。

 双胴船というとなんとなく鈍足のような気がしてましたが、ニュースでを目にした「ナッチャンRera」 はスマートでかなりスピードがでそうな感じ。
 それもそのはず、この双胴船はウェーブピアサーという最新の造船技術を利用して作られた高速フェリーで、 その最高速度はなんと45.4ノット(84km/h)。 実は大西洋横断のスピード記録を48年ぶりに更新したのがこのウェーブピアサーなのです。

 この本はそのウェーブピアザーの技術をベースに最新の船舶技術について紹介した本です。

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2008年02月06日

星新一 一〇〇一話をつくった人 / 最相 葉月

星新一 一〇〇一話をつくった人

 SFは読んだことが無いという人はいても、 星新一のショートショートを読んだことは無いという人はいないでしょう。

 わたしも何冊か文庫本を買ったこともあります。でもいつの間にか読まなくなってしました。 でも短くてもウィットに富み、何かを示唆してくれるような星新一のショートショートは、 O.ヘンリーと一緒に、一時期夢中になったものです。

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2008年01月21日

空の中 / 有川 浩

4840228248 日本が開発中であった国産旅客ジェットの実証機の墜落事故。
その墜落の原因を探っている最中、今度は自衛隊の戦闘機の墜落事故が発生した。高知沖上空に何かがあるのか?

 と、まあこんな感じで話はスタートします。
第10回電撃小説大賞大賞受賞作家・有川浩の第二作、と言うよりは「図書館戦争シリーズ」の著者によるデビュー後第二作と行った方がしっくりきますね。

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2008年01月11日

イタリアでうっかりプロ野球選手になっちゃいました / 八木 虎造

イタリアでうっかりプロ野球選手になっちゃいました この人、八木 虎造さんのことは、きっかけはなんだか忘れちゃいましたが、そのBlog 「野球素浪人」を発見してからずっと愛読してました。

 仕事中毒で廃人同様になった反省で、日本(仕事)を離れシチリア島へ。
そこでのんびりとバカンスを過すハズが3日でホームシック、1ヶ月で仕事再開。そんな中、アテネオリンピックで見た野球に影響され、無性に野球がしたくなって入ったチームはセリエAのプロリーグだった...

 とまあこんな感じで綴られている「野球素浪人」が書籍になりました。大体はBlogで読んでしまっているのですが、活字で見るとやっぱり頭への入り具合が違いますね。

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2008年01月02日

パール判事 / 中島 岳志

パール判事―東京裁判批判と絶対平和主義 いろいろ議論がある東京裁判。
その裁判で無罪判決を出したというパール判事については、なんとなくそんな人がいたなぁというコトぐらいでよく知りませんでした。(もちろん東京裁判についても)

 そんな中、shidehiraさんのエントリーでこの本を知り、また奇しくも安部元首相がインドを訪問した際パール判事の息子に面会したというニュースを耳にしたのもあって、読んでみることにしました。

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2007年12月27日

ホルモー六景 / 万城目学

ホルモー六景 鴨川ホルモーで衝撃のデビューを果たした万城目学さん。今回はその鴨川ホルモーの別ストーリー、恋がテーマです。

 鬼どもを操り、ホルモーを戦ったってやはり大学生。
そこには恋が芽生えることもあります。
でも万城目ワールドですから、その恋はちょっと風変わりなものばかり

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2007年12月18日

クジラの彼 / 有川 浩

クジラの彼 「図書館戦争」を読んでみて、ちょっと興味を持った有川 浩さん、他にはどんな本を書いているんだろうと読んでみました。 

 えーっと、相変わらずの制服フェチというか、自衛隊等がお好きなのは、まあ、おいといて、なかなか良かったです。
 「図書館戦争」のようなライトノベル系とは違った普通のラブストーリーですね。登場人物が自衛官というだけで...

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2007年12月13日

工場萌え / 大山 顕・石井 哲

工場萌え 先日の「恋する水門」に続いては「工場萌え」。
ちょっとディープな方向に入ってきてしまいました(笑)

水門は見ていてなんだか親しみが持てるのですが、さすがの私も工場のプラントはちょっと... 確かに、高い煙突はカッコいいし、丸いタンクがかわいいとは思いますが、ここに出ている工場はそんな生易しいものではありません。

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2007年12月10日

延長戦に入りました / 奥田 英朗

延長戦に入りました (幻冬舎文庫) 空中ブランコで直木賞を受賞した奥田 英朗さんが、作家デビューする前にMONOマガジンに寄稿していたエッセイ「スポーツ万華鏡」をとりまとめた本です。

MONOマガジンであって、Numberじゃないところがポイント(笑)
なぜってスポーツそのものというより、スポーツ周辺のどうでもいいことを取り上げているエッセイだから...

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2007年12月06日

恋する水門 / 佐藤 淳一

恋する水門―FLOODGATES 先日、荒川CRをジオキャッシングしながら、サイクリングしてきました。

 ちょうどこの写真集を見てたところだったので、実践とばかりにところどころにある水門をじっくり鑑賞してきました。
 この本で水門の構造を初めて知って、「おっ!ホントにローラーがついてる!」とか、「確かに水門の脇には排水機場が必ずあるんだな」とか...

 写真集で予習して行ったせいもあるのかも知れませんが、今までおんなじようなものだと思っていた水門が、よく見ると実に個性的であることに気づきました。

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2007年12月02日

図書館革命 / 有川 浩

図書館革命 図書館戦争シリーズの最終巻です。

原発を襲ったテロ発生!
その事件の参考にされたと覚しき小説を書いた小説家は、メディア良化委員会によってを拉致・幽閉の危機に! それを阻止する為に保護した図書隊の奮闘ぶりは如何に!

とまあ、今書いても設定は荒唐無稽。
でもそういう設定があるのが、SF、いや小説の醍醐味ですからね。あとは如何にその世界に入っていけるかどうか...

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2007年11月28日

野球の国 / 奥田 英朗

野球の国 (光文社文庫) プロ野球シーズンが終わってから約2ヶ月が経ち、今やストーブリーグも終盤戦。

 FAを取った誰々はどこに行くのか、はたまた誰が来るのか...
来る選手はともかく、出て行く選手には愛着がありますから、この季節はいつも複雑な心境になってしまいますね。

そんな気分を紛らわし、シーズン中のスタンドのあの雰囲気を思い起こすために読んでみました。

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2007年11月20日

すばる望遠鏡の宇宙 / 海部 宣男・宮下 暁彦

すばる望遠鏡の宇宙 カラー版―ハワイからの挑戦 (岩波新書 1087) すばる、それは日本が誇る世界最大の一枚鏡をもつ反射望遠鏡です。
ハワイのマウナ・ケア山にあるその天体望遠鏡の名を耳にしたことがない人はいないでしょう。遙か彼方の宇宙の星々の綺麗な写真には目を奪われます。

 またちょっと技術に興味のある人なら、直径8.2mという世界最大の反射鏡を制御する最先端の技術(鏡の自重による歪みを制御する為、裏側からコンピュータ制御されたアクチュエーターで鏡を押し出す)に興味を持つかもしれません。

 この本はそういったすばる望遠鏡の技術・建設物語と、様々な写真を織り込んだすばるによる研究成果を織り込んだノンフィクションです。

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2007年11月16日

ダーティペアの大帝国 / 高千穂 遙

ダーティペアの大帝国 (ダーティペア・シリーズ 7) ついつい買ってしまったダーティペアシリーズ。
ダーティペアの大征服の続巻です。

 こういう上下巻に分かれている話って、発行のタイミング、つまり上巻と下巻の間の感覚が結構重要だったりしますよね。同時発売じゃないということは話が書き下ろされていないということでしかもその間隔が長いとなると...

 で、この話は約1年半の間が空いてしまいました。

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2007年11月12日

シャクルトンに消された男たち / ケリー・テイラー=ルイス

シャクルトンに消された男たち―南極横断隊の悲劇 イギリス人探検家 シャクルトンをご存知でしょうか?

 シャクルトンは南極大陸横断に挑戦した探検家なのですが、彼が有名になったのはその探検で船を失い南極圏を彷徨いながら、一人の犠牲者出さなかった点にあります。その17ヶ月間が綴られた「エンデュアランス号漂流」は読み応えのある名作で、アラスカで命を落とした写真家 星野道夫の愛読書だったというのもわかります。

 その不屈の精神とリーダーシップで知られるシャクルトンですが、実はその影で命を落とした人たちがいました。本隊をサポートすべく結成されたロス海支隊です。この本は、そのロス海支隊の壮絶な戦いについて綴られた本です。

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2007年11月07日

すずめのほっぺはなに色ですか? / 阿川佐和子編

教えて!gooの本 すずめのほっぺはなに色ですか? 阿川佐和子編    教えて!gooの本 昔読んでいた、読売新聞。 その朝刊には人生相談のコーナーがあって、いろいろな悩みの相談が掲載されていました。

 はっきり言って内容はかなり複雑でシリアス、どう考えても「そんな複雑な相談が毎日続くワケないだろ」という感があって、人生相談という形をとった読み物(フィクション?)でした。
 そういう相談モノって、軽い方向に行くと子供電話相談室とかありますが、なんだかんだ言って結構人気があるんでしょうね。

 WEB上でもその手のページ、YOMIURI ONLINEの発言小町や、この教えて! gooは人気があります。 発言小町は前述の人生相談っぽいのがメインですが、教えて! gooは子供電話相談室みたいで、素朴な疑問、難問、珍問の嵐、気軽に楽しめるページです。

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2007年11月01日

もう一度会いたい / 佐藤 あつ子

もう一度会いたい―思い出の人、さがします 探偵社というとイメージするのは、まずは浮気調査ですかね?

 この本の著者は「初恋の人探します社」の代表、その名の通り誤解したまま別れてしまったあの人、あの時、行方のわからない恩人、そんな人たちを探し出す仕事をしている探偵社の社長さんです。

 もちろん探偵社ですから、社名のようなロマンチックな初恋の相手探しだけでなく、浮気調査やW不倫の末に駆け落ちしてしまった二人を探すような仕事もします。
 中にはSMクラブの女王様を探し出すような仕事も...

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2007年10月27日

ピクトさんの本 / 内海 慶一

ピクトさんの本 最近、Blog界で盛り上がりつつあるピクトさん。そのピクトさんの本を借りてきました。

 ピクトさんの名前を知らない人でも、この本の表紙を見ればすぐに彼らが誰であるかすぐ判るハズ。
「あ~あのヒトたちねぇ。いつもお世話になっているわ」 と...
 そう、彼らは身を挺して我々に危険を知らせているのです。そんなピクトさん達に敬意を表することはとても大事です!

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2007年10月22日

いなかのせんきょ / 藤谷 治

いなかのせんきょ いなかというと、誰もが顔見知り。
だから選挙だって、事前のネゴがあって無投票で当選してしまうか、はたまた因縁の骨肉を争う戦いになるといったイメージがありますよね。

 この話の舞台は、村長さんが市町村合併失敗の責任を取って辞任、選挙となったの戸陰村。
次の村長にと担ぎ出された担ぎ出された深沢清治。
本人もやる気になって立候補したところ、あいつは生真面目で堅物だから大変だと思った一派が対立候補を立てたから、さあ大変。
 何十年ぶりの選挙戦のはじまりはじまり...

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2007年10月18日

「婦唱夫随」の宝探し / 辰尾 良二 ・辰尾 くみ子

週末は「婦唱夫随」の宝探し ジオキャッシング→宝探し→隕石、と来たら...
お次は宝石探ししかないでしょう(笑)

 キラキラ輝く宝石。
宝飾品には興味なくても、やっぱり光るものには心惹かれるものがありますよね。ましてやそれが自分で掘り出せるのなら...

 そういえば先日、日本でダイヤモンドが見つかったというニュースを耳にしました。まあアレは目に見えないほど小さいものでしたけど。でも...

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2007年10月16日

テルミン

大人の科学マガジンVol.17 テルミン (Gakken Mook) テルミン買いました。(厳密にいうと大人の科学 9月号だけど)

 以前より出たら買うぞと意気込んでいた割には、しばらく放置プレイ。
発売日には買うには買ったのだけど、単三電池が無かったもので...

 ようやく先週、電池を買ってきて組み立ててみました。
けど...なんか思ってたのと音が違う。

 もうちょっと電子的な澄んだ金属っぽい音かと思ってたのだけど、こんな音なの?
なんか草笛というか、クチビルをぶぶぶーと鳴らしたような音がしてます。

 組み立てた当初、音がならねえゾと右側のダイヤルをいろいろとイジリまくったのが原因かなぁ? うーん...

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2007年10月12日

隕石コレクター / リチャード・ノートン

隕石コレクター―鉱物学、岩石学、天文学が解き明かす「宇宙からの石」 GPSを使った宝探し、ジオキャッシングにハマっている私ですが、ジオキャッシングという遊びは探す行為を楽しむ遊びです。
 なにが言いたいかというと、"宝"探しと言っても、見つかる宝はちっとも宝なんかじゃなく(もちろんいいものもありますけど)妻に言わせると、「またガラクタを拾ってきて」となるわけです。

 それが隕石なんかだったりすると、たぶん文句は出ないハズ...ということでちょっと興味半分にこの本を図書館で借りてきました。きっかけはそんな軽い気持ちだったのですが、読んでみたらすっかり隕石の魅力に取り付かれてしまいました。

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2007年10月05日

ドイツ兵士の見たニッポン / 習志野市教育委員会

ドイツ兵士の見たニッポン―習志野俘虜収容所1915~1920 (丸善ブックス) 数年前に「バルトの楽園」という映画があったのはご存知ですか?
第一次世界大戦時、中国の青島で日本と戦い、捕虜になったドイツ兵と日本人の交流を描く作品で、徳島県鳴門市に実在した板東俘虜収容所が舞台のお話です。

 残念ながら私はその映画はまだ観ていないのですが、実はそのような捕虜収容所は日本各地に12ヶ所あり、最大の収容所が習志野市にあった習志野俘虜収容所なんだそうです。

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2007年09月20日

ホメイニ師の賓客 / マーク・ボウデン

41520882494152088257 イラン革命が起きたのは約30年前の話。その時、アメリカ大使館の占拠事件が起きたのはご存知でしょうか?

 私自身、なんとなくそんな事件があったのは知っています。
しかしその事件の首謀者は学生であり1年以上も占拠、大使館員を人質にしていたとは知りませんでした

 この本はその事件がどのようにして発生し、どういう経過をたどり終結したかを綴ったノンフィクションです。

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2007年09月14日

暗殺のアルゴリズム / ロバート・ラドラム

41022041804102204199 マット・デイモン主演でヒットした映画「ジェイソン・ボーン」シリーズでおなじみのロバート・ラドラムの小説です。

 彼の死後発見されたものだそうですが、どんなのだろうと思って読み始めました。

 いやー、流石ですね。ジェイソン・ボーンシリーズを読んだときにも感じましたが、テンポの良さ、ストーリーの緻密さそして主人公の当惑・疑惑といった心の移り変わり、どれをとっても天下一品です。

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2007年08月29日

毎日かあさん4 出戻り編 / 西原理恵子

4620770574 数ある西原さんの本の中で、なぜか毎日かあさんシリーズだけは読んだことありませんでした。なぜなんだろう?

 このシリーズ第四作は、帯にあるように今年無くなった元ダンナの鴨ちゃんとの最後の日々の様子を、書き下ろしも含めて収録されているということで、いきなり4巻から買っちゃいました。

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2007年08月18日

夜明けの街で / 東野 圭吾

4048737880 東野圭吾の新作。
 「不倫をするやつは馬鹿だ」そう思っていた僕だけど、よりによって「旦那が浮気したら殺す」と呑み会の席で発言した派遣社員の秋葉と不倫の恋に落ちてしまった。

 しかもその秋葉は、まもなく時効を迎える殺人事件の真相を知っている。時効の日が来るまでは絶対にあかせない秘密をもった彼女。真相を探り続けてきた被害者の妹や刑事から、少しずつ事件の様子が判ってきた。

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2007年08月08日

フェラーリと鉄瓶 / 奥山 清行

4569656439 GM、ポルシェ、そしてフェラーリをデザインした日本人 Ken Okuyama こと奥山清行さんの初の著書です。

 デザイナーというクリエイティブな仕事を極めた人の著書でもあり、またタイトルに惹かれて読んでみました。ただ結論から言うと、タイトルと本文の関連は全くわからず...

 なんとなく、フェラーリをデザインすることも鉄瓶をデザインすることも根幹では一緒なんですよ、なんてメッセージがこめられていることのは見た瞬間わかりますが、本文中にはそういう記述はほとんど無し。かろうじて、「おわりに」の冒頭の4行にそういう記載があるだけ。
ちなみに本文中にも鉄瓶についての記載は終わりの方に1ページだけしかありません。

 ただ、だからと言ってこの本が読むのに値しないかというと、まったくそんなことは無くむしろ考えさせられるところが多数ありました。タイトルにやられた、って感じですね(笑)

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2007年08月03日

海坂藩大全 (上)(下)/ 藤沢 周平

9784163255705.jpg9784163255705.jpg 「蝉しぐれ」/「たそがれ清兵衛」など藤沢 周平の作品にたびたび登場する架空の藩、海坂。その海坂藩を舞台にした短篇集が海坂藩大全です。

 海坂藩は藤沢氏の故郷、山形の鶴岡市にあった庄内藩をモデルにしているそうですが、美しい自然、四季折々の風景がまるで目に浮かんでくるようです。

 小説ですから、お家騒動、商人との癒着、隠密との暗闘などを題材にした話ではあるのですが、海坂藩はそんなにゴタゴタが続いているのかと、ちょっと心配になってしまいます(笑) むろん各話の間に関連が無くたって全然構わないのですが、あまりにもリアルな設定に実在の藩の実在の事件であるかのように感じてしまいます

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2007年07月27日

図書館戦争 他 / 有川 浩

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 図書館戦争が「本の雑誌」が選ぶ2006年度上期エンターテーメント作品 第一位ということで本屋に並んでいたのが去年のこと。
 図書館員が武装化して戦うという荒唐無稽の設定に興味を惹かれたものの、買うほどでもないかと思ったら、いつのまにやら続巻が。なら、読んでみるかと、図書館で借りてきました。

 一言で言ってしまうと、いわゆるライトノベルのジャンルの本です。
オヂさんが読むにはちょっと、こっ恥ずかしい...
けど結構テンポが良くて、なかなか面白かったのは確か。

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2007年07月21日

蝉しぐれ / 藤沢 周平

416719225X 先日読んだ、憑神がちょっと正統派時代小説から外れてたように思えるので、藤沢周平の代表作とも言える蝉しぐれを読んでみました。

 舞台は藤沢周平作品によく出てくる仮想の藩、海坂藩。そこに育った少年藩士の成長を描いた物語です。
 幼なじみとの友情や淡い恋、父との死別、そして藩内の内紛といろいろな要素が絡み合って、物語は進みます。

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2007年07月09日

「世界征服」は可能か? / 岡田 斗司夫

4480687629 昔からアニメや映画の悪役が目指すのは世界征服。

でも毎回正義の味方に撃破されてしまっている様子を見て、思ったことがありませんか? 「お前らのやり方じゃ、とうてい無理だ。オレに任せてみろ」と...

 そんなあなたにどうやったら世界征服ができるのか、古今東西の事例(?)を元に世界征服について研究したのがこの本です。

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2007年07月01日

憑神 / 浅田 次郎

410101924X この前、藤沢周平のたそがれ清兵衛を読んだし、また時代小説でも読むかなと本屋をうろついていて見つけた本がコレ。

 なんでも妻夫木聡主演で映画化される、というより公開中。しかも原作は、結構好きな作家である浅田次郎。

ということで読み始めました

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2007年06月26日

たそがれ清兵衛 / 藤沢 周平

4101247218 藤沢周平原作で、数年前に真田広之/宮沢りえが出演で映画化されましたね。

映画自体見てないのですが、ずいぶんと評判が良く以来、続々と時代劇映画が作られていったような気がします(「武士の一分」とね)

「たそがれ清兵衛」自体は40ページほどの短篇で、この本には同じような「ど忘れ万六」や「ごますり甚内」などのあだ名がつけられた下級藩士の生活を描いた短篇が8篇、納められています。

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2007年06月16日

裁判長!これで執行猶予は甘くないすか / 北尾 トロ

4163675604近々始まる裁判員制度。
だからじゃないけど、裁判所ってどんなトコだろう?とちょっと興味が湧いたりしませんか?普通に生活していると縁のないところだけど、いつ何時裁判に巻き込まれるかわかりません。
あのネコ裁判のようにね。

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2007年06月07日

できるかなクアトロ / 西原 理恵子

4594053513 できるかなシリーズも、とうとう第四弾。
 けれど内容は、できるかなシリーズとそれにその他のシリーズとを収録した短編集ですね。面白からどうでもいいのだけど。

 それより西原さんというと、どうしても先日亡くなった元ダンナの鴨ちゃんこと鴨志田穣さんのことが頭に浮かびます。この本の中にも入院している鴨ちゃんを見舞いに行く話が載っていて、なんか感慨深いものがありました。

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2007年05月25日

あやしい探検隊 焚火発見伝 / 椎名 誠

あやしい探検隊 焚火発見伝 椎名誠と怪しい探検隊の面々がタヌキにアンコウにバカ貝にと、日本全国(一部モンゴル)に出撃。
その土地で野外料理のスペシャリスト林さんが、こりゃまたバッタバッタと調理しまくり、そしてその食材についての馬鹿話。そんな本です。

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2007年05月11日

鹿男あをによし/万城目 学

鹿男あをによし 「鴨川ホルモー」で鮮烈なデビューを飾った万城目 学の最新作です。

 前作の舞台が京都なら、今回の舞台は奈良。
そして奈良といったら、鹿でしょう。
ということで、今回も魑魅魍魎とはちょっと違うけど、「鴨川ホルモー」と同様の「万城目ワールド」が展開されます。

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2007年04月18日

旭山動物園の奇跡/SPA!編集部

旭山動物園の奇跡 旭山動物園、最近TVや雑誌などでよく見かける人気の動物園です。

なにせ動物の見せ方が独特。
雑誌の写真なんかを見ると、それだけでそこに行きたくなっちゃうような、今までの動物園の常識を覆すような展示方法が盛りだくさんです。
表紙の「空を飛ぶペンギン」や「空中散歩するオラウータン」などなど...

私も実は行ってみたかったりします。

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2007年04月03日

自転車通勤で行こう / 疋田 智

自転車通勤で行こう 子供の頃、移動の手段といえばもちろん自転車でした。

単なる移動の手段だけではありません。
いい自転車は垂涎のまなざしで見つめられ、乗っている奴は鼻高々だったものです。(オトナになった今もその構図はそんなに変ってないかもしません...笑)

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2007年03月20日

C.H.E.

C.H.E.(チェ) 昔ほどではありませんが、最近中南米の情勢が慌ただしいですね。共通しているのはベネズエラのチャベス大統領を代表とする反米を掲げる左派政権の誕生。むろんその根底にあるのは民衆の現状への不満なんでしょうね。

 この本は5年前に書かれた本ですし、舞台は架空の国リベルタですが、それでも一部の富める者へのさらなる富の集中、腐敗した政府、そんな舞台を良く描いているような気がします(中南米には行ったことがないのですが)

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2007年03月14日

硫黄島の星条旗 / ジェイムズ ブラッドリー

硫黄島の星条旗 (文春文庫) 映画「父親達の星条旗」の原作です。

 アメリカにとって最大の激戦地となった硫黄島。
その硫黄島の摺鉢山(ホットロックス)の頂上に、今まさに星条旗を掲げようとする6人の海兵隊員。その様子をとった写真はピュリッツァー賞を受賞し、その海兵隊員達は英雄として祭り上げられます。
 写真の中の一人である著者の父 ジョン・ブラッドリーは、帰国後、英雄として驕るではなく、むしろそのことは隠すかのようにひっそりと生活し、そしてその生涯を閉じました。

 なぜ父は口をつぐんでいたのか、硫黄島で、帰国後に何を見て体験したのか疑問をもった作者が、6人の海兵隊員の生い立ち、硫黄島での闘い、そしてその後の生涯について調べ綴ったのがこの本です。

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2007年03月02日

散るぞ悲しき / 梯 久美子

4104774014 東京の南、約1200kmにある南海の孤島、硫黄島。

 世田谷区の約半分の広さのこの島は、第二次世界大戦の趨勢を決する要衝であるがゆえ、61年前の今頃、日米双方の血で血を洗う壮絶な戦いが繰り広げられていました。その1ヶ月半に及ぶ戦闘を題材に、日米双方の視点より映画化されたのが「硫黄島からの手紙」であり、「父親達の星条旗」です。

 この本は「硫黄島からの手紙」の原作ではありません。しかし日本側の指揮官、栗林中将の人柄、戦いぶりを知る上で貴重なノンフィクションだと言えると思います。

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2007年02月24日

世にもマニアな世界旅行 / 山口 由美

 なんとなくタイトルだけ見ると、凄い秘境で凄い体験をする旅行記のように思えますが、意外と普通の旅でした。

 取り上げられている国々はスロヴェニア、パプアニューギニア、ボルネオ、ナミビア、コスタリカ、アラスカ、イースター島。だけどパプアニューギニアとナミビア以外は、なじみがないところだとはいえ普通の観光地。
ボルネオは私も行きましたしね(笑)

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2007年02月16日

コフィン・ダンサー / ジェフリー・ディーヴァー

 ボーンコレクターシリーズの第二作です。
 捜査中の事故で全身不随の体になってしまったライムと、彼の手足となって現場での鑑識を行うアメリアが主人公の小説ですが、今回も始めからぐいぐいと引き込まれてしまいました。

 やっぱり面白い小説というのは、いかにその作中に入っていけるかが一つのポイントだと思いますが、この「コフィン・ダンサー」はその点は十分に合格です。

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2007年02月09日

緊急招集~スタット・コール / 奥村 徹

 地下鉄サリン事件と聞いてまっさきに思い出す光景は、ヘリコプターから映し出される築地本願寺前の築地駅の様子。いつもは車が走っている道に横たわる人々に、東京消防庁のスーパーアンビュランスが強烈な印象として記憶に残っています。

 たくさんの被害者が出たあの事件で、スーパーアンビュランスを始めとする救急車はフル稼働だったと思いますが、サリン事件を扱った村上春樹の著作「アンダーグラウンド」で、大多数の被害者は救急車以外の手段で病院に向かったことを知りました。

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2007年02月01日

地獄のババぬき / 上申宣之

 「このミス」で第二位となった本の続編、ということで買ってみました。

そもそも、その「このミス」で二位となった作品を全く読んでいないので、ひょっとしたら理解できないところが出てくるかな?とも思ったのですが、そんなことはありませんでした。

 この話設定からして、荒唐無稽。
乗客が全員口にしたお菓子に毒物が仕込まれていて、解毒剤を手にするにはババ抜きで勝ち抜かなければならない。 前作もそうだったのかもしれませんが、あまりにバカバカしい設定

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2006年12月23日

生かされて / イマキュレー・イリバギザ

 ルワンダの大虐殺については、「ホテル・ルワンダ」を観てから、いくつか本を読みましたが、考えてみれば直接の被害者の書いた本を読むのは初めてです。

 イマキュレーさんは悲劇の後、国連職員となり、結婚してアメリカに渡り講演活動をしていた際、アメリカの著名な心理学者ウェイン・ダイアーに出会い、この本を出版することになったようです。

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2006年12月10日

T.R.Y. 北京詐劇/井上 尚登

 第19回横溝正史賞正賞を受賞し、ベストセラーとなった 「T.R.Y.」 の続編です。

 様々な思惑と陰謀が渦巻く、二十世紀初頭の上海。
大きな時代のうねりの中で、再び伊沢修は中国の革命家と手を組みペテンを繰り広げます。ターゲットはなんと時の権力者、袁世凱。伊沢は袁世凱をペテンにかけて、無事、ずらかることができるのか!?

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2006年11月30日

心にナイフをしのばせて/奥野 修司

 酒鬼薔薇事件から遡ること28年前、川崎の高校で同級生による殺人事件。その凄惨さは酒鬼薔薇事件を彷彿させる、いや順序から言うとそれは逆なのでしょう。

 その殺人事件が、被害者家族にとってそれまでの幸せな生活に激変をもたらしたことは想像に難くありません。この本はそして30年あまりの月日が経った今、残された被害者家族は立ち直ることができたのか、そして事件の加害者はどうしているのかをルポルタージュしたノンフィクションです。

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2006年11月21日

ボーン・コレクター / ジェフリー ディーヴァー

 1999年に公開された映画の原作です。
 映画のキャスティングを見ると、主人公のライムにデンゼル・ワシントン、ヒロインのアメリアにアンジェリーナ・ジョリーとそうそうたる顔ぶれが並んでるんですね。そういえば劇場公開の頃に見たいなと思った記憶がありますが、もしかしたらハンニバルと勘違いしてるかもしれません。

 まあいずれにせよ、私にとっては映画の原作というより、最近読んだ「12番目のカード」の「ライム・シリーズ」の一番始めの本ということで読んでみたわけなんですけど...

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2006年11月12日

ウルトラダラー/手嶋 龍一

ご存知のように偽札、核開発、ミサイルといったあの国の様子を予言していや、これはノンフィクションだと話題になった本です。買おうかどうしようか悩んだのですが、結局図書館でリクエストして何十人待ちの順番待ちをして読みました。

結論から言うと「買わなくて良かった!」 はっきりいって駄作です。
あんまり私は批判的なことは書かないのですが、この本は例外ですね。

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2006年11月02日

ハヅキさんのこと/川上 弘美

 「短篇というには、少々短い長さの小説」とあとがきにありますが、そんな長さの話を20篇以上集めた本です。

そもそも話の長さからいって深い背景まで判らないこと、ドラマチックというより本当にありそうな、そんな情景だということもあって、まるで私小説のような感じがしてしまいます。

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2006年10月25日

鴨川ホルモー/万城目 学

  葵祭りのバイトの帰り道、上賀茂神社の片隅で京大青竜会なるサークルに誘われた主人公。

なぜ京大生なのが判ったのか?
そもそも何をするサークル? 疑問を抱きつつも、出かけたコンパで一目惚れ。
とまあ、大学生活(サークル)における青春小説です。

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2006年10月16日

12番目のカード / ジェフリー・ディーヴァー

 読んでから訳者後書きで知りましたが、この本、あの"ボーンコレクター"のシリーズだったんですね。

 映画化された"ボーンコレクター"ですが、どうも記憶が羊たちの沈黙とごっちゃになっています。見たような見てないような..
調べてみたら、映画はデンゼル・ワシントンとアンジェリーナ・ジョリー主演ということなので、どうやら見ていないみたいですね。

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2006年10月05日

宝石泥棒の告白 / ビル・メイソン

 40億円の宝石!
 それだけでちょっとした驚きですが、それだけの金額の宝石を盗んだ泥棒がアメリカに実在するというのもまた驚きです。
しかも人を傷つけない、留守宅を狙う、単独行動という三原則を決めて行動しているとくれば、映画のような話じゃないですか。

その宝石泥棒(著者)の告白に基づいて、ノベライズされた本がこの本です。

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2006年09月30日

温室デイズ/瀬尾 まいこ

 昔、自分が通っていた中学も、荒れた中学と言われていました。

いわゆる20年ほど前、暴走族の最盛期の頃です。
横浜銀蠅、ナメ猫等 いわゆるツッパリがカッコイイという風潮があり、それっぽいカッコをしている生徒は沢山いましたが、本当の意味でグレた生徒はほんの一握りだったような気がします。
ガラスを割る、火災報知器を鳴らす、廊下をバイクで走るなんてコトをしていたのはその一握りの生徒達でした。

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2006年09月15日

時生/東野圭吾

 不治の病を患う息子、時生。
主人公の拓実は若い頃、自分の息子に会ったことがある。いや自分の息子に会ったからこそ、現在の彼がある。
そんな不思議な体験を綴った、いわゆるタイムスリップものです。

読了後、さすが東野圭吾だなと感じた話でした。

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2006年08月29日

全日本「食の方言」地図/野瀬泰申

 かなり昔のこと、裏磐梯に遊びに行った帰り、福島県の須賀川市辺りで昼食を食べたことがあります。その時何の気なしに頼んだカツ丼、それがソースカツ丼との始めてでの出会いでした。いやーびっくりしました。これは何?って感じですよね。
 それまでカツ丼といえば、出汁で煮て卵とじしかないと思っていましたから... しかし、恐る恐る食べた初ソースカツ丼は甘辛いタレ(ソース)が美味しく、ぺろりと平らげてしまいました。

 そうなんです。一言にカツ丼といっても、それが卵とじが当たり前の地方とソースカツ丼が当たり前の地方もあるのです。
 この本はそんな「食の方言」を取り上げた本です。

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2006年08月22日

女盗賊プーラン/プーラン・デヴィ

 この本は低いカースト出身、盗賊となり投降した後、インドの国会議員となりそして暗殺されたプーラン・デヴィが口述筆記(彼女は文盲)によって綴られた自伝です。 自伝ですから、もちろん自分に不利なことはあまり書かれていないであろうことは容易に想像つきます。

 しかしそれを割り引いても、インドの貧しい農村における実情には驚きました。生まれてから、幼くして結婚させられ、レイプされ、盗賊となり、復讐を遂げ、そして警察に投降するといった半生はまさに壮絶としか表現のしようがありません。

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2006年08月08日

栄光なき凱旋/真保裕一

 真保裕一の新作ということで読みましたが、社会派というか大河ドラマ系というか、今までのちょっと毛色が異なる小説です。

 太平洋戦争勃発によって、その運命を狂わされたアメリカ在住の日系2世達。彼らの苦悩を描いた小説ですが、単純に日系2世の若者がアメリカ社会の偏見の中で軍隊に志願し、そして戦う、それだけの小説ではありません。
 この手の話であれば、日本という国を信じている1世達とアメリカで生まれ育った2世の世代間の考え方の違いは必ず取り上げられますが、対立軸はそれだけではありません。

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2006年07月26日

ナツコ―沖縄密貿易の女王/奥野 修司

 戦後の混乱期、激戦の痛手を負った沖縄。

終戦からの6年間、ケーキ(景気)時代とも呼ばれる、沖縄の人々が誰もがこぞって密貿易に関わっていた時代がありました。混乱の時代だからこそ、自分自身の器量で大金を掴むことができる。

そんな沖縄の人たち自身が煌めいていたウチナー世において、その中でもひときわ輝いていたのが夏子です。

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2006年07月21日

マウンドの記憶/平山 譲

 マリーンズの魂のエースと言われるジョニーこと黒木智宏。マウンドの上からバッターを睨みつけ、雄叫びを上げる。

最近は1軍で登板することはほとんど無くなりましたが、それでもマリンスタジアムでジョニーが登板すると球場の雰囲気はガラリと変わります。そう選手もファンでさえも。
昨年、ジョニーが先発した8月28日は凄い熱気でした。

この本はそんなジョニーの半生を追った本です。

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2006年07月04日

ユダの福音書を追え/ハーバート・クロスニー

 今日のキリスト教の根幹である聖書。
その聖書は、マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネの4つの福音書、使徒書、パウロの書簡などで構成されます。現在のこの形になったのは西暦200年頃といわれてますが、その頃はマリアの福音書そしてユダの福音書を正典にもつグノーシス派など様々な宗派があったそうです。

 しかし新約聖書の編纂・普及により、もともと異端と見なされていたそれらの福音書は失われていきました。その失われたと思われたユダの福音書が発見されたということは、原始キリスト教の姿を知る重大な発見です。

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2006年06月20日

夜の公園/川上 弘美

 夫が好きでないことに気づいてしまったリリ。
結婚した時は好きだったはずなのに...
家には居たくない。
夫が寝ている家をそっと抜け出し、夜の公園をふらふらと散歩する。深夜だというのにいろんな人がいる公園。千鳥足の人、寝そべっている人
そして自転車でぐるぐると廻っている青年。
その彼と昼間のスーパーで出会って...

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2006年06月06日

カラシニコフII /松本  仁一

 AK47、通称カラシニコフ。
簡素な構造がゆえに信頼性の高いこの銃は世界中の紛争地帯で必ず登場します。

 前作ではアフリカの"失敗国家"におけるAK47の実態に迫った力作でしたが、今回も南米とアジアにおけるAK47に迫ります。

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2006年05月29日

ダーティペアの大征服/高千穂 遙

 ダーティペアシリーズの最新作

 惑星キンメリアの大陸の一つ全体をアミューズメントパークとした、それがバーバリアンエイジ。
アミューズメントパークといっても単なる遊園地じゃなく、ヒロイック・ファンタジーの世界を最新テクノロジーで実現させた、まさに入場者自身が登場人物として身を持って体験するリアル体験のロールプレイングゲーム。
 本物の剣と魔法、それを提供するバーバリアン・エイジがの人気にならないワケがない。あっという間に、銀河系一の超人気のテーマパークとなった。
そのテーマパークで事件が発生し...

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2006年05月17日

BE-PAL

 アウトドア雑誌のBE-PALがなんと創刊25周年、300号を迎えました。

 私は25年前の創刊号に出会った時の衝撃は、今でも覚えています。それまでのアウトドア関連の雑誌といえば、山と渓谷のような山岳系の雑誌がほとんど。OUTDOORという雑誌もありましたが分厚くて重く、しかも値段が高かったんですよね。

 そんな中発刊されたBE-PALは、表紙からして思わず目を惹くタンクトップの女性の写真!値段も250円という安さ。確か創刊号と創刊第二号は親父が買ってきたのですが、それ以降は少ない小遣いを遣り繰りして買い続けたのでした。

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2006年05月11日

白洲次郎 占領を背負った男/北 康利

 今、エッセイスト白洲正子の名前は知っていても、その夫 白洲次郎について知っている人は少ないのでは無いでしょうか。 私もその一人でした。

 戦後の日本政府の窓口として、GHQと激しく対峙した唯一の日本人であり、日本の独立と経済復興の影の立役者。その一方でイギリスで学んだ紳士の哲学 ”プリンシプル” を大事にするダンディな男、それが白洲次郎です。

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2006年05月02日

エニグマ暗号戦/広田厚司

 パズル・パレスを読んでエニグマに興味を持った訳ではないのですが、暗号に関する話です(エニグマに関する本を買いに行って、ついでに見かけたパズル・パレスを買ったら暗号に関する話だった...というのが真相です。まっどうでもいいですけど)

 エニグマは第二次大戦中にドイツ軍が使用していた解読が不可能といわれていた携帯型の暗号機です。
戦時下において自分達に関する情報が洩れないように、無線通信を暗号化するというのは想像に難くないですし、逆に敵の通信を傍受して自分達の作戦を優位に運ぶというのもまたしかりですね。

 この本ではエニグマ暗号の解読に取り組むイギリスそしてドイツとの、静かなる、でも重要な戦いを描いた本です。

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2006年04月19日

パズル・パレス/ダン・ブラウン

 この本は ダン・ブラウンの最新作だと私は思いっきり勘違いしてましたが、実はデビュー作なんですね(いや日本においては最新作には間違いないんだけど...)

 この本はアメリカのNSAを舞台にしたサスペンスです。NSAという機関は世界中の通信を傍受している、アメリカの国益に役立つような情報を集める実在する諜報機関で、エシュロンという通信傍受システムは有名ですね。

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2006年04月07日

漂泊のルワンダ/吉岡 逸夫

 4月7日が何の日だか知ってますか?
12年前の今日、ルワンダで民族大虐殺が始った日です。前の日にルワンダ大統領の乗った飛行機が撃墜されたことから、約100日間に及ぶ民族間の悲劇が始りました。

 私は年初にホテルルワンダを観て、それから最近この本を知り手にとりました。
そして何気なくルワンダについて改めてネットを調べていて、4月7日という日を知りました。単なる偶然なのでしょうが、そのタイミングにちょっと驚いています。

 この本は、ルワンダから隣国ザイールに逃れた難民を支援する為に派遣された自衛隊を、取材したカメラマンが書いています。つまり、時間的には「ホテル・ルワンダ」での主人公ポールが難民キャンプにたどり着いたその後の話にあたるわけです。

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2006年04月05日

仕事が俺を呼んでいる/矢作 俊彦

 この本は、求人雑誌 B-ingに掲載されていた小説を収録した短編集です。

 地上げで人気の少なくなった都心を自転車を漕いでお得意先を回る銀行マン、世田谷の住宅街に住む成金の社長へ自動車を届けるセールスマン、さえない大学の非常勤講師。
世の中には本当にいろんな仕事があります。

 華やかな仕事、楽しそうな仕事。
でもどんな仕事だって、良いことばかりじゃありません。
いや、悪いこと、大変なことの方が多いかもしれません。

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2006年03月20日

沖で待つ/絲山 秋子

 ご存知、第134回芥川賞受賞作です。

しかし内容うんぬんより...高っ!!
いや本自体は1,000円ですから、高くはないのですが、高いのは中身。いやだってさー、字はでかいは行間がスカスカの上にページ数も少ない。
確かに本はグラムいくらじゃないと思うけど、それにしてもねー。

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2006年03月15日

実録 死体農場/ビル・バス,ジョン・ジェファーソン

 死体農場って、ご存知でしょうか?
パトリシア・コーンウェルの検屍官シリーズで取り上げられたこともあり、ご存知の方も多いのでは無いでしょうか?

 世界で唯一、アメリカのテネシー州ノックスヴィルにあり、文字どおりに人間の死体(献体)を放置して、その腐敗の様子やうじ虫などの生育状況などを観察するという研究施設です。

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2006年03月11日

おやじ丼/群 ようこ

 じぶんがキムタクに似ていると勘違いもはなただしい”おやじ”、ペットの猫が心配でうろたえる”おやじ”、勝手な”おやじ”に臭い”おやじ”。

そんなオヤジ共が12人、短編で登場します。

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2006年03月07日

中村屋のボース/中島 岳志

 銀座木村屋と並び称される新宿中村屋。
あんぱんと言えば木村屋、クリームパンと言えば中村屋ですが、中村屋にはもう一つの名物、インドカリーがあります。

なぜ中村屋でカリーを扱っているのか。それは中村屋とインドは浅からぬ縁があるからなのです。

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2006年02月28日

アースダイバー/中沢 新一

 縄文海進期と言われる時代、東京は固い洪積層の台地に海が進入し、複雑に入り組んだフィヨルド状の入り江がある土地だった。やがて海が後退し、入り江だったところは沖積層と言われる砂の多い土地になった。
 これら土地の違いを描いた地図、アースダイビングマップを持って東京を歩くと、いろいろなコトがわかってくる。
というのがこの本のテーマです。

 確かに本来の意味での風水等をあげるまでもなく、その土地の持つ地力というか、湿気、風通し、気温などは人間の生活、その他いろいろに影響を与えるであろうことは容易に理解できます。
しかし...

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2006年02月23日

ひとりガサゴソ飲む夜は.../椎名 誠

 シーナさんといえば酒、そして旅行。
この本はシーナさんが、世界各地で飲んだお酒にまつわる話をまとめたエッセイ集です。
 ロシアのウマションビール、ネパールの地酒ロキシー、ベトナムのコブラ酒などなど。
ふつうの人には飲める機会も無いであろうお酒の話題がいっぱいです。

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2006年02月14日

ムンクを追え!/エドワード・ドルニック

 時折、世界中を騒がせる美術品の盗難。

でも、その度に疑問に思いませんか?
なぜ、そんなに簡単に盗まれるのか?
盗んでも有名すぎて売れないんじゃないの?
それとも盗品と判りつつも購入するような熱心な収集家がいるのだろうか?
そして…忘れたころにひょっこりと姿をあらわすまで、どんな捜査が行われているのだろうかと。

 この本は1994年2月12日、リレハンメル・オリンピックの開会式の行われた朝に、オスロから盗まれたムンクの『叫び』の盗難事件を例に、そんな疑問に答えてくれます。

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2006年02月08日

世界の日本人ジョーク集/早坂 隆

 世界中でまことしやかに語られるジョークの数々。
ご多分にもれず、日本人もその対象になっています。

日本人だけでなく、アメリカ、イギリス、ドイツといったいろんな国々の国民性の違いをネタに思わず笑みがあふれるネタでいっぱいです。
例えば...

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2006年02月03日

カルトの子/米本 和広

 地下鉄サリン事件から、既に十余年。

 上九一色村のオウム真理教施設の強制捜査からも、それだけの時間が過ぎました。親が出家した為に教団へ入りこんでいった子供たち。その子供らは今どうしているだろうという疑問からこの本は始まります。

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2006年01月25日

容疑者xの献身/東野圭吾

 第134回直木賞受賞作です。
といっても、私が買ったのは年末。
正月の読書にと思って買ったのですが、読むヒマがないまま休みが明けてしまいました。

 もともと東野圭吾は好きですし、しかも「このミステリが凄いの第一位」に選ばれたというのが決め手になったわけですが、いつのまにやら直木賞。話題に乗り遅れてはいかん(笑)と、慌てて読みました。

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2006年01月16日

チベットの少年/イザベル・ヒルトン


 チベットと聞いて思い浮かべることはなんでしょう?
ヒマラヤの山々? ユーラシア大陸の秘境? そして転生を繰り返すとされるダライ・ラマが有名ですね。

 だいぶ前になりますが、ブラッド・ピッド主演でセブン・イヤーズ・イン・チベットという映画がありました。あの映画を通してチベットという国の様子を感じとった人はかなり多いのではないでしょうか。(あの映画は史実を元にした映画ですが、奇しくもつい先日ブラット・ピッド演じたハインリッヒ・ハラーさんが亡くなりました)

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2006年01月09日

にっぽん海風・魚旅5 南シナ海ドラゴン編/椎名誠


 ごぞんじシーナさんが、海沿いの町をぷらりぷらりと回った旅のエッセイです。

「週刊現代」に連載のコーナー「海を見に行く」の単行本の5冊目ということで、それなりに人気のコーナーなんでしょうね。

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2006年01月04日

愛がいない部屋/石田衣良

 前回、”東京DOLL”で懲りたはずなのに、また石田衣良の小説を買ってしまいました。

今度は恋愛モノの短編集、神楽坂のタワーマンション メゾン リベルテ を”舞台に”、というより”住んでいる人たち”の10の物語が収められてます。

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2005年12月26日

脱出記/スラヴォミール・ラウィッツ

 第二次大戦中、ポーランド陸軍中尉だった著者は、ポーランドを"解放"する為に攻め込んできたロシアにスパイの濡れ衣を着せられ、強制労働25年の刑を課せられるところから物語は始まります。

 シベリアまでの家畜列車での移送、風雪吹き荒ぶシベリヤの雪原を鎖に繋がれながら、もうすぐ北極圏という第303収容所までの死の行進。 想像を絶する世界です。

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2005年12月20日

日本奥地紀行/イザベラ・バード

 明治初頭に日本を訪れたイギリス婦人、イザベラ・バード。
 彼女は日本の中でも”奥地”と考えられていた東北から北海道までを、しかも通訳兼ガイドの日本人の青年と二人きりで旅行したのです。

 この本はそんな彼女の旅の様子を、妹へ出した手紙をもとに再構成し、出版したものです。

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2005年12月10日

東京タワーは曲がっていなかった/豊島 光夫

 東京タワーって行ったことありますか?
東京に住んでいると意外と行ったことなかったりします。私も社会人になるまで行ったことがありませんでした。

その私が始めて東京タワーに行ったのは仕事で。
1年ほどの間、東京タワーに月1回程度登りにいったものです。
遊びでは一度も無かったりして...

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2005年12月05日

南極大紀行/NHK「南極」プロジェクト

 いつか行きたいと思ってる南極、なんでいくつかの南極に関する本を読んでます。

 エンデュランス号を初めとする南極点を目指す冒険時代のノンフィクション系、南極面白料理人などの読み物系など。
 でも考えてみると今の南極の様子をきっちりと、そして科学的に解説した本は読んでいなかった気がします。
 そういった意味では、あまり難しすぎずわかりやすく現在の様子や判ってきたことを解説してくれる最適な本でした。

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2005年11月27日

イタリア生活あるでんて/芳賀 八城

 この本は、NHKのイタリア語講座の教科書に毎月掲載されていたエッセイが元になっているらしく、12の章に分かれてます。著者はイタリア在住の写真家。なんで挿入されている写真はイタリアの魅力を余すことなく伝えてます。

 本業は写真家であっても文章も面白いですよ。
というより、イタリア(イタリア人)はどこをとってもネタの宝庫で面白いだけかもしれませんが...笑

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2005年11月16日

生協の白石さん/白石昌則

 今や、ネットの中でだけでなく、新聞などのリアルの世界も騒がしている生協の白石さん。サイン会CM出演など大忙しですね。

 東京農工大学(東京農大じゃなく)の生協に投函される一言カード。まじめな質問・要望に混じって寄せられる難問・奇問に、白石さんがウィットに富んだ温かみのある回答。言ってしまえばそれだけなのですが、この世知辛い世の中でほんわか暖かさを感じます。

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2005年11月05日

東京奇譚集/村上春樹

 日常生活の中に潜む、ありそうでなさそうな、不思議なこと。
そんなことって、一つや二つ、経験したり聞いたことがありますよね。

そんなちょっと不思議な話、4編を収めた一冊です。
でもこういったのって、もともと村上春樹の小説の中でよく出てくるので特段どうってことは無いですね。

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2005年10月28日

はい、こちら国立天文台/長沢 工

 夜空の星を見上げ、ふと思った疑問。
・ 明日の日の出の時間は? 
・ 夕暮れに見えるあの星は何?
国立天文台には広報普及室というセクションがあって、そんな疑問に答えてくれます。

この本の著者、長沢さんは国立天文台で10年あまりの間、そんな質問に答えてきました。

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2005年10月11日

東京DOLL/石田 衣良

 ゲーム”女神都市”のメガヒットで大金持ちになった天才ゲームクリエーターのMG。
 彼には結婚を約束した恋人 裕香もいるし、ありあまるお金で何の不足も無い生活を送っており、順風満帆に見える。
だがゲームの企画に没頭し始めると、様々な彼の不安定な内面が現れてくる。

そんな彼が次期作のアイディアを練っているとき、少女ヨリに出合った事によって何かが変わってきた...

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2005年10月04日

大空港25時/鎌田 慧

 パイロット、スチュワーデス。
いつの時代でも子どもの憧れの職業です。

 やがて大人になり実際に飛行機に乗る機会が出てくると、たくさんの人たちが行きかう空港には、パイロット、スチュワーデス以外のたくさんの人たちが働く場所であることもわかってきます。
 けれど、いったいどんな人たちがいるの?なにをしてるの?
この本はそんな疑問に答えてくれます。

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2005年09月02日

宝石・鉱物 おもしろガイト/辰尾 良二

 キラキラと輝く宝石って、なかなか興味深いですよね。
自分で買おうとは思わないけれども、身近にあったらジッと眺めちゃいます(たぶん)
子どもの頃は近所に転がっている小石を宝石に見立てて遊んでいた気がします。

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2005年08月30日

靖国問題/高橋 哲哉

 毎年8月の終戦記念日のあたりになると、新聞をにぎわす閣僚の靖国神社の参拝問題。なにが問題がされているのかご存知ですか? 
 戦後が終ってかなりたってから生まれた私なんかは、政教分離の原則に反する、A級戦犯が合祀されている、などが問題とされているんだろうなぁくらいは容易に想像がつきます。

しかし立場が変われば、物の見方が変わります。

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2005年08月26日

うつくしい子ども/石田 衣良

  研究学園都市の緑豊かなニュータウン、夢見山。そのニュータウンで九歳のの女の子が行方不明となったところから事件は始まります。
 そしてやがて発見される遺体、しかも現場には犯行声明ともいえる「夜の王子」なるサインとメッセージが。騒然とする夢見山の街角。主人公である”ぼく”の通う夢見山中学でもその話題でもちきりだ。

そして...犯人が捕まった。
その犯人は、なんとぼくの弟だった...

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2005年08月18日

プラネタリウムを作りました/大平 貴之

 メガスターって知ってますか?
メガスターとはお台場の科学未来館に行けば見ることのできる、世界最高性能のプラネタリウムです。

 どれくらい性能が良いかというと、普通のプラネタリウムが映し出す星の数は多くて数万、それが科学未来館にあるメガスターⅡだと500万個、12.5等級の星を映し出すことができます。つまり星の数が桁違いなのです。

 メガスターが12.5等級という通常、肉眼で見ることできない星まで投影するのは、圧倒的なリアルさを実現するためです。例えば天の川は一つ一つ星として見ることができますのです。
 私も見ましたが、このリアルさは圧巻です。

 そしてその素晴らしいメガスターは驚くことなかれ、なんと個人の趣味として作られたものなのです。

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2005年08月14日

イシ 北米最後の野生インディアン/シオドーラ・クローバー

 インディアンと言えばとっくに居留区に追いやられたり、白人社会に入り込んでいるものと思われていた20世紀初頭にイシは現れました。

 白人による西部開拓の歴史の中で虐殺され、虐げられてきたインディアン。イシの部族 ヤヒ族もその例外ではなく、そうであるが故にひっそりと隠遁の生活を送ってきたのです。
しかし仲間が一人死に、二人死にとうとうたった一人になってしまった時、イシは覚悟を決めて文明社会に現れました。

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2005年07月28日

最後の暗殺者/ロバート・ラドラム

  マット・デイモン主演の映画「ボーン・アイデンティティ」と「ボーン・スプレマシー」

 その原作となる「暗殺者」と「殺戮のオデッセイ」は映画と異なったストーリー展開で、読み応えのあるストーリーでした。シリーズ最終作となるこの本もご多分にもれません。

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2005年07月21日

幸福な食卓/瀬尾 まいこ

 毎朝、必ずみんなで揃って食べる朝食。そんな佐和子の家族。 そんなある朝、お父さんが突然、『父さんは今日で父さんであることを辞めようと思う』と突然宣言した、そんな場面から話は始まります。

 始めのうちはさらりとした読みやすい文章で、幸せな家族の中でお父さんの宣言による人間模様を描いた小説なのかな?と思います。
 けれど読み進めるうちに、幸せそうに見えるだけで実は佐和子の家族はみんな行き詰まっていることが判ってきます。

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2005年07月14日

東京するめクラブ 地球のはぐれ方 / 村上春樹 他

 ご存知、村上春樹と、エッセイストにして「アンアン」「クロワッサン」「オリーブ」などで圧倒的な支持を受けた伝説のスタイリスト 吉本由美、アートデザインの鬼才 都築響一 の三名で結成された「東京するめクラブ」。

 その東京するめクラブの面々が、国内外のちょっとズレた変なところにでかけて、いろいろ勝手に書いた旅のエッセイです。
 生活感覚がズレたところ、時代がズレたところなどなど、選りすぐりの六ヶ所(名古屋・熱海・ホノルル・江ノ島・サハリン・清里)が登場します。

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2005年07月07日

アマゾン・ドット・コムの光と影/横田増生

 読書発電所ではamazonのアフィリエイトをやってますし、私自身amazonを良く使います。本を探すのも簡単だし、本屋でたくさん本を買うと重いですから...
しかもウチは配送センターが近くということで、在庫があると、あっという間にやってくるので重宝してます。

空き箱は、amazonさんに使えますし(笑)

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2005年07月01日

スローグッドバイ/石田衣良

 いろいろな形の出会いと別れ、身のまわりにありそうな恋愛を題材にした短編集です。

 別に恋愛中毒ってワケじゃないし、恋人はいなくともぜんぜん平気。けれどそんな気持ちを理解してくれない友人は、せっせと自分の彼女の友達を連れてきては " 見合い " をさせる。
正直辟易してきたときに紹介された江藤潤子も、そんな善意の犠牲者だった。

そんな出会いから始まる1篇、「フリフリ」が、印象的でした。

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2005年06月23日

さおだけ屋はなぜ潰れないのか?/山田真哉

 この本、このタイトルで売れたといっても過言ではないでしょう。

新書の会計の本といえば普段手に取る機会は無いし、ましてや買うなんてことはあり得ません。
そこでこのタイトル、「おっ」と思わせ、ペラペラと頁をめくって読ませ、そして買わせる、見事ですね。

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2005年06月16日

もし僕らのことばがウィスキーであったのなら/村上春樹

 2年前のBLOGを書き始めた頃から、いやもっとその前から、簡潔だけど奥行きのある文章が書けたらなぁと思ってました。 難しい漢字、難解な言い回し、そんなことしなくても伝えたいことをきちっと伝えられる文章って書けたら素晴らしいですよね。

 いや文章に限りません。普段しゃべっている言葉だって、自分の思いを100%伝えられているとは思えません。表情や身振りで補っても、半分も想いが伝わらないことが多々あります。

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2005年06月09日

君たちに明日はない/垣根 涼介

 真介はリストラ請負会社の社員。
 リストラを実施する会社から対象者のリストをもらい、面接を行って自発的に辞めて頂く。当然指名解雇は違法であるので言い方は慎重に、そして本人にも納得頂くように...

 でも首切り屋とさげずまれ、首切りにあった人からは恨まれる損な役回り。対象リストを出した会社の人事対象者も同罪であるはずなのに

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2005年06月01日

図書館の神様/瀬尾まいこ

 2001年「卵の緒」で第7回坊っちゃん文学賞大賞を受賞した著者のデビュー後第二作です。

 何事にもまっすぐ、ひたむきに取り組んできた主人公 清(きよ)。高校時代まではバレーボールに夢中になっていた。
そう、高校までは...

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2005年05月26日

通貨燃ゆ/谷口 智彦

 通貨とは国家のパワーであることを実感させる、政治経済学の本です。
 
 どのようにしてドルが基軸通貨として成りえたのか?中国という国はなぜ一般の経済学の常識が当てはまらないか?といった話を基軸に、いろいろなエピソードを織り交ぜて綴ってます。

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2005年05月21日

殺戮のオデッセイ/ロバート・ラドラム

 マット・デイモン主演のボーンシリーズ 第2作 ”ボーンスプレマシー”の原作ということですが... 話がぜんぜん違う! 内容はかすりもしない!!
まあ、面白いからいいのだけどね。

 伝説の暗殺者ジェイソン・ボーンことデビット・ウェブは、前作で行動を共にしたマリーと結婚し、アメリカの大学で教鞭をとりながら慎ましく暮らしています。

しかしジェイソン・ボーンを名乗る殺し屋が現れ、極秘下に香港に来ていた中国の副首相を派手な手口で殺害してしまいます。

 偽者は誰だ?後ろで影を引いているのは?

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2005年05月11日

サランヘヨ/黛まどか

 だんだんと文化交流が盛んになってきた韓国と日本。

 意外に知らない隣の国を韓国のお国柄を知ろうと、ワールドカップ前の2001年夏から、釜山からソウルまでの500kmを歩いて旅した俳句紀行です

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2005年05月02日

タイ怪人紀行/ゲッツ板谷

 西原理恵子のマブダチ ゲッツ板谷と、同じく西原の元”夫” 鴨ちゃん、そして日本一ガサツな編集、はせぴょんの3人組が、タイ全国を巡って綴った紀行文です。
 ”紀行文”と書くと高尚ですが、板ちゃんに鴨ちゃんのことですから、まともな旅であるワケがありません。

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2005年04月28日

旅のグ(2)~月は知っていた/グレゴリ青山

 主に物価の安いアジアを旅するバックパッカー向けの情報誌、地球人

その雑誌に連載している、旅のエッセイ漫画、それがグレゴリ青山さんの"旅のグ""です。

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2005年04月22日

暗殺者/ロバート・ラドラム


 マット・デイモン主演の「ボーン・アイデンティティ」の原作です。
 プロットこそ一緒ですが、話の筋は映画とぜんぜん違います。というより映画が原作を大胆に書き直したってところでしょうか?

 主人公は傷を負い地中海を漂っていた記憶喪失の男、ボーン。
ボーンは自分の正体を知るべくチューリッヒの銀行に出かけられるが刺客に襲われる。途中、ヒロイン マリーを巻き込みながら、手がかりがありそうなパリを目指すといったストーリーはだいたい同じ。
 ただマリーはカナダ人の経済学者だし、フランスの老政治家やオートクチュール店員達といった映画にはないキャラクターが多数登場します。

以下ネタバレ注意
(ひょっとしたら、映画のシリーズの3作目のストーリーに関ってくるかも)

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2005年04月12日

天使と悪魔/ダン・ブラウン


 この本はあの「ダ・ヴィンチ・コード」のラングドン教授のシリーズ第一作です。

 なのですがそれ以上に、シンクロニシティという言葉を思い出してしまう程、まさに情景が浮かび上がってくるようなタイミングで読んでしまいました。
 この本の設定はローマ法王が亡くなり、次期法王を選出する「コンクラーベ」という投票を行われるバチカン市国が舞台なのです。奇しくもヨハネ・パウロ2世が亡くなり、8日に葬儀が行なわれたばかり、コンクラーベも間もなく開催されるでしょう。

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2005年04月01日

マーブル騒動記/井上 剛


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 第3回日本SF新人賞受賞作です。

 ある日当然、牛達が知能を持ち始めたらどうします?
牛肉を食べるのを止めますか?

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2005年03月22日

となり町戦争/三崎亜記


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 第17回小説すばる新人賞受賞作です。

 ある日、町の広報紙の片隅に載っていたとなり町との戦争のお知らせ。
となり町との戦争?

 主人公はなにが起こるかと身構えつつも開戦の日を迎えるが、いつもと変わらない一日。
やがて、となり町との戦争は日常の中に埋没していく。
いつもと変わらない毎日、町の広報紙のほんの片隅に、転出、転入、出生、死亡に加え戦死者数の記載が加わった以外は...

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2005年03月18日

スト決行/朝日新聞社スポーツ部


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 プロ野球の開幕ももうあと少し。今年のマリーンズは、なんとホームでの開幕です。

 指定券を買って見に行こうと思ってたのですが、なんとチケットはあっというまに完売。
しょうがないな、自由席で見るかと思ってたら、チケットぴあやローソンチケットでは前売り自由席券も完売。
あわててCNプレイガイドで購入。開幕戦は、ひょっとして大混雑か!?

 さて今回読んだ本は、昨年のプロ野球騒動のドキュメンタリーです。去年の騒ぎはなんだったんだ?と振り返るにはちょうどいい本です。

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2005年03月16日

メロンパンの真実/東嶋和子


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 メロンパンの真実!?
思わずそのタイトルに惹かれて手にとってしまいました。

メロンパンって、どういうのを思い浮かべますか?
私は、丸井、黄色のタイプを思い浮かべますが、関西の方では丸くないと書いてあり、ちょっとショックを受けました。

だいたいメロンパンって、どこがメロンなの?
形?味?それとも...

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2005年03月13日

ぼくのなまえはねこだけど/アンデス中島・千世繭子


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 画家である友人の絵を使った絵本が出版されました。

 その原画やその他の絵を飾った個展が北青山のGallery Concept 21で開かれているの見に行ってきました。

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2005年03月11日

合併、売却、新規参入。たかが・・・されどプロ野球!/小林 至


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 もうすぐプロ野球開幕。

 昨年のプロ野球界、合併、売却、新規参入といろいろと騒ぎになりました。
「たかが」発言、スト決行。
騒然とした中で、あれほどプロ野球について議論された年もなかったのではないでしょうか?

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2005年03月08日

ベルナのしっぽ/郡司ななえ


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 「ベルナのしっぽ」 その名前になんとなく覚えがあり、読んでみました。

 ななえさんは、お母さんになりたいという夢をもっていました。大人になってから失明したななえさんにとって、白い杖一本で街中をあるくことは大変なことです。
 けれど子供が出来たら、何が起こるかわからない。急な発熱には自分が誰に頼ることなく、病院に連れて行かなければいけないだろう。

 そう思ったななえさんは盲導犬を使うことも考えました。けれど一つ問題がありました。実はななえさんは小さい頃に犬に飛びかかられてから、犬が大の嫌いだったのです。

 でも子供が欲しい。
ななえさんはとうとう決心をしました。

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2005年03月02日

最後の錬金術師 カリオストロ伯爵/イアン・マカルマン


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カリオストロ伯爵といって思いつくのは、間違いなく映画 ”ルパン三世 - カリオストロの城” でしょう。

いまや巨匠となった宮崎監督の名作であり、アニメファンならずとも見たことある人が多いと思います。(あまり古さを感じませんけど 26年前の作品なんですね)

そのカリオストロ伯爵が実在の人物だと知って、興味を持って読んだ本がこの本です。

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2005年02月18日

ダ・ヴィンチ・コード/ダン・ブラウン


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ようやく、読みました”ダビンチ・コード”

トム・ハンクス主演で映画撮影も開始したこの小説、ずっと読みたかったのですが、図書館は順番待ちの長いリスト...
とうしようかなぁ?と思ってましたが、とうとうアマゾンさんに届けてもらいました。

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2005年02月09日

蒼穹の昴/浅田次郎


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 清朝末期の中国、燃料用に家畜の糞を拾って生活する李春雲、期待を背負って官許の試験に挑む兄の影で放蕩を重ねる梁文秀。
 年老いた占いの老婆のの予言と同時に二人の人生は大きく動き始めます。一人は人心乱れ、列強の侵略甚だしい清を立て直すために、そしてもう一人は清の後宮の宦官の最高位を目指して...

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2005年01月30日

ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ/トニーノ・ランボルギーニ


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 「ランボールギーニ」。
スーパーカー世代の私は、すぐさまあのスーパーカー、クンタッチ(カウンタック)の名前が出てきます。

 この本は、あのスーパーカーメーカーであるランボルギーニを一代で造りあげたフルッチョ・ランボルギーニの生涯を、息子であるトニーノがまとめた伝記です。

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2005年01月28日

カッシーノ!/浅田 次郎


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cover この本はあの「鉄道員」を書いた浅田次郎さんが、ヨーロッパ(カッシーノ!)、アフリカ・ラスベガス(カッシーノ2!)のカジノを取材(?)した旅のエッセイです。

 リゾートホテル・ジャンキーという本を昔読みましたが、あれば非日常を紹介する女性版だとすると、こっちはその男性版といったところでしょうか?

 しかし酒呑みの理屈って、ありますよね。自分が酒呑みだからわかるのですが、呑まない人や嫁さんの前では、呑む時や酒を買う時にイチイチ言い訳がましく、ブツブツと理屈をこねるんですよね。明日は壜の回収日だからコイツは飲み干しておかないと壜を出せないとか(笑)

 私は博打はやらないのですが、この本を書いてる浅田さんの文章が、いかにも酒呑みの理屈と一緒なんで笑っちゃいました。

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2005年01月21日

南極料理人の悪ガキ読本/西村 淳

 先日読んで凄く面白かった「面白南極料理人」の西村淳さんの本です。
北海道旨いぞレシピ付きのサブタイトル通り、ほんの気持ち程度ではありますが、思い出の料理のレシピも載ってます。
ただメインは料理のレシピではなく、アノ西村さんはどのように育ったか、それがメインとなってます。で暮らした悪ガキ時代から、青春時代まで、当然「面白南極料理人」にも登場した愛する奥さん、みゆきちゃんとの出会いも描かれてます。
けれどもこの本の主人公はみゆきちゃんではなく、愛すべき西村さんのおばあちゃんサツさんです♪

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2005年01月20日

カナリア諸島 たびたびの旅/斎藤 慶一郎


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 大滝詠一のアルバム"A LONG VACATION"に収録されている曲 ”カナリア諸島にて” そのカナリア諸島って何処にあるかご存知ですか?
アフリカ沖の大西洋に浮かぶスペイン領だそうです。そこは昔、日本のトロール漁船の基地となっていたこともあり、つい最近まで日本人学校が開設されていたそうです(今は閉鎖)。

 この本はそのカナリア諸島の都市、ラス・パルマスの日本人学校に赴任した先生の旅?のエッセイです。
正直、あまり読ませる文章では無いけど、カナリア人(スペイン人)気質や、カナリアの諸島の島々の様子を興味深く読むことができました。

カナリア諸島に行って、「薄く切ったオレンジをアイスティーに浮かべ」たくなりましたよ♪

 ちなみに印象に残ったスペインの諺
「30歳までは女が、そのあとは一杯のワインが、またそのあとは暖炉があたためてくれる」
うーん、暖炉もなければ、モテないワタシは、ワインに活路を求めるしかありません(笑)。

カナリア諸島 たびたびの旅

著者 斎藤慶一郎
ジャンル エッセイ
出版社 東洋出版
四六版 229ページ
価格 1,260円

2005年01月13日

エンジェル/石田衣良


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 親から10億円の手切れ金で捨てられた純一。
人との関係を上手く気づけない彼は、その手切れ金を元に投資会社を経営します。しかし彼はトラブルに巻き込まれ、死んでしまいます。
魂だけの存在となった彼は、人生をフラッシュバックで振り返ります。しかし、死の直前の2年間の記憶は無いのです。彼は魂だけの存在で、自分の死の原因を調べるべく活動を始めます。
そして...

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2005年01月08日

青い地図 (上)・(下)/トニー・ホルヴィッツ


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 ジェームス・クック。その名前は世界史の教科書の片すみに、大航海時代の終わりに世界を一周を成し遂げ、ハワイ諸島を発見し、ニュージーランドの測量等を行なったイギリスの船乗りだと書かれています。
 確かにその通りなのですが、彼が航海したのは距離は述べ地球8周分。それは月まで距離とほぼ一緒。18世紀という時代を考えると、その航海は一言で済まされない何かがあるように思えます。

 この本はピューリッツァー賞 受賞ジャーナリストである著者が、キャプテン・クックが訪れた場所を訪れ、「その場所は現在どうなっているのか?」・「クックの来訪は原住民にどう感じられたのか?」・「そしてクック自身はどんな人であったのか?」について、取材したノンフィクションです。

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2005年01月04日

地図の遊び方/今尾恵介

 まさにタイトルどおりの本
 地図好きの著者が、世界各地の地図を入手してはニンマリといった様子をそのままエッセイにしたものです。私も地図好き。楽しく読みました。

 地図にもお国柄がでます。
 日本の地図は官公庁の記号がやたら詳しい(細分化されている)。裁判所に税務署、営林署まであるのに対し、海外ではそんなものは無いらしいです。
畑の記号が詳しいのはイタリア。アーモンドやイナゴマメ、オリーブなどの記号があります。樹だってたくさん栗にニレ、ブナ、ポプラ全部記号が違います。
面白いですよね。(って普通の人はあまり面白くないかな?)

 ただ後半の使いやすい地図にするための筆者の意見、ちょっと余計かな?
地図の使い易さ等は慣れの問題もあるし、ちょっと...と思うものも多々あったので。

地図の遊び方

著者 今尾恵介
ジャンル エッセイ
出版社 けやき出版
四六版 220ページ
価格 1,427円

2004年12月24日

獄中記 煉獄編/ジェフリー・アーチャー


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 先日読んだジェフリー・アーチャーの獄中記の続編です。
 イギリスの刑務所は、読めば読むほど日本の刑務所とは違っているように思えます(たぶん)。

 イギリスでは受刑者はカテゴリーAからDに分類されてます。

カテゴリーAは逃亡を可能とする資金を持ち暴力的で危険な受刑者、カテゴリーBはそれ以外の暴力的で危険な受刑者、カテゴリーCは再犯者や重罪ながら非暴力的な受刑者(大半の受刑者はここに分類)、カテゴリーDは初犯で暴力行為の履歴のない受刑者のことを指すそうです。カテゴリーDの受刑者を収監する刑務所には開放型のものもあり、毎日塀の外で働く事も許されているとか。

 当然、ジェフリー・アーチャーはカテゴリーDに分類されて当然なのですが、濡れ衣の告発の影響で、カテゴリーCの分類のままで扱われます。

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2004年12月02日

獄中記 地獄編/ジェフリー・アーチャー


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 イギリスの元国会議員にして、ベストセラー作家であるジェフリー・アーチャーが偽証罪に問われ実刑判決を受けたことは記憶に新しいと思います。

 実際は偽証罪といっても非常に些細なものであり、通常では裁判にすらならないような嘘(訳者あとがきに記載)であるのですが、恣意的な判事や濡れ衣を着せようとする者などにより、不幸にも収監されてしまいます。
 この本はまさにタイトル通り、ジェフリー・アーチャーが殺人や麻薬の売買等で収監されている囚人たちと共に過ごした獄中記です。

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2004年11月19日

女子中学生の小さな大発見/清邦彦


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 たまには笑える本をと思って買ってみました。

正解でした。面白い!笑えます。

舞台は静岡県のお嬢様学校。
理科の先生を務める編者が生徒達に出した自由研究。その内容は、真面目なものから思わず吹き出してしまうようなものまで各種様々です。

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2004年11月12日

夢見る猫は、宇宙に眠る/八杉将司


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 第5回日本SF新人賞受賞作です。

 火星殖民が始まった近未来、クローンである主人公、キョウイチはユンと出会う。次第に彼女に惹かれていくキョウイチ。でも彼女は恋人であるマークと火星に旅立つ。
 半年後、1世紀はかかると考えれていたテラフォーミング(火星環境改造)は、あっという間に終了し火星は緑の惑星となった。と、同時に反乱が起った。
火星緑化の原因は?火星反乱の行方は?そしてユンとマークの行方は?

キョウイチは火星に向かう。

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2004年11月09日

石を積む人/エドワード・ムーニー・Jr.


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 年をとった時、自分が何を考えていると思いますか?
まずまずの人生であったと思っているでしょうか?遣り残したことあるいは過去の失敗を悔やんでいるでしょうか?

年をとった時どう思っているかなんて、今の私には想像もつきません。むしろ今は、どう日々を過ごしていくべきなのかが大切なんでしょうね。

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2004年11月04日

カラシニコフ/松本 仁一


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 AK47、通称カラシニコフと呼ばれる銃を知っていますか?
紛争があるところ、そこには銃があります。それはたいていカラシニコフなのです。

 何故カラシニコフが紛争地帯の武器となっているのか?
著者はカラシニコフの設計者、武器商人、そして世界各地の紛争地帯にいる元兵士やNGOに取材を行ったノンフィクションです。

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2004年11月02日

博士と狂人/サイモン・ウィンチェスター


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 辞書の編纂って、どのように行われるか知ってますか?

 言葉は生き物。
 時代によってその使われ方、意味はだんだんと変化していきます。
 ですからその時代でどのようにその言葉が使われているかをあらゆる書物から拾い出して収集し、そして語句の意味を分類し、特定し、用例を載せていくのです。

 それは世界最大・最高の辞典といわれるOED「オクスフォード英語大辞典」でも同じことです。収録語数41万語強、全12巻、編纂には実に70年もの年月をかけたOEDには、二人の天才の物語がありました。

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2004年10月29日

鉄塔 武蔵野線/銀林みのる


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 子供の頃、どんな遊びをしてましたか?

 秘密基地を作ったり、探検に行ったりしませんでした?
そのときには電信柱から10秒以上離れちゃいけないとか、今考えるとわけのわからないルールを作ったりして、でもそれを真剣に守ってたり結構楽しかったものです。

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2004年10月26日

波のうえの魔術師/石田衣良


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 この本のタイトルにある波とは、海の波ではありません。罫線またはチャートともいわれる株価の上下を記録したグラフの線のことです。

 この波も海の波と同じく、リズムがあります、小さい波と大きい波と。
時には台風のように激しく上下したりしますし、大きな石を投げ込めば当然この波も大きく動きます。
ただ一つ違うのは、お金が絡むこと。

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2004年10月24日

むかし噺うきよ噺/小沢昭一


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 この本は今は休刊してしまった、SINRAに連載されていた小沢昭一さんのエッセイ集です。小沢さんの子どものころや若い頃の体験断を軸に、ひとつが4ページほどに纏められています。

 話の内容はそんなに大したことのない話が多い(失礼!)すが、ひとつひとつの話のまとめ方というか終らせ方が、粋でかっこいいですよね。
私のブログを始めたきっかけの一つが、文書をうまく書くようになりたいということなので非常に勉強になります。
もってうまれた才能もあるんでしょうけど...

むかし噺うきよ噺

著者 小沢昭一
ジャンル エッセイ
出版社 新潮社
四六判 205ページ
価格 1,365円

2004年10月23日

電車男/中野 独人


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 好きな人がいますか?
告白したことのことを覚えていますか?

 恋した時って相手のちょっとした反応に浮かれたり、沈み込んだりしますよね。相手の気持ちがわからなくて、どう気持ちを伝えたらいいのかわからなくって...
いろいろ親身になってくれる人がいたなら、どんなに心強いことか。

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2004年10月22日

ダーティーペアの大復活/高千穂 遥


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 本屋をぷらぷらと歩いていると新刊コーナーにあったのがこの本「ダーティペアの大復活」、即効で買ってしまいました。
 懐かしいですねぇ。20年ほど前にアニメにもなったけ。
アニメもさることならが、原作の小気味良い文章が好きで一生懸命読んでました。

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2004年10月20日

アマバルの自然誌/池澤夏樹


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 都会で暮らしていると、どこか自然が豊かな田舎でのんびりと生活したいなぁと思いませんか? それが暖かい南の島だったらなおさらいいですよね。

 でも漠然と南の島で暮したいなぁと思っても、旅行するのと暮らすのとは違いますよね。旅行する時には青い海、白い砂、まぶしい太陽なんてぱっと思い浮かべますが、もっと身近な自然ってどうなんでしょう?
 都会の生活でも周りにある僅かな動植物も、季節によって結構変わっていくものです。それが南の島だと...

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2004年10月18日

池波正太郎・鬼平料理帳/佐藤隆介


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 本好きPeapleのTB企画 「食欲の秋? おいしそうな食べ物が出てくる本を教えて!」
で、一番に思いついたのが、やはり池波正太郎の本。

みらくるさんのあいらブックス!ところでは、剣客商売が紹介されていたので、こちらは鬼平を...
私は、鬼平のドラマを見て夢中になり、原作を読んでドツボにはまってしまったクチです。

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2004年10月13日

レクイエム/篠田節子


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 肉親の縁を切ってまで、宗教にのめり込んだ伯父
 その結果として疎遠になった伯父は、7年後、祥子の勤める老人病院へ偶然にも患者として入院してきた。死期が近づいてくることを悟った伯父は、それまで入れあげていた宗教団体の知人とはむしろ距離をおきたがっている。
 その反面、祥子には誰にも話したことの無かった戦争体験を話し、「死んだら自分の腕をニューギニアに埋めてくれ」と頼むのだった。

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2004年10月10日

天才数学者、株にハマる


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 株価って予測はつかないし、でも旨いことやって儲かればいいけど下手すりゃ大やけど。
そもそも株って自分が儲けているときは誰かが損をしている訳ですよね。逆もしかり。

 だからこそ、株をやっている人、やってみたい人、そしてもちろん手も出したくない人、いろんな人がいる訳です。

でも、絶対に上がる株が数学的に解析できて、事前に分かれば...

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2004年10月08日

4TEEN

cover 14歳の頃、何をしていたか覚えてますか?

まるっきり子供ではないけど、大人でもない。
親の庇護のもとで暮らしてはいるけど、時々ちょっとした冒険をしてる。
親には絶対内緒の、仲間うちだけの秘密をもっている。

制限がある自由の中で、だかこそその制限の中で目一杯、時にはちょっとはみ出して、毎日を楽しんでた気がします。

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2004年10月03日

T.R.Y.

cover 読書の秋という訳か、ここんとこ、怒涛の勢いで本を読んでます(笑)

 今度は「T.R.Y.」 昨年かな?織田裕二主演で映画化されました。

 明治の終わり辛亥革命直前、日本陸軍の高官の思惑、革命を起こそうとする中国の人たち、日本に併合されたうらみをもつ朝鮮の人。上海と東京を舞台に、詐欺師、井沢修が大きな時代のうねりに巻き込まれるようにペテンをたくらみます

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2004年10月01日

面白南極料理人


cover
 BBCワールドライフ写真展の南極の写真や「ペンギンと泳ぐ旅」を読んで南極に行ってみたいと思っているワタシ(妻は冷たい目で見ていますが...)
南極本ということで、図書館から借りてきました。

 表紙をめくるとでてくるカラー写真。
キレイなオーロラやペンギン、アザラシ。そして基地で料理をする著者の写真。真面目な本なのかなぁ?と思うと最後のカラーのページでガツーンときます。
 基地の外で、祝-60.1℃と書いた紙を持ち、ずらりと並ぶヒゲづらのおっちゃんたち。そのカッコは、パンツいっちょにサンダル履き。はっきり言って酔っ払いです。
グラスを片手におもちゃのバットを持ってるヒトもいます。

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2004年09月28日

真夜中の神話


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 真保裕一の新作です。
カリマンタン島上空で飛行機事故にあった晃子。彼女は山奥で人里を離れるように生活している村の人たちに助けられ、奇跡的な生還を果たします。そして彼女が体力を取り戻し、山を降りた時、町の人たちは奇跡の生還を果たした晃子を疫病神のように取り扱います。そうまるで吸血鬼のように...

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2004年09月24日

アフターダーク


cover
 好きな作家である村上春樹の新作ということで、本屋でパラパラと立ち読みすることなく、速攻で買って読みました。

 表紙をめくってまず速攻で感想が... なんじゃこりゃ!字が、字が少ない。
行間はスカスカだし、字間も広い。一ページ当たりの字が普通の本よりかなり少ない。こりゃ詐欺だなぁと思いつつ、読み進めました。

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2004年09月13日

スノーボール・アース


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 地動説のガリレオ、進化論のダーウィン、大陸移動説のヴェーゲナー。
それらの人たちは様々な証拠から、挑戦的な理論を発表してきました。しかしそれまでの考えをガラリと変える必要のある革新的な理論は、到底すんなりと受け入れられるものではなく、さまざまな人々から、その証拠、結論が導き出される過程について、理論的にそして時には感情的に攻撃されていたというのは良く知られている通りです。

 そしてまさしく今、地球の遠い過去をめぐってそのような議論の真っ最中にあるのはご存知でしょうか?

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2004年09月07日

男の作法


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 ラスト・サムライがヒットした余波で武士道がベストセラーになりましたが、私にとって武士と言えば「鬼平」です。

 ドラマはもう大分昔に終わりましたが、中村吉右衛門演じる長谷川平蔵、カッコイイですよね。時代劇というと、水戸黄門や暴れん坊将軍しか知らなかった私は、鬼平を見てこんな時代劇があったなんてと、そのハードボイルドな世界に痺れました。

 原作が素晴らしい上に、TVの演出もかっこいい。
あの、ジャジャジャーンというテーマにのって流れる「何時の世にも悪は絶えない...」というナレーションから始まるオープニング。そして季節感あふれる風景に不思議とぴったりあっているジプシーキングスのインスピレーション(CD買っちゃいました、笑)が流れるエンディング。オープニングからエンディングまでかっこい。

 この本は、その鬼平犯科帳の原作者である池波正太郎が「男はこうあるべきだ」と語りおろしたエッセイ集です。正確にはエッセイというより池波正太郎に編集者がインタビューし、その内容を本にまとめたものです。

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2004年09月04日

西村しのぶ


cover
 神戸に行くきっかけとなった西村しのぶですが、何者なんじゃいってヒトのために紹介を...

 まあ一言でいうと、神戸を舞台にしたララブストーリーを書く漫画家です。
って書くと、なんか”うっ”と拒絶反応が出そうだけど、生くさいドロドロした恋愛ものでもなく、さらっとしたカッコいいラブストーリーですよ。
 その作品の中に出てきたのが、コスモポリタンやフーケそしてフロインドリーブといった神戸のお店でした。そういえば先日エントリーした鍵善の水羊羹も、これで知ったんだっけ。

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2004年08月24日

クラカトアの噴火


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久々に読み応えのあるノンフィクションでした。
面白かった!ノンフィクション好きな人にはお勧めです。
今のところ、今年一押しのノンフィクションです。

クラカトアとは、インドネシアのジャワ島とスマトラ島の間のスンダ海峡に浮かぶ火山のことです。1883年8月27日、史上最大規模の大爆発を起こしたこの火山の破壊力はすさまじいものでした。
その島自身をふっ飛ばし、津波は海に浮かんでいた汽船を内陸に2.5kmも押し流し、そしてその爆音はインドやオーストラリア、そしてなんと4,800km離れたアフリカ東岸に浮かぶ島、ロドリゲス島でも聞こえたといいます。

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2004年08月14日

捨てるな、うまいタネ


cover
山の小鳥のkotoriさんとこで見たエントリーと本。
気になって図書館で借りてきてしまいました。
まあ一言でいうと、普段、食べている果物や野菜、それについている種を蒔いて育てましょうって本です。

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2004年08月10日

イスラーム


cover
 イスラムと聞いて何を思い浮かべますか?
 アル・カイーダ? タリバン?
いづれにせよ、最近だとあまりいいイメージが無いですよね。他には?
 シンドバットの冒険、砂漠、石油、ラクダ
はっきりいって、あまり具体的なイメージが湧かないのが実情じゃないでしょうか?

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2004年08月09日

プリズンホテル


cover
 浅田次郎さんって、「鉄道員(ぽっぽや)」を書いた人なんですね。知りませんでした。

プリズンホテルなんてタイトルから、どちらかというとハードボイルドを期待していると...ずっこけます。
「鉄道員(ぽっぽや)」のイメージとも大きく外れます(読んだことないけど)
どちらかというと、というよりはっきりいってお笑い系エンターメント小説です。

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2004年08月04日

キッチン


cover
 ごぞんじ、吉本ばななさんの出世作。

本当に吉本ばななさんの文章って、なんでこんなに ほんわかとしてるんでしょう?
その辺りにいそうな女の子の視点、けれど決してありふれていない設定。
にもかかわらず読んだ読後感が暖かいのは吉本さんの文才なんでしょう。

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2004年08月02日

金閣寺


cover
 この本も旅行にもっていった本です。
時間がたっぷりあるときはじっくりと名作を読むのがいいですよね。

三島由紀夫って、初めて読みました。
いや正確には教科書で読んだことあるのかもしれませんが、少なくともきちんと読んだのは初めてです

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2004年07月30日

あの頃ぼくらはアホでした


cover
 こいつもボルネオ旅行に持っていった一冊です。あと数冊持っていきました。
何せのんびり読書しながら、木陰でビールを飲むのが目的だったくらいですから...

 この本は買ったときパラパラ読んだのですが、小説かと思ってました
読み進むうちに東野圭吾の自伝的エッセイだというが判明しました(笑)

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2004年07月21日

空から恥が降る


cover
今回、旅行のお供の本の一冊
藤原信也のHPやその他の雑誌等に掲載されたエッセイ集です。

この本のなかだ印象に残ったエッセイは、「青という色」。
藤原さんが世界一の美しさと評する与那国の海の色は、エメラルド色も含めさまざまな色を見せる。それは水が透明な青であること、そして海の底の色が美しいこと。
なるほどなぁ〜と思いつつ、目の前のボルネオの海を眺めていました。

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2004年07月11日

東京湾


cover
 今、月9でやってるドラマの原作、東京湾景を読みました。

 原作をドラマ化する際には、脚本によって大分ストーリーが変わってしまうことが多いですが、これもご多分に漏れず、大分違うような気がします。

もっともドラマは始まったばかりだし、うちにはテレビが無いので確認のしようが無いのですが...(^^;

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2004年07月05日

ペンギンと泳ぐ旅

cover 南極に行ったことありますか?無いですよね、普通。
 数年前まで、府中郷土の森で毎年開催されていた「BBCワイルドライフ写真展」。
いわゆる自然動植物の写真展なのですが、そこに展示されていた青い氷山の上のペンギンの写真、すごくきれいでした。
その写真がすごく印象に残ってます。そんな風景一度見てみたいなあと。

南極へ行って、ペンギン見てみたいです。

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2004年07月03日

限りなくキョウダイに近いフウフ

 真樹と涼は子供のいないフウフ、っていうか、キョウダイみたいなフウフ。そして最近はやりのセックスレス。若い頃は喧嘩もしたけど、30過ぎてからは二人の仲は安定期。
別に嫌いなわけでも浮気相手がいるわけでもない。けれど友人たちに「変だ」と指摘されたことから、妙なことを思いついた。それは一旦離婚して、真樹が涼の親の養子になるということ。そうすればフウフじゃなくて、キョウダイになれる!
そんなことを表明したとたん巻き起こる騒動。

二人の決意がきっかけとなって表われる、友人たちの内情。
一見、普通に見えても普通じゃない。逆に普通ってなに?って感じになります。まあ本人が納得していればいいんでしょうけど...
個人的にはキョウダイみたいなフウフというのはアリとは思うけど、でもそれは決してキョウダイにはなれないと思います。また逆に仲の良いフウフみたいなキョウダイって、ある意味それは変だと思いますが、どうですかね?

cover限りなくキョウダイに近いフウフ

小林 光恵 著
ジャンル 小説
発行 作品社
204ページ
価格 1,500円+税

2004年06月25日

日本のスイッチ

柿ピーどっちかというと好きなのは? 柿の種?ピーナッツ?
私はだんぜん柿の種です。
はっきりいって柿ピーがあったらピーナツは避けて食べます。避けるためのワザも取得してます。袋入りの場合、袋のまま軽く揺すってやると比重の差からピーナッツは沈み、柿の種は浮上します。そこをすかさず柿の種だけごっそりと取るのです。

あなたは教科書の写真にヒゲを書いたことがありますか?
私はあります。なに!?あなたは無い!そんなあなたは少数派です。

てな感じの、世論調査というにはふざけてる。でもみんなどうしているのかちょっと気になる、そんな質問を慶応義塾大学 佐藤雅彦研究室が毎日新聞社と協力し、iモードを使って調査。

いいですょ、このくだらない質問の数々。
今ではiモード以外の、ボーダフォンライブ!やEZwebも駆使して毎週3万人強が回答。この本はそんな調査結果、2002年10月7日の開始時から昨年末まで、をまとめて本にしたものです。
ちなみに柿ピーは柿の種が好きな人が55%、ピーナッツが好きな人が45%。
教科書にヒゲを書いたことがある人が75%、無い人が25%
いやー面白い質問ばっかり。こんどまたピックアップしてみます。

※ 日本のスイッチプロジェクトは今現在も続いてます。
携帯電話のwebメニュ-で毎日新聞社から。
先週、回答してみました。全国の回答者44716人中、私とまったく同じ回答をした人が688人いました。回答が少数派なのかどうかもわかって面白いですよ。

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ボーダーフォンウェブ → メニューリスト → ニュース → 新聞
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cover

日本のスイッチ

慶応義塾大学 佐藤雅彦研究室 著
ジャンル ノンフィクション
発行 毎日新聞社
文庫版 265ページ
価格 1,050円

2004年06月18日

ららら科學の子

三島賞は矢作俊彦氏の「ららら科學の子」(文芸春秋)に、山本賞は熊谷達也氏の「邂逅(かいこう)の森」(同)に決まった。  5/18 朝日新聞社

 昔、FM東京でやってたラジオドラマ。それがきっかけで読み始めたのが矢作俊彦の「マンハッタン・オプ」。谷口ジローののイラストとあいまってどっぷりとハードボイルドの世界にはまりました。
 でも本の作者紹介には、「ピンカートン東京支社勤務を経て」とかいったふざけた略歴を書いてたりして、どんな人なんだろうと思いました。(あっピンカートンって、レイモンド・チャンドラーとかのハードボイルドの世界では超有名な探偵社ね)。
 でも、そのころ本当に矢作俊彦にはまりました。「コルテスの収穫」の下巻を今でもまっているほど(笑)。こいつは眉村卓の「とらわれたスクールバス」状態で、上巻・中巻の次がン十年出ていません。文庫書き下ろし作品のはずなのに...(笑)
思わず昔の想いがメラメラと巻き起こり買ってしまいました。

話の筋は...

昔、ひょうんなことから日本から密出国し、そして30年ぶりに帰ってきた主人公。
あのころ、暑い学生運動があった日本は、いまやまったく違う国になってしまった。
って感じのストーリーです。

うーん正直、面白くなかったです。
昔読んだ話のように、シニカルな、それでいて芯のある、熱い想いを秘めた主人公がじゃないんですよね。こっちが昔と違う環境(前は中高生だったもんで)にあったことも否めませんけど。

cover

ららら科學の子

矢作俊彦 著
ジャンル 小説
出版 文芸春秋
480ページ
価格 1,890円
 

2004年06月06日

パリは燃えているか?

「Dデー」60周年、仏・ノルマンディーで式典  第二次大戦の勝敗を決した連合軍のノルマンディー上陸作戦決行日「Dデー」から60周年にあたる6日、フランス・ノルマンディー海岸に16か国の元首、首脳や退役軍人ら約6000人が集い、一連の記念式典が行われた。 6月6日付 読売新聞より

 今日、6月6日は「史上最大の作戦」で知られるノルマンディー上陸作戦が行われた日。60年前の今日から連合国軍の反撃が始まり、パリ解放、そして第二次大戦終結へと転換することになった。
 60年前紛争といえば国家間のものだったのが、今はアルカイダに象徴されるテロリスト集団との戦い。いやテロリストに限らず、テロリスト掃討の名の下にブルトーザーで家をつぶすという、テロと変らない事をしている国もある。この世の争いは、どこかの国の大統領がいうような「善悪との対決」といった単純なものでは決してない。それは今だけでなく、60年前も...

 標題の「パリは燃えているか?」とは、ドイツが4年間占領していたパリに連合国軍に侵攻を受けていることを聞いた際のヒトラーの言葉。ヒトラーは「パリを失うものはフランスを失う」という史実から、「パリは絶対に死守せよ! 仮にパリを奪われる時には瓦礫の山と化していなければならない」と、連合国の侵攻の時には、パリの橋梁から発電施設、電話局、そしてエッフェル塔に至るまで爆破するよう命令を下していた。

 本書はパリの危機をめぐる模様をドイツ側、パリ市内のレジスタンス、シャルル・ドゴール将軍率いるフランス軍、そして連合国軍の様々な人々のインタビュー、アンケート並びに調査によって書き上げられたノンフィクションです。
 当初、連合国軍はパリを先に開放した場合の物資補給を鑑み、パリを迂回するルートでドイツに攻め入る作戦でした。しかしドイツ軍占領下のパリにおける市民の不満は爆発寸前、レジスタンスは一斉蜂起を検討していた。しかし仮に一斉蜂起してもすぐ殲滅されてしまい、逆にワルシャワのような悲劇を招きかねない。レジスタンスの中でも共産主義者、ドゴール将軍派が解放後の主導権を睨んで対決していて一枚岩ではなかった。
 一方でドイツ軍のパリ総司令官はジレンマに陥っていた。レジスタンスの動きは不穏であるし、連合国軍の動きも気になる。このままではパリを爆破せねばならぬ。総統の命令は絶対であるし、疑念の余地はない。しかし、この美しい街を破壊しつくすということは、取り返しのつかないことになりかねない。

 このような多方面から見たパリ開放は、非常にドラマチックで面白かったです。印象的なのは、「三色旗」と「ラ・マルセイユーズ」、いかにフランスの人たちが国を愛し誇りに思って国旗と国家を大切にしているのかがわかります。そういえば映画、カサブランカの1シーンでもそのようなシーンがありましたね。面白いと言ったけど、難点を一つ。登場人物が多すぎて名前がよく覚えられません。通常の小説等だと名前が出てこない通りすがりの人まで名前を載せているので、誰が誰だが良くわからないところがあります。外国小説の登場人物の名前を覚えられない人にはちょっと読み終えるのが難しいと思います(笑)

パリは燃えているか 上  
パリは燃えているか 下 

ドミニク・ラピエール
ラリー・コリンズ    共著
志摩 隆 訳
ジャンル ノンフィクション
発行 早川書房 ハヤカワ文庫
文庫版 369ページ/369ページ
価格 652円


 
 

2004年06月05日

リゾートホテルジャンキー

 「ホテル・ジャンキー」の著者が、海外の一流どころのリゾートホテルについて、そのホテルの売りや、そこでの体験談をエッセイに綴ったものです。むしろホテルのファシリティそのものより、一流どころなる宿に泊まりに来た人々の世界を垣間見せてくれます。
 と、書いたものの、「本当かねー?」というエピソードがいっぱい。あまりにもドラマッチックすぎといったところです。まあホテルは舞台、宿泊客は役者、と見立てた一種の小説として読んでみたら面白いですよ。(少しガイド的要素の入ったヤツね)
 こういったところへ泊まってはみたいものの、泊まってもせいぜい1、2泊。ましてや常連客なんぞにはなれないし。違う世界への憧れと夢を見たいなら...オススメかな?


cover

リゾートホテル・ジャンキー

村瀬 千文 著
ジャンル エッセイ
発行 幻冬舎文庫
文庫版 171ページ
価格 600円

2004年05月26日

イエスの遺伝子

 主人公、トム・カーターは遺伝子学者。
彼の発明した遺伝子解析システム ジーンスコープは人間の遺伝子を、まるでスーパーにおけるバーコードのように読み込める。その発明によって彼はノーベル賞を受賞することができた。しかし同時に人の遺伝子を解析するという行為は神を恐れぬ不遜なこととして、狂信的キリスト教集団に命を狙われることなり、ノーベル賞受賞式で妻を殺されてしまった。妻はテロリストに命を奪われたが、一方で妻の死により遺伝性の腫瘍が一人の娘にも発症することがわかった。残り時間はあとわずか、その時トムは...

 ひとことで言うと、インディ・ジョーンズとミッション・インポッシブルとを掛け合わせたような小説です。つまり映画化されたときの状況が実に浮かびます。その上「こんなのいくら小説だとは言えありえないようなぁ」というB級映画のような安っぽい記述(シーン)があったりします。だからこそ、よけい映画っぽいんでしょうね。
そういった部分は目をつむるとして、話の筋はよく練りこまれており、面白かったですよ

 この作品は1997年に発表され、舞台設定は2002年と、もう昔の話となってしましたが、今、近未来小説として読んでも違和感ありません。現実のバイオインフォマティックスの分野では、昨年4月14日にヒトゲノム計画によりの解析が終了しました。そのプロジェクトが大きく前進したのは、セレラ・ジェノミクスというベンチャー企業がスーパーコンピューターを駆使して解析したと報道されています。まさにトム・カーターのジーン・スコープさながらです。
 ただ解析が終了したといっても、読み取りが終了しただけで、DNAのどの部分が遺伝情報としてどういう意味を持つのかは、今まさにコンピュータで解析を行っているようで、まあまだジーン・スコープのようにはいかないようですね。

 この話、ビジュアル的に派手なシーンがたくさんあるなあと思ってたら、すでにディズニーが映画化の権利を買っているそうです。おそらく小説で読むより映画で見たほうが楽しめると思う話です。早く映画化されないかなぁ?

cover

イエスの遺伝子

マイクル コーディ 著
ジャンル 小説
発行 徳間書店
四六版 510ページ
価格 1,890円

2004年05月19日

OUT

桐野夏生さん「OUT」、受賞逃す 米エドガー賞

米国ニューヨークで29日夜(日本時間30日午前)、第58回エドガー賞授賞式(アメリカ探偵作家クラブ主催)が開かれ、英国イアン・ランキンさんの「Resurrection Men」(邦題「甦る男」早川書房)が最優秀作品賞に選ばれた。日本人として初めて最優秀作品賞にノミネートされていた桐野夏生さんの「OUT」(英文版、講談社インターナショナル)は受賞を逃した。 4/30t付 朝日新聞より

ということで、読みました、OUT。

 コンビニの弁当工場で夜パートで働く主婦4人。夫や子供とすれ違いになる夜のパートに出ているのは夜のパートの方が給料がいいから。夜働くから、夫や子供など 家族とすれ違い。いやむしろすれ違いになることを望んでいるのかもしれない。
この主婦4人はとりわけ親しい訳でもなく、ただパート先で一緒になっているだけ、むしろ性格の違いからお互いさげずんでいたりする。けれど、そのうちの一人が口論の末勢いあまって夫を殺してしまったことから、四人は...

 いやー、人物描写が見事ですね。鬱屈した主婦の心情描写が見事です。なもんで、登場人物が鬱屈している分、全般的に雰囲気が暗い。ただ雰囲気が暗いけど、読み込ませるような文章力があります。まあハードボイルドってこんな感じですよね。
ただねー、読み終えて、なんかいまいちすっきりしないって感じを受けました。

 ところで、冒頭にも書いたようにアメリカのミステリー賞であるエドガー賞にノミネートとのことですが、ミステリーってどういう定義(意味)なんですかね?探偵や刑事が出てきて、なんてことは言いませんが、謎解きがあるのがミステリーと思ってたけど、違うのかな?まあジャンルなんてどうでもいいと言えばいいのだけど。


cover

アウト

桐野 夏生 著
ジャンル 小説
発行 講談社
四六版 447ページ
価格 2,100円

※文庫版(上)(下)もあり

2004年05月13日

サラ金会社の夜はふけない

 先日、占いでお金持ちセンス判定をしたら石油王クラスだったので、スイス銀行体験記という本を読んで来るべき将来に備えてましたが、同じ金融機関でもお世話になるのはコッチの方が可能性が高いだろうということで読んでみました。
 まあ、いわゆる業界の暴露本ですね。サラ金会社に勤めていた筆者が体験した、お客の与信方法についてや、逃げ回る多重債務者、へんてこな社員、結構笑えます。無人融資の機械に映し出される人間模様なんかは大爆笑でした。
 幸いにしてまだお世話になったことはありませんが、もし借りにいくことになったら思わずこの本のことを思い出して、店内をきょろきょろ、そしてにんまりしてしまうかも...(そんなことしたら貸してもらえないか?)

サラ金会社の夜はふけない

ほのぼの 湖太郎 著
ジャンル ルポルタージュ
出版 第三書館 
265ページ
価格 1,260円

2004年05月08日

世界の中心で、愛を叫ぶ

 まもなく映画が封切られるこの話、とうとう二百五十万部を突破して、ノルウェイの森を抜いて歴代1位の発行部数だとか。韓国でも映画化の話もあるというこの話、この読書発電所でも、読了直後の初秋に読後感を書いてみましたが、ついたコメントは賛否両論。昨年に読んでからだいぶたったているので、そんな意見も頭に入れて再読してみました。
 その感想は...やっぱ良いです。愛していた彼女を亡くした主人公の喪失感、彼女がいなくとも流れていく月日、そして彼女と過ごしたあの夏。描写がすばらしいと思います。
ただ否定的意見にもあったように文章が軽く、奥行きが無いのは否めません。読み返せばまた新たな発見があるような文章ではないのは確か。でも軽い文章だからこそ、素直に感情移入できるのでしょうね。普段本をあまり読まない人にお勧めかな?逆に読み込んでいる人にとっては物足りなさを感じる人が多いと思います。
 最近、ジェットコースターのようと揶揄される、見逃すと訳が分からなくなってしまう連続ドラマや複雑な人間関係のモノから、シンプルな、ある意味古めかしいと感じるくらいの純粋なラブストーリーが見直されてきている気がします。冬のソナタのような韓国ドラマが流行っているのは、そんな理由からのような気がします。
 まあ、もはや恋愛小説にときめく歳でもないオヂさんが言うのも...という気がするけど(苦笑)

cover

世界の中心で、愛をさけぶ

片山 恭一 著
ジャンル 小説
発行 小学館
四六版 210ページ
価格 1,400円+税

2004年05月05日

SEのフシギな生態

 失敗談から学ぶ成功のための30ヶ条 というサブタイトル通り、プログラム開発のSEとして働いていた筆者の失敗談や不条理な業界の内情をマンガとエッセイで綴っている本です。マンガの部分だけを読んでも状況がわかるし、さらに突っ込んだ部分はエッセイで書いてあります。
 それを見ると...同じやねぇー、ワタシの状況と...
私はプログラム開発をしてる訳でもないし、いわゆるSEではないんだけど、同じ技術者として営業と一緒にお客さんのところへ行ったり、PM(プロジェクトマネージャー)的なことをしてるんで、ウンウンと頷くトコ非常に多し!そうなんだよなぁーと思ったり、こんなヘマしねぇぞと思ったり(そんなこと言ってるとわが身に降りかかったりするんですよね...)
 あまりに身につまされる話ばっかりで、是非これから社会に出ようと思ってる理系の学生に読んで欲しい本です。ちなみに著者はHPを開設しており、その作品の一端をみることができますよ。


cover

SEのフシギな生態

きたみりゅうじ 著
ジャンル ノンフィクション
出版 技術評論社
254ページ
価格 1,554円

2004年04月25日

スイス銀行体験記

 遠距離夫婦赤道越え交換日記 さんのトコの記事に出ていた”あなたのお値段鑑定します”
ちょいと、やってみた。そしたらだいぶ値段が低くて、クヤシイ!
 で、気を取り直して、”お金持ちセンスを測定”にチャレンジ。こいつだとなんと私は”悪徳商人タイプ”で”石油王級”らしい、すばらしい!金持ちのピークは2027年だとか。ちょいと悪徳商人というのが気になるが、来るべき将来に向けて資金の運用先を考えなくては(笑)
 ということで、図書館から借りてきました、「スイス銀行体験記」。石油王たるもの、スイス銀行に口座の二つ、三つもっていないとね(オイオイ)

 いわゆるスイス銀行と呼ばれるのはプライベートバンクというもので、日本の銀行のように決済等を主流とするコマーシャルバンクと違い、フィナンシャルプランナーに近いものだとか。資産を増やすことではなく、孫やその子孫の世代まで、たとえ国がなくなろうとも一族の資産は減らさないようにする、それがプライベートバンクの目的。そもそもプライベートバンクの顧客の資産はン十億クラス以上が普通。手数料等を考慮すると1億円以上ないとペイしないし、3千万円くらいが最低の預け入れ金額らしい。
 これら顧客から預かった資金は顧客と十分に打ち合わせをし、リターンとリスクなど顧客の要望やお金に対する考え方に応じて、プライベートバンクの名義で資金を運用する。こうすることによって、いわゆる匿名性の高さを保ち、また複数の顧客の資金とまとめて運用するので有利な条件で運用することが可能となるだそうです。
 この本ではそういったスイスのプライベートバンクの概要の説明に加え、プライベートバンクを利用している日本人顧客4人(匿名ですが)のインタビュー、そして果敢にも1千5百万円でプライベートバンクに口座を開いてしまった著者の体験談で構成されます。
 著者は数年後に続編を書くつもりでいるようですので、来るべき将来に備え、そちらも期待したいと思います(笑)
スイス銀行体験記―資産運用の達人プライベート・バンクのすべて

スイス銀行体験記

野地秩嘉 著
ジャンル ルポルタージュ
出版 ダイヤモンド社 
216ページ
価格 1,575円

2004年04月22日

贋作者

 美術館とかに行って絵を見たりするとき、その絵が本物かどうか疑ったりしますか?そもそも誰の絵かなんて、そんなこと気にしない?贋作だって本物と見間違えるくらい技量があり、その絵が気に入るかどうかが重要でどっちだっていいような気がします。
 ある画家の技法や主題をまねたら、それは贋作になるのかというとそうではないですよね?その絵がすばらしく気に入れば、誰が書いたのかなんていうのは本当はどうでもいい話です。つまり画家の名前が絵の良し悪しを判断するものでは無いはずです。
ただ美術館に見に行く時などは、画家の名前が一つの目安であるのは間違いありません。でもだからといって、まねて書いた絵をまねた画家の作品だと称すると、それは犯罪、その絵は立派な偽物となってしまいます。

 トム・キーティングはイギリスの労働階級に生まれ、本当に絵が好きで絵の勉強にのめり込み、そして絵の修復などを行ったきた人です。ところが勉強や修復などの経験を積むうちに、いろいろな画家の技法を身につけ、そして時々その画家が乗り移ったかのごとく、まるでその画家が書いたような絵を書き上げることができたのです。その絵を、彼の友人達は画家のサインを捏造した上で、ゴヤ、レンブラント等の作品と称して売ってしまったのです。その数は二千点以上。
そして、その事件の発覚は、世界的に有名な画廊やオークション会社を巻き込む一大スキャンダルとなったのでした。

 この本はその贋作者トム・キーティングの半生を綴った第一部と、そもそもそれらの贋作が本物として流通してしまう美術界の問題についてリポートした第二部とに分かれています。
贋作者にしろ、美術界にしろ日頃あまり接点の無いことですので、非常に興味深く面白く読めました。

贋作者

第一部
トム・キーティング 著
フランク・ノーマン(採録)
第二部
ジェラルディン・ノーマン 著

瀧口 進 訳
ジャンル ノンフィクション
出版 新潮社
306ページ
※ 絶版 図書館で探して下さい。

2004年04月16日

夜桜 櫻の樹の下には...@<桜.BLOG>

 夜、満開の桜をひとり見ると、昼間の明るい日差しの中で咲き誇る桜や、大勢で宴会をしながらふと見上げる桜とも違う美しさを感じます。薄暗い闇の中で、ぽっと浮かび上がる白い桜の花。凜として神々しく、人を寄せ付けない、ある種の怖さを感じる美しさです。

 そんな時ふと思い出すのは、「桜の樹の下には死体が埋まっている」という話。あの満開の桜の美しさ、はかなさ、そして怖さについて、なるほどと思わせる説得力があります。
 この話のもとになったのは、梶井基次郎の「桜の樹の下」。昭和初期の作家であり、若くして夭折した梶井の、病気療養中に伊豆で書いたといわれるこの作品には、有名なこのフレーズだけでなく、美しい桜の樹の下に埋まっていると想像される死体の描写など、充分すぎるくらいインパクトがあります。
 「桜の樹の下」が収められている梶井唯一の著作集「檸檬」を、文庫本で読みましたが、そのほかの作品も「城のある町にて」や「橡の花」など若い時分の例えようのない不安感、なんとなく感じる閉塞感を見事に描いている気がします。
 梶井基次郎の作品は死後50年経っているため著作権が切れており、青空文庫等でフリーで読む事ができます。「桜の樹の下」は比較的短い話ですので、ちょっとこちらで読んでみては如何ですか?
檸檬 (集英社文庫)

檸檬 集英社文庫

梶井 基次郎 著
ジャンル 小説
出版 集英社 
247ページ
価格 380円


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2004年04月07日

柏餅

 桜餅のとなりに、柏餅が並ぶ季節になってきました。考えてみると桜餅や柏餅のほかにも葉っぱを利用した物としては、笹の葉を利用したチマキや笹の葉寿司、お弁当の料理の仕切りに使うバレンや朴葉味噌などいろいろあります。

 この本では日本における樹木の料理への使用方法について、そのものを食べる・包む・香りづける・色づけるなど9つの分類に従って紹介しています。決して料理のレシピなどではなく、雑学っぽくエッセイ風にまとめてあるので、スッと読めます。
 実は以前に書いた桜餅の葉っぱの毒性などはこの本がネタ本です。

 この本がからもう一つネタをひっぱると、桜餅に道明寺と長命寺と関東、関西で違いがあるように、柏餅にも違いがあるそうです。東西で包む葉っぱが違うそうです。関東ではその名の通り柏葉を使いますが、関西ではサルトリイバラの葉を使うことが多いそうです。(本当ですか?関西の方)
桜餅の場合この辺りでも並べて売ってますから分かりますけど、柏餅はせいぜい中の餡違い(みそあん・こしあん)で売っているくらいですね。ひょっとして餡違いも関東、関西で違いがあるのかな?
樹木がはぐくんだ食文化

樹木がはぐくんだ食文化

渡辺弘之 著
ジャンル ノンフィクション
出版 研成社 
122ページ
価格 1,890円

2004年03月09日

言葉の力@<桜.BLOG>

 言葉の力。このタイトルを見てピンと来た人はどれだけいるでしょうか?
桜の時期、毎年のようにある話を思い出します。問題ない程度に載せると...

 「この色は何から取り出したんですか」
  「桜からです」
 と志村さんは答えた。素人の気安さで、私はすぐに桜の色びらを煮詰めて色を取り出したものだろうと思った。実際は、これは桜の皮から取り出した色なのだった。あの黒っぽいゴツゴツした桜の皮から、この美しいピンクの色がとれるのだという。志村さんは続けてこう教えてくれた。この桜色は、一年中どの季節でもとれるわけではない。桜の花が咲く直前のころ、山の桜の皮をもらってきて染めると、こんな、上気したような、えもいわれぬ色が取り出せるのだ、と。
大岡 信 著
講談社学術文庫 詩・ことば・人間 「言葉の力」 より

この部分を読んで思い出した人は多いのではないでしょうか?
そうです。中学の教科書です。「桜というのは花びらだけが桜色なのでなく、桜の木全体で桜色なのだ」という話に例え、言葉というのは表面的な意味だけではなく、その背後にはたくさんの意味がこめられているという話です。
 桜の季節になると、いつもこの話を思い出します。桜の樹をみるたびに、木の皮もなんとなくピンクに見えてきます。実際に染めて見た学校もあるようです。今回<桜.BLOG>企画があったのでネットで調べてみました。驚いたことにこの話、今の教科書にも載っています。つまり私が中学生だった頃から使っている!いったい何年前からだろう(遠い目...苦笑)。
 もちろんエリアや学校によっても使う教科書が違うと思いますので、みなさん全員がこの話を知っているとは限りませんが、懐かしいと思いませんか?ちなみに私が国語を勉強した光村図書のHPでは教科書タイムとラベルというコーナーがあり、時代別の教科書に掲載されていたたお話の目次があります。なかなか面白いですよ。

詩・ことば・人間 (講談社学術文庫 (672))

詩・ことば・人間
<講談社学術文庫>

大岡信 著
ジャンル ノンフィクション
出版 講談社 
960ページ 文庫版
価格 660円+税

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2004年03月07日

奇跡の人

 自分の運転する車で交通事故を起こし、植物人間状態から立ち直った克己は、病院のみんなから奇跡の人と呼ばれている。ただ事故前の一切の記憶を失ったばかりか、知能程度も子供に戻ってしまった。けれど赤ちゃんのような状態から教科書と頼りに懸命に勉強し、8年かけてようやく中学程度までに回復した。だから病院の仲間はみんな克己にあやかろうとしている。
 いよいよ退院の日が近づいてきた。ずいぶん前に死んだ父親に続いて、献身的は介護をしてくれた母親も死んでしまったから、これからは一人で生きていかなくちゃならない。でも周りの人の暖かい励ましと支援でなんとかやっていけそうだ。
 ただひとつ...。失った記憶を取り戻したい。けど、そのことに触れようとすると院長先生もみんな教えてくれない。なぜ? 自分の家に戻っても、あってよさそうな、事故の前後の写真も無い。自分はいったい誰?

 記憶を失った主人公が記憶を取り戻すべく、いろいろともがき苦しみ真相に迫る小説です。結末は意外でした(救いがないけど)。
正直、真保裕一の小説って期待して読んだけど、今一歩、面白くありませんでした。
奇跡の人

奇跡の人
真保裕一 著
ジャンル 小説
出版 角川書店
405ページ 四六版
価格 1,700円+税

2004年03月04日

ゾウの時間ネズミの時間

 どんな動物でも一生にうつ心臓の鼓動はだいたい同じって話、聞いたことがありますか?
この本はあらゆる生物、それこそミジンコからゾウまで、サイズの違いによる研究をテーマにした本です。
 ネズミの生涯は数年であるけど、ゾウは百年にまでおよびます。けれど時間の流れは大きさによって異なり、同じ1秒でも意味が違う。つまり哺乳類の場合ではどんなものでも、一生に打つ心臓の鼓動は約20億回、一生にする呼吸は約5億回だそうです。ゾウでも、ネズミでも、人間でも。
 その他にも大きい生物は本当に大食いか?とか単純な構造の生物に大きいものがないのはなぜか?等サイズにかかわる興味深い話が載っています。
ほかにも昆虫や植物の体の作り方、珊瑚のような動かない動物やウニ・ヒトデといったちょっとだけ動く棘皮動物についても解説してあり、非常に面白かったです。
ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)

ゾウの時間ネズミの時間−サイズの生物学

本川達雄 著
ジャンル ノンフィクション
出版 中央公論新社
230ページ 新書判
価格 660円+税

2004年02月24日

A Day in the Life of Africa

  アフリカというと何を思い浮かべますか?砂漠やジャングルといた厳しいけど美しい自然?それとも内戦や飢餓といった人間のネガティブな部分?新聞や雑誌等のメディアで刷り込まれるアフリカのイメージってそんなところでしょうか?
 この本は2002年2月28日、アフリカ大陸のあちこちで人々の生活をカメラマンが撮った写真を集めたものです。いわゆる”アフリカ”の写真はありません。アフリカでの”生活の様子”が生き生きと映しています。
 南アフリカでは、ボランティアのおばさんたちが道一杯に広がりながら、箒を振りかざし、踊りながらやってくる。ケニアではメダルを目指して若者がトレーニングに励む。そして夜ディスコで踊る若者。
みんな生き生きしています。なんか日本の方が活気がないような気さえします。
この本の収益はアフリカのエイズ教育資金に使われます。

A Day in the Life of Africa

A Day in the Life of Africa

ジャンル 写真集
出版 Pub Group West  (洋書)
288ページ

2004年02月19日

オトナ語の謎。

 大人の言葉って不思議ですよね。ふだん何げなく使ってても、ふと我に返ると意味不明だったりします。 
初対面でも「お世話になってます。」 「宿題」を持ち帰ったり、価格を「勉強」したり。
 オトナ語を使うと、桃太郎はやり手の営業マンみたいだし、男女の別れ話はシビアになって笑えます。
 この本は糸井重里のHP「ほぼ日(ほぼ日刊イトイ新聞)」で話題になったオトナ語の謎。コーナーを単行本化したものです。ということはHPを見れば本を買わなくて済むと思ったあなた、正解です。若干の差はあれど読むことができます。でも始めから読むのであればやっぱり紙の本の方がいいですよ。
オトナ語の謎。 (ほぼ日ブックス)

オトナ語の謎。

佐藤満彦 著
ジャンル エンターテーメント
出版 東京糸井重里事務所
224ページ 
価格 1,300円

2004年02月17日

ガリレオの求職活動 ニュートンの家計簿

誰もが知ってるガリレオやニュートン。でもそれらの偉人がどんな人だったか?「それでも地球は動いている」とつぶやいたとか、リンゴの木の話とかは知ってても、どういう階級に生まれ、どのように生計を立てていたのかは知らないのが普通ですよね。
 この本では科学者がパトロンの庇護を受けていたコペルニクスの時代から、職業的科学者として成り立つようになったファラデーの時代までその家計や人物像をまとめた本です。
コペルニクスは医者としても政治家としても活躍していたとか、ガリレオは職を求めいろいろな国を転々としたなどの話は興味をひきます。
 中でもガリレオが宗教裁判にかけられる発端となった地動説の本は、教会の検閲を受けてから出版されているという話なんてビックリ。それじゃなんで宗教裁判なの?となりますよね。それはガリレオのパトロンでもあり後ろ盾でもあった国王が亡くなり、その反動で誹謗中傷が噴き出てたからだからそうです。
 この本はあなたの「ヘエー」を引き出します。必ずほかの人に話したくなることばかりです。
ガリレオの求職活動 ニュートンの家計簿―科学者たちの生活と仕事 (中公新書)

ガリレオの求職活動 ニュートンの家計簿

佐藤満彦 著
ジャンル ノンフィクション
出版 中央公論新社
281ページ 新書判
価格 840円+税

2004年02月07日

カリナン

カリナン プラハの春で一躍作家デビューを果たした元外交官の春江一也の本です。

主人公は潰れた銀行の元重役。責任をとり服役中にふと思い出した幼いころの思い出。それはだんだんと鮮明なものとなってくる。自分の生まれた場所、育ててくれた人の面影。自分は何のための生きているのか?どう育てられたのか?
無一文で出所した彼は幼い頃の僅かなる思い出をたよりに、フィリピンのカリナンへと旅立つ

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2004年02月04日

できるかなV3

 ごぞんじ無敵の体当たり(場当たり?)漫画家、西原理恵子が放つ「できるかな」シリーズ第3弾!
第一弾では手作り放射能測定器を持って「もんじゅ」へGo!第2弾では理学博士を使って作ったロボットでロボット相撲に参戦。そして今回は親方日の丸に反旗を翻し、脱税できるかな?池袋のキャバレーに潜入し、ホステスできるかな?とやりたい放題。
 最近だんだんネタ切れというかマンネリ気味ですが、なかなかどうしてサイバラワールドに引き込まれます。このメチャクチャさが小市民の私にはマネなどできるはずもなく、でも一種の爽快感を覚えます。
 しかし...前からブックカバーが派手だったけど、とうとうやっちゃいました。なんと色は蛍光かかったショッキングピンク!これだけでインパクトあります。

できるかなV3 (SPA! comics)

できるかなV3

西原理恵子 著
ジャンル エンターテーメント
出版 扶桑社
142ページ
価格 1,000円

2004年02月01日

デッドエンドの想い出

 本のタイトル作「デッドエンドの想い出」を含む短編集。全部で5作品入っていますが、どれもほんわかした陽だまりのような話ばかりです。よしもとばなな らしいと言えばそうかも。タイトル作よりむしろ一番初めの「幽霊の家」が一番印象に残っています。気のいい男の子と女の子のラブストーリーです。変わらないってことは悪いってことではない。むしろ幸せなことかもしれないって考えさせられます。
 その他にも「おかあさーん!」にでてくる女の子は確かに大変な経験をしたんだけど、まわりの人達に支えられてなんとかやっていけそうだし、「デッドエンドの思い出」の主人公は失恋のショックを叔父さんの知り会いの店で働く男の子に励まされて何とか立ち直る。安心して読めますし、読んであったかくなれます。
 今の季節、窓際で日向ぼっこしながら読むのに最適かも。けど反面、刺激が無くてつまらんという見方もあるなぁ。

デッドエンドの思い出

よしもとばなな 著
ジャンル 小説
出版 文芸春秋
232ページ 四六版
価格 1,143円+税

2004年01月22日

ウメ子

 私のいる幼稚園に転入してきたウメ子は他の子とはちょっと違う。私の苦手なジャングルジムだって、てっぺんまでスルスルと登るし、みんなが逆らえないユカちゃんにだって遠慮はない。着ている服だって真っ赤なエプロンドレスだったり、ロビンフッドみたいな緑の服とか変な服ばっかり。そんなウメ子にはお父さんがいない。お母さんとの二人で暮らしている。大きくなったらどこにいるかわからないお父さんを探しにいくだって...。
 時々街にやってくるお兄ちゃんの大好きな紙芝居屋の源さんは、ウメ子のお父さんを知っているみたいだ。ウメ子のお母さんの古い友達。ある日久しぶりに街にやって来た源さんは、今度ウメ子のお父さんに会いに行くと言う。それを知ったウメ子は...

 幼稚園児のお話です。面白いんだけと、ふと我に返ると、幼稚園児がこんな目的のある行動を取るかというと...?せめて小学生からですよねぇ。ちょっと釈然しないなぁ。まあ確かに中学生になって振り返っている体裁を取っているけどね。

ウメ子

阿川佐和子 著
ジャンル 小説
出版 小学館
258ページ 四六版
価格 1,500円+税

文庫版有り

2004年01月20日

百年の恋

 うだつの上がらないサイエンスライターの真一は、ピンチヒッターでインタビューした信託銀行のエリートである梨香子となぜか付き合い始め、そしてとうとう結婚に。美人でスタイルも良く頭も切れるそんな梨香子だが、結婚生活を始めてから今まで見せたことのない裏の顔を見せ始めた。女らしく と言われることに異常なほど 反応し、鬼のような形相で当たり散らす。身の回りのことがまったくできず、料理はもちろん洗濯物にいたってはカビが生える始末。そんな彼女が身ごもった時、真一は...。

 この本は篠田節子さんの仲間である青山智樹さんの子育て奮闘を基に、劇中劇ならぬ小説中日記を青山さんが書き、それをベースに篠田さんが小説仕立てにしたものです。したがって二人の作家の共作なのですが、そこがやはりネックで小説中日記の部分が全体の流れの中で浮いてしまっている感じがします。しかし実感のこもった日記部分は、切り出して読んでみるとパパになるということの戸惑いと期待が良く込められてます。
 でもオーバーなくらいの人物設定やストーリーなどが面白いので、やはり小説として割り切って全部篠田さんが書いたほうが(あるいは日記部分に手を入れるか)良かったような気がします。TVドラマになってたようですね。

百年の恋

篠田節子 著(作中育児日記 青山智樹)
ジャンル 小説
出版 朝日新聞社
312ページ 四六版
価格 1,500円

文庫版有り

2004年01月18日

蹴りたい背中

 珍しく、色々な文学賞とかの受賞やノミネート前に読んでいた本です。
といってもザウルスのブンコビューアーなんで、いわゆる電子書籍として読みました。だもんでひょっとしたら、感想は紙の本と違うかも知れません。
 高校に入学して仲のいい友達もできた頃、クラスメートから浮いてる私(ハツ)と にな川。ひょんなことからよく話をするようになったけど、にな川はミョーでオタク。思わず蹴りを入れたくなる。友達のつもりはないし、当然恋人ってわけでもない 微妙な関係。
 ハッキリいって盛り上がりもないし、どってこと無い話です。読んだのは昨年だけど、読んだことを忘れてたぐらい。でもこの微妙な関係ってヤツは書くのもそうだし、読んで共感するのも年代が限られるかもね。(オヂさんにはもうわからないかも...淋しい)


蹴りたい背中<芥川賞受賞作品>
綿矢りさ 著
ジャンル:小説
ザウルスセレクト文庫
300kB
価格:670円

普通の書籍バージョンは

蹴りたい背中<芥川賞受賞作品>
綿矢りさ 著
出版 河出書房新社
142ページ 四六版
価格 1,000円

2003年12月30日

イサム・ノグチ 宿命の越境者

  先日、国立近代美術館でイサム・ノグチ展を観たのを機に、イサム・ノグチについて知りたくなり、図書館で伝記を借りて来ました。
 やっぱりイサム・ノグチといえば、和紙を使った有名な「あかり」シリーズでしょう。洒落たインテリアショップや雑誌などで良く見かけます。私も「あかり」でイサム・ノグチを知りました。その後イサム・ノグチという表記から彼が日系二世であり、彫刻家であったことを知りました。ただ大抵の人がそうであるように私も知っていたのはそこまででした。

 彼は彫刻家であるといっても普通の彫刻家の枠に捕らわれず、彫刻を単なる一つのモノではなく空間を構成する一つの要素として捕らえ、作品はいわゆる彫刻品だけでなく空間をプロデュースした庭とか公園と多岐にわたっています。
 その彼の作品の根底には二世であるがゆえの苦しみ、日本でもアメリカでも自分を受け入れてもらえない「宿命の越境者」としての苦しみがあるようです。
 しかしながら、ハンサムな彼は数多くの女性と浮名を流しました。メキシコの女性画家として有名なフリンダ・カーロと不倫による騒動を起こし、また李香蘭で知られる山口淑子と結婚し北鎌倉の魯山人の離れを借りて新婚生活を過ごしています。山口淑子とは結局別れることになりますが、魯山人の離れで過ごした時期は彼にとって幸せであったように思えます。
 やがて彼は日本とアメリカを行き来するうちに、日本三大石材産地の一つである四国の牟礼で晩年の彼を支える石匠 和泉正敏と出会います。和泉は個人として共に作品を仕上げ、彼の実家 和泉石材店としてもイサムの日本での活動を支援するなど、公私にわたりイサムを支援しイサムになくてはならない人となります。やがて和泉は丸亀市にあった築二百年の農家を移築し、イサムの日本における拠点として提供します。当初煤と煙で真っ黒であったその家をイサムは「こんなお化け屋敷に住むのはいや」と拒絶しますが、修復作業を見ているうちにのめり込み、やがて「イサム家」と呼ばれるようになります。(イサム家はやがてイサム・ノグチ庭園美術館としてオープンします)
 晩年、彼は和泉のいる日本の牟礼とミケランジェロを輩出したイタリアのピエトラサンタ、そしてニューヨークを転々としながら、最後までアグレッシブに創作活動を送り、そして1988年12月30日に他界しました。
 そんな彼が最後までこだわり続けた作品のひとつが芸術作品として捉えて貰えなかった「あかり」シリーズであると聞くと、普段なにげなく見ている「あかり」も感慨深いものがあります。またもう一つこだわっていたもの、それはニューヨークでは何度もコンペに応募しながら、採用されることの無かった「プレイマウンテイン」...札幌市郊外のモエレ沼公園(1998年7月一部開園 2004年完成予定)として実現します。

 最後まで「越境者」としての作品を作り続けたイサムですが、幼少時代を過ごした日本での自然風景、魯山人の側で過ごし影響を受けた新婚時代、そして牟礼での生活と充分その感性は「越境者」ではなく、「日本人として」の感性のように感じました。

 この本はイサム・ノグチの生涯を綴った伝記なのですが、一気に読ませる文章力、過不足無く調べ盛り込まれた中身、非常に面白い本でした。
ps.サイトで本の情報を調べて知りましたが、第22回講談社ノンフィクション賞受賞だったんですね。

イサム・ノグチ 宿命の越境者(上)/(下)

ドウス昌代 著
ジャンル ノンフィクション(伝記)
出版 講談社
397ページ(上)/389ページ(下) 四六版
上下 各 2,000円

※ 講談社文庫版もあり

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2003年12月02日

手紙

 「罪を憎んで人を恨まず」って、言葉がありますよね。
 宗教用語?真の意味はよくわからないけど、「罪を犯した人、その人を恨むのでは無く、恨むなら罪を犯さざろう得なかった環境(社会?)を恨みなさいよ」という事でしょうか。
 けれど人間ってそうそこまで達観した境地にはなかなか至らないもので、被害を被った人は当然としても事件に関係の無い人であっても、罪を犯した人を恨み「アイツは犯罪者だ」とレッテルを貼る。そしてそれは犯罪者本人だけでなく、その家族にまで貼られてしまう。アイツは「殺人者の弟だ」と...
 この本は弟のために罪を犯し服役中のた兄からの「手紙」と、殺人者の弟だという負い目をもった主人公の生活と心情を綴った話です。
 犯罪者の弟が感じる疎外感。兄のことを隠して生活していてもやがてはバレてしまう。そのとたん腫れ物に触るように、あるいは露骨に自分たちの周りから弾き出そうとする人。なかには以前と変わりなくつきあってくれる人もいます。そしてとうとう、ある決心をした主人公に見せられた手紙。そこから感動のラストへと続きます。
 読み終えてなんかスッキリしない(救いが無い)話ですが、東野圭吾の話の紡ぎ方に旨く、引き込まれます。

手紙

東野圭吾 著
ジャンル 小説
出版 毎日新聞社
357ページ(四六版)
価格 1,800円

2003年12月01日

シエスタおじさん

シエスタおじさん。青空に浮かぶその人は空にぷかぷかと浮かび寝ている。
なにをするわけでもないが、空に浮かぶ姿を見ると幸せになれるとも言われている。
激しく動き回るときはなにかが起こるとも言われている。

ほとんど迷信の権化のようなおじさんと母を捜しにでかけたぼくとの話です。でもシエスタおじさんとぼくは会話をするワケでなく、ぼくの旅の中でところどころで寝ているだけ。

ぼくの旅では、様々な宗教談義が出てきます(さわりですけど)。よく分からないなんてことない話のようでいて、深い話なのかも知れない。ちょっと不思議なお話でした。

シエスタおじさん
青空に浮かぶその人はすべてを知っている

小暮満寿雄 著
ジャンル 小説
出版 文春ネスコ
158ページ (B6)
価格 1,350円

2003年09月24日

ニライカナイの空で

 主人公の進一は12歳。
 1963年、父親の破産でたった一人で父の戦友の九州の炭鉱町に預けられ、そこから始まる少年の冒険物語です。都会育ちだった進一が、炭鉱の町の子供たちや荒くれの大人にもまれ、逞しくなっていきます。

 いまどきの子供は塾にTVゲーム、ホントに外で遊ばなくなったようですが、今の子供ととそして悪ガキとどっちが良かったか。でも子供だけではないですね。預けられた先の父親は昔の頑固親父そのもの。すぐ鉄槌が下るような親ですが、愛情が深いからというのがいろいろなシーンから滲みでます。それに対し進一の父親はある意味今日的。

 始めの不安な出会いから、親友となった竹ちゃんとのヨットでの冒険、そしてラストの別れまで一気に読みました。 坪田譲治文学賞受賞作

ニライカナイの空で

上野哲也 著
ジャンル 小説
出版 講談社(講談社文庫)
317ページ
価格 619円

2003年09月22日

漂流記の魅力

 最近、この手の本ばっかりですが...
タイトルを見ると漂流記の魅力について解説した本のような気がしますが、どうしてこれは立派な漂流記そのものです。

 1793年に遭難し、ロシアに漂着した若宮丸の乗組員が10年後かけ、日本人として初めて世界を一周し帰国した様子を描いた物語です。ロシアに漂着というと、どうしても大黒屋光太夫の話が有名ですが、それにもおとらず苦節の日々を過ごしています。
若宮丸の場合はシベリアを横断してロシア皇帝に拝謁するまでは一緒ですが、大黒屋光太夫の場合と違い、そこから大西洋を横断。そして南アメリカ大陸のホーン岬を回って、太平洋に出てハワイ経由で日本に帰国します。まさに世界一周!

 鎖国を守ろうとする幕府と交易を迫るロシア。その交渉の道具としてロシア側に利用されて帰国することができたのですが、鎖国の妨げになってはと冷たい態度をとる幕府。その狭間で、せっかく日本に帰国したというのに、帰郷もできず出島から出れない若宮丸の乗組員。気を触れるものもでてしまいます。ようやく最後は帰郷することもできますが、その頃海外に出た日本人がどう扱われていたのかがよく分かります。

 非常に興味深い内容なのですが、もう少し詳しく読みたいと思ってしまいました。逆を言うと軽く読めます。

漂流記の魅力

吉村昭 著
新潮新書
191ページ
680円

2003年09月20日

異国船漂着物語

 台風が来たあとなどに浜辺にでると様々なものが流れ着いてますよね。
見知らぬ文字のポリ容器や場合によっては椰子の実など。日本は島国でしかも海岸線が長いことから昔からいろんなものが流れついてきました。その中でも大きいのが船そのもの。しかも流れ着いた船の中に見られぬ格好をした人が乗ってたら...

 この本は江戸時代から明治初期にかけて、日本に漂着した異国船の話です。

 御宿に漂着したサン・フランシスコ号の場合、漂着時に村民総出で乗組員を助け、漂着した積荷はきちんと集めて返したことが感謝された。(当時の世界情勢の中では漂着物は拾った人のものとなるのが当たり前、下手すれば漂着した人は皆殺しで積荷を奪われるのが常識だったそうです) それが縁で御宿の町は約400年後の1978年にメキシコの大統領を迎えた...。

 大分に流れ着いたリーフデ号の場合、その船尾に飾られていたエラスムス(宗教改革の発端となった「痴愚神礼賛」を書いたオランダ人)の像が、その後栃木県佐野市で「アズキ砥ぎばばあ」として祭られた...。

などなど、全部で8隻の異国船の漂着時の記録とそれを発端とする騒動や近年の交流について書いた本です。

異国船漂着物語
難破船と、彼らを救った浜辺の住民たちとの交流秘話

著者 松島駿二郎
ジャンル ノンフィクション
出版 JTB
253ページ
1,500円

2003年09月15日

TUGUMI

吉本ばなな(最近、よしもとばなな に変えたらしいが)さんの本

 どうも、と売れてる作家ってなんだかそれに乗るのがやな感じがして、結構読まず嫌いだったりする。(売れてる時って「けっ!」って感じなんですよね) でもそういう作家の中でも、後で読んだエッセイやノンフィクションで気になり、そして気に入りの作家となることって多いんです。

 村上春樹の場合は、「アンダーグラウンド」(地下鉄サリン事件の被害者のインタビュー集)がきっかけ。その切り口、文章に「この人の小説ってどんな感じだろう?」って気を起こさせました。
この吉本ばななの場合、今は廃刊になってしまったSINRAって雑誌に、沖縄あたりの離島の旅行記が載っていて、いつか読んでみたいと思いました。

 今までなかなか縁遠く読んでませんでしたが、今回図書館で思い出し借りてきたのがこの「TUGUMI つぐみ」です。(単に忘れていただけという話も)
体が弱いけどそれを補うほど有り余るエネルギッシュな従妹のつぐみ。彼女が引き起こす一夏の騒動を、主人公の目を通してつづってます。一途な、でも場合によっては残虐なほど鋭いつぐみ。こんな娘周りにいたら大変だ。

PS.よくよく考えると、「世界の中心で、愛を叫ぶ」とおんなじ位、ありがちに感じるシュチエーション(でも実生活ではあまり聴かないだけどね)

TUGUMI つぐみ

吉本 ばなな 著
ジャンル 小説
中央公論社
234ページ
価格 1,030円
 

2003年09月11日

世界の中心で、愛を叫ぶ

なんてタイトル...

 30過ぎのオヂさんが買うには、いや普通のOLでもこっぱずかしいに違いない。救いは装丁の中でタイトルの字が小さく目立たないところかな?

 中身はタイトル通り恋人を亡くした高校生の物語という陳腐な設定ですが...すごく良いです。今まで読んだラブストーリーの中で1,2を争うって感じかな(村上春樹の「国境の南、太陽の西」と競います)。

 本屋で何気なく手にとって、数ページを読んだだけで引き込まれて買ってしまいました。彼女を亡くした喪失感が、彼女と過ごした日々が、お構いなしに流れていく日常の中でくっきりと浮かびあがります。
どちらかというと速読するタイプなんですが、じっくりと染み入るように読みました(といっても2日で読んじゃいましたが...)。主人公だけでなく祖父の恋も絡めていろいろ考えさせられるところもあり、何回も読み返しそうです。

 初版は一昨年の四月なんですが、最近ベストセラーとなっているようです。私が買った本が第十五刷で発行が今年の九月二十日(おいおい来週だよ)。大きい本屋の売り上げランキングにも10位以内にはランキングしているし、来年の映画化も予定されてます。読んで損はない一冊です。

でも、タイトルが恥ずかしいなぁ。
なにもこんな大上段なタイトルつける理由もないのに...

世界の中心で、愛を叫ぶ

片山 恭一 著
ジャンル 小説
発行 小学館
四六版 210ページ
価格 1,400円+税

2003年09月07日

連載小説

仕事が忙しくなる前の、お盆に何冊か本を読みました。

そのうちの二冊が「夏みかんの午後」と「じーさん武勇伝」。前者は芸文社の「CittA」、後者は「小説現代」に掲載されたもの。2つの雑誌とも読んだことはないのですが、読者層が若い女性と若干年齢層が高そうな男性層と勝手に推測してます。

というのもこの二冊、かるーく読める小説なのですが内容はタイトルから想像されるとおりのそのままんま。
 「夏みかんの午後」は、葉山で暮らし始めたフードスタイリストのちょいと洒落た生活に恋愛を絡めたいかにもトレンディー(ちょいと死語か)な話。
 「じーさん武勇伝」は南の海を縦横無尽に駆け巡り、若い嫁さんをもらい、沈没船の財宝まで引き上げてしまうというスーパー爺さんの話。こんな爺さんいるかっ!て感じのスーパーじじい
 それぞれの雑誌の読者の夢ものがたり(と勝手に想像してるけどあってるのだろうか?)をまんま小説にした感じです。
別に悪い意味でなく、かるく楽しみながら読めます。(きびしく言えばそれだけで、あとになにも残らないけど...)

そういえば、「夏みかんの午後」は装丁が結構いいです。

夏みかんの午後

著者 永井 宏
ジャンル 小説
出版 サンライト・ラボ
141ページ
530円


じーさん武勇伝

著者 竹内 真
ジャンル 小説
出版 講談社
242ページ
1,700円

2003年08月15日

ラペルーズ世界周航記 日本近海編

  十八世紀後半にルイ十六世の命を受け、世界一周を行う途中でヨーロッパ人には未開の地であった太平洋北西部の探検をしたラペールーズの航海記です。(当時日本人もあまり蝦夷地のことはよく分かってなかったけど) また、ルイ十六世の勅命には、「江戸や長崎といった太平洋岸では日本との交易は難しいだろうけど、北東部における交易の可能性を探れ」ということも含まれています。ようは江戸から遠い分、鎖国が徹底されてないのでは?ということですね。

 ラペルーズは、フランスを出航して大西洋を横断し、ホーン岬を越えハワイを経由してアラスカへ、そしてマカオへ1787年4月に到着してます。そこからが本書の範囲である日本近海となります。マカオを出航したラペルーズは、対馬海峡を抜け能登半島沿岸に接近し、日本の船を確認しておきながら接触せず北上を続けます。
 その後は日本海沿岸を北上し、サハリン西岸と大陸の間を北上し間宮海峡を抜けようとしますが幅と深さと風で断念し、サハリン西岸に沿って南下しヨーロッパ人として初めて宗谷海峡を抜けるのです。それを記念して海外では宗谷海峡のことをラペルーズ海峡というのが一般的だそうです。
 このころアイヌの人たちだけが住んでいたサハリンは、ヨーロッパ人には太平洋北西部とは未開の地であったようです(当然日本人にとってもでしょうけど)。千島列島を北上し、ペトロハバロフスクにたどり着いて、文明人であるロシア人に会いほっとしたような記載があります。

 しかしこの本、寄港地で本国に送られたラペルーズの航海日誌を基にしてますが、ラペルーズの性格的なものか客観的事実を淡々と記載していて、ちょっと読み物としてはいまいち盛り上がりに欠けます。ただヨーロッパ人が日本近海をどう捉えてたか、その頃の日本の状況はどうだったか、と考えるとなかなか興味深いものがあります。ちょうど、ラペールーズが日本海にいる頃、日本では松平定信が筆頭老中に就任し寛政改革を行っていた頃であり、また間宮林蔵によるサハリンの探検は1809年のことです。

 ちなみにラペルーズは世界一周は叶わず、ソロモン諸島のバロコニ島で現地人に襲われて命を落とすのですが、その後のラペールズ捜索の経緯についても簡単に記載があります。


ラペルーズ世界周航期 日本近海編
ジャン・フランソワ・ガロー・ド・ラペルーズ 著
ミエ・ミュロー 編/小林 忠雄 編訳
出版 白水社 (※絶版)
272ページ
価格 4,500円

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2003年08月04日

巡礼者たち

 パリス・レヴュウ新人賞他の文学賞を受賞し、またアマゾン・コムの読者採点でも満点続出の本、らしい。(パリス・レヴュウ賞って、どんな賞だか知りませんが...)

 確かに、この本、いいです。
短篇小説って、勢い日常生活の1シーンを切り取っただけってものになり易いと思いますが、この本はそんなことありません。特に日本の短篇小説は、映画のように表面的(シーン)な描写におちいって軽いものになりがちだと思いますが、この本では登場人物の内面もうまく切り取って描写してます。
 それも、くどすぎることも無く足りないこともなく、ちょうど良い塩梅で文章が書かれており、読んでいて心地良いですね。

 この本のコピーに「短篇小説でしか書けないこと」とありますが、本当にそのとおりです。
久々にまた読み返したいな、と思う短篇小説でした。私は「華麗なる奇術師」が好きですね。

巡礼者たち
エリザベス・ギルバート 著/岩本 正恵 訳
ジャンル 小説
出版 新潮社
四六版変形 302ページ
価格 2,000円

2003年07月28日

消えた名画を探して

 ゴッホ、ピカソ、ルノワール、ダリ、名画と呼ばれる美術の教科書に出てくるような絵、それが今誰が所有しているかわからない、という。

 今から十数年前のバブル期に、安田火災が約58億円で購入して話題を呼んだゴッホの「ひまわり」に始まった日本人による名画の買いあさり。日本人による相次ぐ名画の購入は、ある意味、日本人における美術への関心を高めたという側面もある。また過去の歴史をひもとけば、時の勢いのある国に美術品が流入するのは自明の理だという。

 しかし「名画は単なる美術品ではなく、人類共通の財産である」という認識をもった欧米の国々に比べ、日本では単なる土地建物といった不動産と同様の財産として扱われているという事実を、この本では突きつけられる。さらにはイトマン事件のように不透明な美術品取引慣行を悪用し、不正取引の道具に使われたりする実態が書かれている。

 なにも絵画を購入した人だけが悪いのではない。事実、名画を購入したコレクターの多くは美術館等を作りコレクションを公開する計画をもっていた。ただバブルがはじけ、その計画が泡と消えただけである。バブルの崩壊により担保として差し押さえられた名画は、不動産と同様に購入価格と評価価格との差額が大きすぎ売れるに売れない。さらにはバブル景気で日本人によって購入されそして担保に押さえられたという事実は、そのプロヴァナンス(来歴)に汚点をつけられたという意識が欧米のコレクターに働くらしい。

 日本のコレクターによって購入された名画は、そもそも個人で購入したのか自分の会社名義で購入したのかがわからない。そしてバブル崩壊後に担保として差し押さえたのは、誰なのかは全くわからなくなってしまった。しかし売るに売れない名画は、どこかの銀行やノンバンクによって、公開される訳でもなくかといって売られる訳でもなく、倉庫に「塩漬け」されている。つまり世間からは消え去るのだ。

 今、失われた十年と言われる日本のバブル後を過ぎ不動産市場が動き始めているように、美術品も売買がされるようになってきた。ひそかに相対取引で国外に流出したり、ひっそりとオークションに出品されてきている。(だだし出品者は明かされない)

やがて、人類共通の財産である「消えた名画」もひょっこりと現れるのだろうか。

---

 図書館にあった本なのですが、美術書のコーナーにありました(笑)。確かにテーマは名画だけど純然たるノンフィクション。どういう基準で分類しているのかよくわからない。そしてこの本、文章は読みやすいのですが、バブル期の企業不正のカラクリ等の記述等あったりして、なかなか頭に入っていかず、読みえるのに非常に時間がかかってしまいました。


消えた名画を探して
糸井 恵 著
ジャンル ノンフィクション
出版 時事通信社
四六版 248ページ
価格 1,800円

2003年07月23日

長くつ下のピッピ

スウェーデンの童話作家 リンドグレーンの代表作

子供のころ読んだ気がしますが、
嫁さんが図書館から借りてきたのを機に
もういちど(?)読んでみました。

訳わからん...。

ピッピという女の子が活躍する(?)話なんですが、
よく言えば自由奔放、悪く言えばデンパの入ってる子供。
子供らしい自由な発想といえば聞こえがいいけど、
振り回される周りが大変そう。
 → と、思うワタシは日本人なんだろうね。

ピッピもこの本以外に続編が2作ほどあるんだけど
同じ調子なのだろうか?

それとこの本、初版が1964年と40年近く経っていることもあり、
ちょっと訳が古い感じがする。

長くつしたのピッピ~世界一つよい女の子
リンドグレーン作品集 1
リンドグレーン 作/大塚 勇三 訳
ジャンル 児童文学
出版 岩波書店
A5版 264ページ
価格 1,700円

2003年07月18日

パーク・ライフ

ご存じ、芥川賞受賞作。

本屋でぱらぱらめくり面白そうだけど、
自腹で購入までして読みたいと思えなかった。

図書館で借りようと思ったら、案の定予約だらけ。
しばらくほっておいたら、図書館の順番待ちは解消されたみたい。
こないだ近所の図書館で検索機でみたら、
閉架書庫にありました。(でもなんで閉架なんだろ)

非常に軽い(さっと読める)本なので
読み始めたらあっという間に読了。

”他人だから恋が始まる”ってコピーだけど、
恋までたどりつかない...。
今時の人間関係をさらりとつづってます。
ほんとにさらりと。
だからなんなのって感じで、頭に残らない。
きっと1ヶ月も立てば内容はすっかり忘れるでしょう。

と、そう思ってたんだけど、さっき読み直したら、
文体が軽いのは軽いんだけど、公園でのぼけーとしてるときの
とりとめのない頭の中の考えや公園の中の様子が生き生き描写されて
なかなか、いいかもしれない。

もしかすると主人公は人間じゃなく日比谷公園かもしれない。
脇役は駒沢公園ね。

最近、天気が悪いけど梅雨が明けたら、近所の大きい公園に言ってみよう。

パーク・ライフ
吉田 修一 著
ジャンル 小説/もう一篇 "flowers"を同時収録
出版 文芸春秋
四六判 184ページ
価格 1,238円(+税)

7/5読了,7/18二度目の読了

2003年07月17日

ウェブログ入門

今日、本屋に行ったら...ありました「ウェブログ入門」。

ウェブログって何?から始まって、BLOGGERとMovable Typeの導入方法から
さらには、私みたいな
 「HTMLって勉強してないからわかりませぇ~ん。
  スタイルシートって、うーん。でもHPのデザインをいじりたいなぁ」
って人でもツボを押さえた解説があるので、この本を見れば、OK!

さらには応用編では、RSSの生成からトラックバックなど
よくわからないけどいろいろできそう。
「よおーし!やるぞー」って気にさせる。

これはと思い早速購入。
この本で勉強して、このサイトのデザインをかっちょえぇものにしたいっす。
まだぱらぱらとめくっただけだけど、とりあえず紹介。
全般的に中身はMovable Type中心ですね。

ウェブログ入門 −BloggerとMovable Typeではじめる−
田口 和裕/堀越 英美/ばるぼら/sawadaspecial 著
ジャンル 実用書
出版 翔泳社
B5変形版 320ページ CD-ROM付
価格 2,380円(+税)

7/17 購入

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2003年07月14日

間取りの手帳

いつも新聞の折り込みに入っているマンションのちらし。
街角の不動産やの案件紹介。
つい、見入ってしまうことはありませんか?

この本はそういった不動産案件の間取りを集めたもの。
むろん普通の部屋じゃあ〜ありません。
 なに、この壁! このスペースはなんに使うの?
 なんで自分の部屋の風呂に入るのに、玄関を出なければならないの?
てな案件がびっしり。
設計段階で気がつかなかったのか?確信犯なのか?

でもこういう案件ってありますよね。
是非、案件を見てみたいものです。

ps.私の気になる案件best1は、83番。

間取りの手帖
佐藤和歌子 著
ジャンル ノンフィクション
出版 リトル・モア
新書サイズ変形 136ページ
価格 950円(+税)

7/14 読了

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