阪急電車/有川浩
「袖摺りあうも他生の縁」。
阪急今津線の中で繰り広げられる人間模様を描いたオムニバスの短編集です。たまたま同じ電車に乗り合わせただけの老若男女。
そんな他人が同じ車内で励まさられ、叱られる。例えそれが直接声を交わさなくても...
微妙に絡み絡み合う16話が一冊の本としていい感じにまとまっています。
「袖摺りあうも他生の縁」。
阪急今津線の中で繰り広げられる人間模様を描いたオムニバスの短編集です。たまたま同じ電車に乗り合わせただけの老若男女。
そんな他人が同じ車内で励まさられ、叱られる。例えそれが直接声を交わさなくても...
微妙に絡み絡み合う16話が一冊の本としていい感じにまとまっています。
「ナッチャンRera」
という船を知っていますか?
昨年、青函連絡船に就航した最新のフェリーです。フェリーというと「さんふらわ」のような船が真っ先に思い浮かびますが、
この船はなんと双胴船。
双胴船というとなんとなく鈍足のような気がしてましたが、ニュースでを目にした「ナッチャンRera」
はスマートでかなりスピードがでそうな感じ。
それもそのはず、この双胴船はウェーブピアサーという最新の造船技術を利用して作られた高速フェリーで、
その最高速度はなんと45.4ノット(84km/h)。
実は大西洋横断のスピード記録を48年ぶりに更新したのがこのウェーブピアサーなのです。
この本はそのウェーブピアザーの技術をベースに最新の船舶技術について紹介した本です。
SFは読んだことが無いという人はいても、
星新一のショートショートを
わたしも何冊か文庫本を買ったこともあります。でもいつの間にか読
この人、八木 虎造さんのことは、きっかけはなんだか忘れちゃいましたが、そのBlog 「野球素浪人」を発見してからずっと愛読してました。
仕事中毒で廃人同様になった反省で、日本(仕事)を離れシチリア島へ。
そこでのんびりとバカンスを過すハズが3日でホームシック、1ヶ月で仕事再開。そんな中、アテネオリンピックで見た野球に影響され、無性に野球がしたくなって入ったチームはセリエAのプロリーグだった...
とまあこんな感じで綴られている「野球素浪人」が書籍になりました。大体はBlogで読んでしまっているのですが、活字で見るとやっぱり頭への入り具合が違いますね。
鴨川ホルモーで衝撃のデビューを果たした万城目学さん。今回はその鴨川ホルモーの別ストーリー、恋がテーマです。
鬼どもを操り、ホルモーを戦ったってやはり大学生。
そこには恋が芽生えることもあります。
でも万城目ワールドですから、その恋はちょっと風変わりなものばかり
図書館戦争シリーズの最終巻です。
原発を襲ったテロ発生!
その事件の参考にされたと覚しき小説を書いた小説家は、メディア良化委員会によってを拉致・幽閉の危機に! それを阻止する為に保護した図書隊の奮闘ぶりは如何に!
とまあ、今書いても設定は荒唐無稽。
でもそういう設定があるのが、SF、いや小説の醍醐味ですからね。あとは如何にその世界に入っていけるかどうか...
すばる、それは日本が誇る世界最大の一枚鏡をもつ反射望遠鏡です。
ハワイのマウナ・ケア山にあるその天体望遠鏡の名を耳にしたことがない人はいないでしょう。遙か彼方の宇宙の星々の綺麗な写真には目を奪われます。
またちょっと技術に興味のある人なら、直径8.2mという世界最大の反射鏡を制御する最先端の技術(鏡の自重による歪みを制御する為、裏側からコンピュータ制御されたアクチュエーターで鏡を押し出す)に興味を持つかもしれません。
この本はそういったすばる望遠鏡の技術・建設物語と、様々な写真を織り込んだすばるによる研究成果を織り込んだノンフィクションです。
ついつい買ってしまったダーティペアシリーズ。
ダーティペアの大征服の続巻です。
こういう上下巻に分かれている話って、発行のタイミング、つまり上巻と下巻の間の感覚が結構重要だったりしますよね。同時発売じゃないということは話が書き下ろされていないということでしかもその間隔が長いとなると...
で、この話は約1年半の間が空いてしまいました。
シャクルトンは南極大陸横断に挑戦した探検家なのですが、彼が有名になったのはその探検で船を失い南極圏を彷徨いながら、一人の犠牲者出さなかった点にあります。その17ヶ月間が綴られた「エンデュアランス号漂流」は読み応えのある名作で、アラスカで命を落とした写真家 星野道夫の愛読書だったというのもわかります。
その不屈の精神とリーダーシップで知られるシャクルトンですが、実はその影で命を落とした人たちがいました。本隊をサポートすべく結成されたロス海支隊です。この本は、そのロス海支隊の壮絶な戦いについて綴られた本です。
昔読んでいた、読売新聞。 その朝刊には人生相談のコーナーがあって、いろいろな悩みの相談が掲載されていました。
はっきり言って内容はかなり複雑でシリアス、どう考えても「そんな複雑な相談が毎日続くワケないだろ」という感があって、人生相談という形をとった読み物(フィクション?)でした。
そういう相談モノって、軽い方向に行くと子供電話相談室とかありますが、なんだかんだ言って結構人気があるんでしょうね。
WEB上でもその手のページ、YOMIURI ONLINEの発言小町や、この教えて! gooは人気があります。 発言小町は前述の人生相談っぽいのがメインですが、教えて! gooは子供電話相談室みたいで、素朴な疑問、難問、珍問の嵐、気軽に楽しめるページです。
この本の著者は「初恋の人探します社」の代表、その名の通り誤解したまま別れてしまったあの人、あの時、行方のわからない恩人、そんな人たちを探し出す仕事をしている探偵社の社長さんです。
もちろん探偵社ですから、社名のようなロマンチックな初恋の相手探しだけでなく、浮気調査やW不倫の末に駆け落ちしてしまった二人を探すような仕事もします。
中にはSMクラブの女王様を探し出すような仕事も...
テルミン買いました。(厳密にいうと大人の科学 9月号だけど)
以前より出たら買うぞと意気込んでいた割には、しばらく放置プレイ。
発売日には買うには買ったのだけど、単三電池が無かったもので...
ようやく先週、電池を買ってきて組み立ててみました。
けど...なんか思ってたのと音が違う。
もうちょっと電子的な澄んだ金属っぽい音かと思ってたのだけど、こんな音なの?
なんか草笛というか、クチビルをぶぶぶーと鳴らしたような音がしてます。
組み立てた当初、音がならねえゾと右側のダイヤルをいろいろとイジリまくったのが原因かなぁ? うーん...
GM、ポルシェ、そしてフェラーリをデザインした日本人 Ken Okuyama こと奥山清行さんの初の著書です。
デザイナーというクリエイティブな仕事を極めた人の著書でもあり、またタイトルに惹かれて読んでみました。ただ結論から言うと、タイトルと本文の関連は全くわからず...
なんとなく、フェラーリをデザインすることも鉄瓶をデザインすることも根幹では一緒なんですよ、なんてメッセージがこめられていることのは見た瞬間わかりますが、本文中にはそういう記述はほとんど無し。かろうじて、「おわりに」の冒頭の4行にそういう記載があるだけ。
ちなみに本文中にも鉄瓶についての記載は終わりの方に1ページだけしかありません。
ただ、だからと言ってこの本が読むのに値しないかというと、まったくそんなことは無くむしろ考えさせられるところが多数ありました。タイトルにやられた、って感じですね(笑)
図書館戦争が「本の雑誌」が選ぶ2006年度上期エンターテーメント作品 第一位ということで本屋に並んでいたのが去年のこと。
図書館員が武装化して戦うという荒唐無稽の設定に興味を惹かれたものの、買うほどでもないかと思ったら、いつのまにやら続巻が。なら、読んでみるかと、図書館で借りてきました。
一言で言ってしまうと、いわゆるライトノベルのジャンルの本です。
オヂさんが読むにはちょっと、こっ恥ずかしい...
けど結構テンポが良くて、なかなか面白かったのは確か。
先日読んだ、憑神がちょっと正統派時代小説から外れてたように思えるので、藤沢周平の代表作とも言える蝉しぐれを読んでみました。
舞台は藤沢周平作品によく出てくる仮想の藩、海坂藩。そこに育った少年藩士の成長を描いた物語です。
幼なじみとの友情や淡い恋、父との死別、そして藩内の内紛といろいろな要素が絡み合って、物語は進みます。
でも毎回正義の味方に撃破されてしまっている様子を見て、思ったことがありませんか? 「お前らのやり方じゃ、とうてい無理だ。オレに任せてみろ」と...
そんなあなたにどうやったら世界征服ができるのか、古今東西の事例(?)を元に世界征服について研究したのがこの本です。
この前、藤沢周平のたそがれ清兵衛を読んだし、また時代小説でも読むかなと本屋をうろついていて見つけた本がコレ。
なんでも妻夫木聡主演で映画化される、というより公開中。しかも原作は、結構好きな作家である浅田次郎。
ということで読み始めました
近々始まる裁判員制度。
だからじゃないけど、裁判所ってどんなトコだろう?とちょっと興味が湧いたりしませんか?普通に生活していると縁のないところだけど、いつ何時裁判に巻き込まれるかわかりません。
あのネコ裁判のようにね。
「鴨川ホルモー」で鮮烈なデビューを飾った万城目 学の最新作です。
前作の舞台が京都なら、今回の舞台は奈良。
そして奈良といったら、鹿でしょう。
ということで、今回も魑魅魍魎とはちょっと違うけど、「鴨川ホルモー」と同様の「万城目ワールド」が展開されます。
単なる移動の手段だけではありません。
いい自転車は垂涎のまなざしで見つめられ、乗っている奴は鼻高々だったものです。(オトナになった今もその構図はそんなに変ってないかもしません...笑)
アメリカにとって最大の激戦地となった硫黄島。
その硫黄島の摺鉢山(ホットロックス)の頂上に、今まさに星条旗を掲げようとする6人の海兵隊員。その様子をとった写真はピュリッツァー賞を受賞し、その海兵隊員達は英雄として祭り上げられます。
写真の中の一人である著者の父 ジョン・ブラッドリーは、帰国後、英雄として驕るではなく、むしろそのことは隠すかのようにひっそりと生活し、そしてその生涯を閉じました。
なぜ父は口をつぐんでいたのか、硫黄島で、帰国後に何を見て体験したのか疑問をもった作者が、6人の海兵隊員の生い立ち、硫黄島での闘い、そしてその後の生涯について調べ綴ったのがこの本です。
世田谷区の約半分の広さのこの島は、第二次世界大戦の趨勢を決する要衝であるがゆえ、61年前の今頃、日米双方の血で血を洗う壮絶な戦いが繰り広げられていました。その1ヶ月半に及ぶ戦闘を題材に、日米双方の視点より映画化されたのが「硫黄島からの手紙」であり、「父親達の星条旗」です。
この本は「硫黄島からの手紙」の原作ではありません。しかし日本側の指揮官、栗林中将の人柄、戦いぶりを知る上で貴重なノンフィクションだと言えると思います。
ルワンダの大虐殺については、「ホテル・ルワンダ」を観てから、いくつか本を読みましたが、考えてみれば直接の被害者の書いた本を読むのは初めてです。
イマキュレーさんは悲劇の後、国連職員となり、結婚してアメリカに渡り講演活動をしていた際、アメリカの著名な心理学者ウェイン・ダイアーに出会い、この本を出版することになったようです。
いわゆる20年ほど前、暴走族の最盛期の頃です。
横浜銀蠅、ナメ猫等 いわゆるツッパリがカッコイイという風潮があり、それっぽいカッコをしている生徒は沢山いましたが、本当の意味でグレた生徒はほんの一握りだったような気がします。
ガラスを割る、火災報知器を鳴らす、廊下をバイクで走るなんてコトをしていたのはその一握りの生徒達でした。
終戦からの6年間、ケーキ(景気)時代とも呼ばれる、沖縄の人々が誰もがこぞって密貿易に関わっていた時代がありました。混乱の時代だからこそ、自分自身の器量で大金を掴むことができる。
そんな沖縄の人たち自身が煌めいていたウチナー世において、その中でもひときわ輝いていたのが夏子です。
マリーンズの魂のエースと言われるジョニーこと黒木智宏。マウンドの上からバッターを睨みつけ、雄叫びを上げる。
最近は1軍で登板することはほとんど無くなりましたが、それでもマリンスタジアムでジョニーが登板すると球場の雰囲気はガラリと変わります。そう選手もファンでさえも。
昨年、ジョニーが先発した8月28日は凄い熱気でした。
この本はそんなジョニーの半生を追った本です。
AK47、通称カラシニコフ。
簡素な構造がゆえに信頼性の高いこの銃は世界中の紛争地帯で必ず登場します。
前作ではアフリカの"失敗国家"におけるAK47の実態に迫った力作でしたが、今回も南米とアジアにおけるAK47に迫ります。
惑星キンメリアの大陸の一つ全体をアミューズメントパークとした、それがバーバリアンエイジ。
アミューズメントパークといっても単なる遊園地じゃなく、ヒロイック・ファンタジーの世界を最新テクノロジーで実現させた、まさに入場者自身が登場人物として身を持って体験するリアル体験のロールプレイングゲーム。
本物の剣と魔法、それを提供するバーバリアン・エイジがの人気にならないワケがない。あっという間に、銀河系一の超人気のテーマパークとなった。
そのテーマパークで事件が発生し...
パズル・パレスを読んでエニグマに興味を持った訳ではないのですが、暗号に関する話です(エニグマに関する本を買いに行って、ついでに見かけたパズル・パレスを買ったら暗号に関する話だった...というのが真相です。まっどうでもいいですけど)
エニグマは第二次大戦中にドイツ軍が使用していた解読が不可能といわれていた携帯型の暗号機です。
戦時下において自分達に関する情報が洩れないように、無線通信を暗号化するというのは想像に難くないですし、逆に敵の通信を傍受して自分達の作戦を優位に運ぶというのもまたしかりですね。
この本ではエニグマ暗号の解読に取り組むイギリスそしてドイツとの、静かなる、でも重要な戦いを描いた本です。
この本は ダン・ブラウンの最新作だと私は思いっきり勘違いしてましたが、実はデビュー作なんですね(いや日本においては最新作には間違いないんだけど...)
この本はアメリカのNSAを舞台にしたサスペンスです。NSAという機関は世界中の通信を傍受している、アメリカの国益に役立つような情報を集める実在する諜報機関で、エシュロンという通信傍受システムは有名ですね。
4月7日が何の日だか知ってますか?
12年前の今日、ルワンダで民族大虐殺が始った日です。前の日にルワンダ大統領の乗った飛行機が撃墜されたことから、約100日間に及ぶ民族間の悲劇が始りました。
私は年初にホテルルワンダを観て、それから最近この本を知り手にとりました。
そして何気なくルワンダについて改めてネットを調べていて、4月7日という日を知りました。単なる偶然なのでしょうが、そのタイミングにちょっと驚いています。
この本は、ルワンダから隣国ザイールに逃れた難民を支援する為に派遣された自衛隊を、取材したカメラマンが書いています。つまり、時間的には「ホテル・ルワンダ」での主人公ポールが難民キャンプにたどり着いたその後の話にあたるわけです。
この本は、求人雑誌 B-ingに掲載されていた小説を収録した短編集です。
地上げで人気の少なくなった都心を自転車を漕いでお得意先を回る銀行マン、世田谷の住宅街に住む成金の社長へ自動車を届けるセールスマン、さえない大学の非常勤講師。
世の中には本当にいろんな仕事があります。
華やかな仕事、楽しそうな仕事。
でもどんな仕事だって、良いことばかりじゃありません。
いや、悪いこと、大変なことの方が多いかもしれません。
しかし内容うんぬんより...高っ!!
いや本自体は1,000円ですから、高くはないのですが、高いのは中身。いやだってさー、字はでかいは行間がスカスカの上にページ数も少ない。
確かに本はグラムいくらじゃないと思うけど、それにしてもねー。
でも、その度に疑問に思いませんか?
なぜ、そんなに簡単に盗まれるのか?
盗んでも有名すぎて売れないんじゃないの?
それとも盗品と判りつつも購入するような熱心な収集家がいるのだろうか?
そして…忘れたころにひょっこりと姿をあらわすまで、どんな捜査が行われているのだろうかと。
この本は1994年2月12日、リレハンメル・オリンピックの開会式の行われた朝に、オスロから盗まれたムンクの『叫び』の盗難事件を例に、そんな疑問に答えてくれます。
上九一色村のオウム真理教施設の強制捜査からも、それだけの時間が過ぎました。親が出家した為に教団へ入りこんでいった子供たち。その子供らは今どうしているだろうという疑問からこの本は始まります。
前回、”東京DOLL”で懲りたはずなのに、また石田衣良の小説を買ってしまいました。
今度は恋愛モノの短編集、神楽坂のタワーマンション メゾン リベルテ を”舞台に”、というより”住んでいる人たち”の10の物語が収められてます。
メガスターって知ってますか?
メガスターとはお台場の科学未来館に行けば見ることのできる、世界最高性能のプラネタリウムです。
どれくらい性能が良いかというと、普通のプラネタリウムが映し出す星の数は多くて数万、それが科学未来館にあるメガスターⅡだと500万個、12.5等級の星を映し出すことができます。つまり星の数が桁違いなのです。
メガスターが12.5等級という通常、肉眼で見ることできない星まで投影するのは、圧倒的なリアルさを実現するためです。例えば天の川は一つ一つ星として見ることができますのです。
私も見ましたが、このリアルさは圧巻です。
そしてその素晴らしいメガスターは驚くことなかれ、なんと個人の趣味として作られたものなのです。
読書発電所ではamazonのアフィリエイトをやってますし、私自身amazonを良く使います。本を探すのも簡単だし、本屋でたくさん本を買うと重いですから...
しかもウチは配送センターが近くということで、在庫があると、あっという間にやってくるので重宝してます。
空き箱は、amazonさんに使えますし(笑)
主に物価の安いアジアを旅するバックパッカー向けの情報誌、地球人
その雑誌に連載している、旅のエッセイ漫画、それがグレゴリ青山さんの"旅のグ""です。
マット・デイモン主演の「ボーン・アイデンティティ」の原作です。
プロットこそ一緒ですが、話の筋は映画とぜんぜん違います。というより映画が原作を大胆に書き直したってところでしょうか?
主人公は傷を負い地中海を漂っていた記憶喪失の男、ボーン。
ボーンは自分の正体を知るべくチューリッヒの銀行に出かけられるが刺客に襲われる。途中、ヒロイン マリーを巻き込みながら、手がかりがありそうなパリを目指すといったストーリーはだいたい同じ。
ただマリーはカナダ人の経済学者だし、フランスの老政治家やオートクチュール店員達といった映画にはないキャラクターが多数登場します。
以下ネタバレ注意
(ひょっとしたら、映画のシリーズの3作目のストーリーに関ってくるかも)
この本はあの「ダ・ヴィンチ・コード」のラングドン教授のシリーズ第一作です。
なのですがそれ以上に、シンクロニシティという言葉を思い出してしまう程、まさに情景が浮かび上がってくるようなタイミングで読んでしまいました。
この本の設定はローマ法王が亡くなり、次期法王を選出する「コンクラーベ」という投票を行われるバチカン市国が舞台なのです。奇しくもヨハネ・パウロ2世が亡くなり、8日に葬儀が行なわれたばかり、コンクラーベも間もなく開催されるでしょう。
ある日、町の広報紙の片隅に載っていたとなり町との戦争のお知らせ。
となり町との戦争?
主人公はなにが起こるかと身構えつつも開戦の日を迎えるが、いつもと変わらない一日。
やがて、となり町との戦争は日常の中に埋没していく。
いつもと変わらない毎日、町の広報紙のほんの片隅に、転出、転入、出生、死亡に加え戦死者数の記載が加わった以外は...
その原画やその他の絵を飾った個展が北青山のGallery Concept 21で開かれているの見に行ってきました。
昨年のプロ野球界、合併、売却、新規参入といろいろと騒ぎになりました。
「たかが」発言、スト決行。
騒然とした中で、あれほどプロ野球について議論された年もなかったのではないでしょうか?
カリオストロ伯爵といって思いつくのは、間違いなく映画 ”ルパン三世 - カリオストロの城” でしょう。
いまや巨匠となった宮崎監督の名作であり、アニメファンならずとも見たことある人が多いと思います。(あまり古さを感じませんけど 26年前の作品なんですね)
そのカリオストロ伯爵が実在の人物だと知って、興味を持って読んだ本がこの本です。
ようやく、読みました”ダビンチ・コード”
トム・ハンクス主演で映画撮影も開始したこの小説、ずっと読みたかったのですが、図書館は順番待ちの長いリスト...
とうしようかなぁ?と思ってましたが、とうとうアマゾンさんに届けてもらいました。
この本はあの「鉄道員」を書いた浅田次郎さんが、ヨーロッパ(カッシーノ!)、アフリカ・ラスベガス(カッシーノ2!)のカジノを取材(?)した旅のエッセイです。
リゾートホテル・ジャンキーという本を昔読みましたが、あれば非日常を紹介する女性版だとすると、こっちはその男性版といったところでしょうか?
しかし酒呑みの理屈って、ありますよね。自分が酒呑みだからわかるのですが、呑まない人や嫁さんの前では、呑む時や酒を買う時にイチイチ言い訳がましく、ブツブツと理屈をこねるんですよね。明日は壜の回収日だからコイツは飲み干しておかないと壜を出せないとか(笑)
私は博打はやらないのですが、この本を書いてる浅田さんの文章が、いかにも酒呑みの理屈と一緒なんで笑っちゃいました。
先日読んで凄く面白かった「面白南極料理人」の西村淳さんの本です。
北海道旨いぞレシピ付きのサブタイトル通り、ほんの気持ち程度ではありますが、思い出の料理のレシピも載ってます。
ただメインは料理のレシピではなく、アノ西村さんはどのように育ったか、それがメインとなってます。で暮らした悪ガキ時代から、青春時代まで、当然「面白南極料理人」にも登場した愛する奥さん、みゆきちゃんとの出会いも描かれてます。
けれどもこの本の主人公はみゆきちゃんではなく、愛すべき西村さんのおばあちゃんサツさんです♪
大滝詠一のアルバム"A LONG VACATION"に収録されている曲 ”カナリア諸島にて” そのカナリア諸島って何処にあるかご存知ですか?
アフリカ沖の大西洋に浮かぶスペイン領だそうです。そこは昔、日本のトロール漁船の基地となっていたこともあり、つい最近まで日本人学校が開設されていたそうです(今は閉鎖)。
この本はそのカナリア諸島の都市、ラス・パルマスの日本人学校に赴任した先生の旅?のエッセイです。
正直、あまり読ませる文章では無いけど、カナリア人(スペイン人)気質や、カナリアの諸島の島々の様子を興味深く読むことができました。
カナリア諸島に行って、「薄く切ったオレンジをアイスティーに浮かべ」たくなりましたよ♪
ちなみに印象に残ったスペインの諺
「30歳までは女が、そのあとは一杯のワインが、またそのあとは暖炉があたためてくれる」
うーん、暖炉もなければ、モテないワタシは、ワインに活路を求めるしかありません(笑)。
著者 斎藤慶一郎
ジャンル エッセイ
出版社 東洋出版
四六版 229ページ
価格 1,260円
ジェームス・クック。その名前は世界史の教科書の片すみに、大航海時代の終わりに世界を一周を成し遂げ、ハワイ諸島を発見し、ニュージーランドの測量等を行なったイギリスの船乗りだと書かれています。
確かにその通りなのですが、彼が航海したのは距離は述べ地球8周分。それは月まで距離とほぼ一緒。18世紀という時代を考えると、その航海は一言で済まされない何かがあるように思えます。
この本はピューリッツァー賞 受賞ジャーナリストである著者が、キャプテン・クックが訪れた場所を訪れ、「その場所は現在どうなっているのか?」・「クックの来訪は原住民にどう感じられたのか?」・「そしてクック自身はどんな人であったのか?」について、取材したノンフィクションです。
まさにタイトルどおりの本
地図好きの著者が、世界各地の地図を入手してはニンマリといった様子をそのままエッセイにしたものです。私も地図好き。楽しく読みました。
地図にもお国柄がでます。
日本の地図は官公庁の記号がやたら詳しい(細分化されている)。裁判所に税務署、営林署まであるのに対し、海外ではそんなものは無いらしいです。
畑の記号が詳しいのはイタリア。アーモンドやイナゴマメ、オリーブなどの記号があります。樹だってたくさん栗にニレ、ブナ、ポプラ全部記号が違います。
面白いですよね。(って普通の人はあまり面白くないかな?)
ただ後半の使いやすい地図にするための筆者の意見、ちょっと余計かな?
地図の使い易さ等は慣れの問題もあるし、ちょっと...と思うものも多々あったので。
著者 今尾恵介
ジャンル エッセイ
出版社 けやき出版
四六版 220ページ
価格 1,427円
先日読んだジェフリー・アーチャーの獄中記の続編です。
イギリスの刑務所は、読めば読むほど日本の刑務所とは違っているように思えます(たぶん)。
イギリスでは受刑者はカテゴリーAからDに分類されてます。
カテゴリーAは逃亡を可能とする資金を持ち暴力的で危険な受刑者、カテゴリーBはそれ以外の暴力的で危険な受刑者、カテゴリーCは再犯者や重罪ながら非暴力的な受刑者(大半の受刑者はここに分類)、カテゴリーDは初犯で暴力行為の履歴のない受刑者のことを指すそうです。カテゴリーDの受刑者を収監する刑務所には開放型のものもあり、毎日塀の外で働く事も許されているとか。
当然、ジェフリー・アーチャーはカテゴリーDに分類されて当然なのですが、濡れ衣の告発の影響で、カテゴリーCの分類のままで扱われます。
正解でした。面白い!笑えます。
舞台は静岡県のお嬢様学校。
理科の先生を務める編者が生徒達に出した自由研究。その内容は、真面目なものから思わず吹き出してしまうようなものまで各種様々です。
火星殖民が始まった近未来、クローンである主人公、キョウイチはユンと出会う。次第に彼女に惹かれていくキョウイチ。でも彼女は恋人であるマークと火星に旅立つ。
半年後、1世紀はかかると考えれていたテラフォーミング(火星環境改造)は、あっという間に終了し火星は緑の惑星となった。と、同時に反乱が起った。
火星緑化の原因は?火星反乱の行方は?そしてユンとマークの行方は?
キョウイチは火星に向かう。
言葉は生き物。
時代によってその使われ方、意味はだんだんと変化していきます。
ですからその時代でどのようにその言葉が使われているかをあらゆる書物から拾い出して収集し、そして語句の意味を分類し、特定し、用例を載せていくのです。
それは世界最大・最高の辞典といわれるOED「オクスフォード英語大辞典」でも同じことです。収録語数41万語強、全12巻、編纂には実に70年もの年月をかけたOEDには、二人の天才の物語がありました。
秘密基地を作ったり、探検に行ったりしませんでした?
そのときには電信柱から10秒以上離れちゃいけないとか、今考えるとわけのわからないルールを作ったりして、でもそれを真剣に守ってたり結構楽しかったものです。
恋した時って相手のちょっとした反応に浮かれたり、沈み込んだりしますよね。相手の気持ちがわからなくて、どう気持ちを伝えたらいいのかわからなくって...
いろいろ親身になってくれる人がいたなら、どんなに心強いことか。
まるっきり子供ではないけど、大人でもない。
親の庇護のもとで暮らしてはいるけど、時々ちょっとした冒険をしてる。
親には絶対内緒の、仲間うちだけの秘密をもっている。
制限がある自由の中で、だかこそその制限の中で目一杯、時にはちょっとはみ出して、毎日を楽しんでた気がします。
BBCワールドライフ写真展の南極の写真や「ペンギンと泳ぐ旅」を読んで南極に行ってみたいと思っているワタシ(妻は冷たい目で見ていますが...)
南極本ということで、図書館から借りてきました。
表紙をめくるとでてくるカラー写真。
キレイなオーロラやペンギン、アザラシ。そして基地で料理をする著者の写真。真面目な本なのかなぁ?と思うと最後のカラーのページでガツーンときます。
基地の外で、祝-60.1℃と書いた紙を持ち、ずらりと並ぶヒゲづらのおっちゃんたち。そのカッコは、パンツいっちょにサンダル履き。はっきり言って酔っ払いです。
グラスを片手におもちゃのバットを持ってるヒトもいます。
ラスト・サムライがヒットした余波で武士道がベストセラーになりましたが、私にとって武士と言えば「鬼平」です。
ドラマはもう大分昔に終わりましたが、中村吉右衛門演じる長谷川平蔵、カッコイイですよね。時代劇というと、水戸黄門や暴れん坊将軍しか知らなかった私は、鬼平を見てこんな時代劇があったなんてと、そのハードボイルドな世界に痺れました。
原作が素晴らしい上に、TVの演出もかっこいい。
あの、ジャジャジャーンというテーマにのって流れる「何時の世にも悪は絶えない...」というナレーションから始まるオープニング。そして季節感あふれる風景に不思議とぴったりあっているジプシーキングスのインスピレーション(CD買っちゃいました、笑)が流れるエンディング。オープニングからエンディングまでかっこい。
この本は、その鬼平犯科帳の原作者である池波正太郎が「男はこうあるべきだ」と語りおろしたエッセイ集です。正確にはエッセイというより池波正太郎に編集者がインタビューし、その内容を本にまとめたものです。
神戸に行くきっかけとなった西村しのぶですが、何者なんじゃいってヒトのために紹介を...
まあ一言でいうと、神戸を舞台にしたララブストーリーを書く漫画家です。
って書くと、なんか”うっ”と拒絶反応が出そうだけど、生くさいドロドロした恋愛ものでもなく、さらっとしたカッコいいラブストーリーですよ。
その作品の中に出てきたのが、コスモポリタンやフーケそしてフロインドリーブといった神戸のお店でした。そういえば先日エントリーした鍵善の水羊羹も、これで知ったんだっけ。
山の小鳥のkotoriさんとこで見たエントリーと本。
気になって図書館で借りてきてしまいました。
まあ一言でいうと、普段、食べている果物や野菜、それについている種を蒔いて育てましょうって本です。
本当に吉本ばななさんの文章って、なんでこんなに ほんわかとしてるんでしょう?
その辺りにいそうな女の子の視点、けれど決してありふれていない設定。
にもかかわらず読んだ読後感が暖かいのは吉本さんの文才なんでしょう。
今回、旅行のお供の本の一冊
藤原信也のHPやその他の雑誌等に掲載されたエッセイ集です。
この本のなかだ印象に残ったエッセイは、「青という色」。
藤原さんが世界一の美しさと評する与那国の海の色は、エメラルド色も含めさまざまな色を見せる。それは水が透明な青であること、そして海の底の色が美しいこと。
なるほどなぁ〜と思いつつ、目の前のボルネオの海を眺めていました。
原作をドラマ化する際には、脚本によって大分ストーリーが変わってしまうことが多いですが、これもご多分に漏れず、大分違うような気がします。
もっともドラマは始まったばかりだし、うちにはテレビが無いので確認のしようが無いのですが...(^^;
南極に行ったことありますか?無いですよね、普通。
数年前まで、府中郷土の森で毎年開催されていた「BBCワイルドライフ写真展」。
いわゆる自然動植物の写真展なのですが、そこに展示されていた青い氷山の上のペンギンの写真、すごくきれいでした。
その写真がすごく印象に残ってます。そんな風景一度見てみたいなあと。
南極へ行って、ペンギン見てみたいです。
真樹と涼は子供のいないフウフ、っていうか、キョウダイみたいなフウフ。そして最近はやりのセックスレス。若い頃は喧嘩もしたけど、30過ぎてからは二人の仲は安定期。
別に嫌いなわけでも浮気相手がいるわけでもない。けれど友人たちに「変だ」と指摘されたことから、妙なことを思いついた。それは一旦離婚して、真樹が涼の親の養子になるということ。そうすればフウフじゃなくて、キョウダイになれる!
そんなことを表明したとたん巻き起こる騒動。
二人の決意がきっかけとなって表われる、友人たちの内情。
一見、普通に見えても普通じゃない。逆に普通ってなに?って感じになります。まあ本人が納得していればいいんでしょうけど...
個人的にはキョウダイみたいなフウフというのはアリとは思うけど、でもそれは決してキョウダイにはなれないと思います。また逆に仲の良いフウフみたいなキョウダイって、ある意味それは変だと思いますが、どうですかね?
小林 光恵 著
ジャンル 小説
発行 作品社
204ページ
価格 1,500円+税
柿ピーどっちかというと好きなのは? 柿の種?ピーナッツ?
私はだんぜん柿の種です。
はっきりいって柿ピーがあったらピーナツは避けて食べます。避けるためのワザも取得してます。袋入りの場合、袋のまま軽く揺すってやると比重の差からピーナッツは沈み、柿の種は浮上します。そこをすかさず柿の種だけごっそりと取るのです。
あなたは教科書の写真にヒゲを書いたことがありますか?
私はあります。なに!?あなたは無い!そんなあなたは少数派です。
てな感じの、世論調査というにはふざけてる。でもみんなどうしているのかちょっと気になる、そんな質問を慶応義塾大学 佐藤雅彦研究室が毎日新聞社と協力し、iモードを使って調査。
いいですょ、このくだらない質問の数々。
今ではiモード以外の、ボーダフォンライブ!やEZwebも駆使して毎週3万人強が回答。この本はそんな調査結果、2002年10月7日の開始時から昨年末まで、をまとめて本にしたものです。
ちなみに柿ピーは柿の種が好きな人が55%、ピーナッツが好きな人が45%。
教科書にヒゲを書いたことがある人が75%、無い人が25%
いやー面白い質問ばっかり。こんどまたピックアップしてみます。
※ 日本のスイッチプロジェクトは今現在も続いてます。
携帯電話のwebメニュ-で毎日新聞社から。
先週、回答してみました。全国の回答者44716人中、私とまったく同じ回答をした人が688人いました。回答が少数派なのかどうかもわかって面白いですよ。
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慶応義塾大学 佐藤雅彦研究室 著
ジャンル ノンフィクション
発行 毎日新聞社
文庫版 265ページ
価格 1,050円
三島賞は矢作俊彦氏の「ららら科學の子」(文芸春秋)に、山本賞は熊谷達也氏の「邂逅(かいこう)の森」(同)に決まった。 5/18 朝日新聞社
昔、FM東京でやってたラジオドラマ。それがきっかけで読み始めたのが矢作俊彦の「マンハッタン・オプ」。谷口ジローののイラストとあいまってどっぷりとハードボイルドの世界にはまりました。
でも本の作者紹介には、「ピンカートン東京支社勤務を経て」とかいったふざけた略歴を書いてたりして、どんな人なんだろうと思いました。(あっピンカートンって、レイモンド・チャンドラーとかのハードボイルドの世界では超有名な探偵社ね)。
でも、そのころ本当に矢作俊彦にはまりました。「コルテスの収穫」の下巻を今でもまっているほど(笑)。こいつは眉村卓の「とらわれたスクールバス」状態で、上巻・中巻の次がン十年出ていません。文庫書き下ろし作品のはずなのに...(笑)
思わず昔の想いがメラメラと巻き起こり買ってしまいました。
話の筋は...
昔、ひょうんなことから日本から密出国し、そして30年ぶりに帰ってきた主人公。
あのころ、暑い学生運動があった日本は、いまやまったく違う国になってしまった。
って感じのストーリーです。
うーん正直、面白くなかったです。
昔読んだ話のように、シニカルな、それでいて芯のある、熱い想いを秘めた主人公がじゃないんですよね。こっちが昔と違う環境(前は中高生だったもんで)にあったことも否めませんけど。
矢作俊彦 著
ジャンル 小説
出版 文芸春秋
480ページ
価格 1,890円
「Dデー」60周年、仏・ノルマンディーで式典 第二次大戦の勝敗を決した連合軍のノルマンディー上陸作戦決行日「Dデー」から60周年にあたる6日、フランス・ノルマンディー海岸に16か国の元首、首脳や退役軍人ら約6000人が集い、一連の記念式典が行われた。 6月6日付 読売新聞より
今日、6月6日は「史上最大の作戦」で知られるノルマンディー上陸作戦が行われた日。60年前の今日から連合国軍の反撃が始まり、パリ解放、そして第二次大戦終結へと転換することになった。
60年前紛争といえば国家間のものだったのが、今はアルカイダに象徴されるテロリスト集団との戦い。いやテロリストに限らず、テロリスト掃討の名の下にブルトーザーで家をつぶすという、テロと変らない事をしている国もある。この世の争いは、どこかの国の大統領がいうような「善悪との対決」といった単純なものでは決してない。それは今だけでなく、60年前も...
標題の「パリは燃えているか?」とは、ドイツが4年間占領していたパリに連合国軍に侵攻を受けていることを聞いた際のヒトラーの言葉。ヒトラーは「パリを失うものはフランスを失う」という史実から、「パリは絶対に死守せよ! 仮にパリを奪われる時には瓦礫の山と化していなければならない」と、連合国の侵攻の時には、パリの橋梁から発電施設、電話局、そしてエッフェル塔に至るまで爆破するよう命令を下していた。
本書はパリの危機をめぐる模様をドイツ側、パリ市内のレジスタンス、シャルル・ドゴール将軍率いるフランス軍、そして連合国軍の様々な人々のインタビュー、アンケート並びに調査によって書き上げられたノンフィクションです。
当初、連合国軍はパリを先に開放した場合の物資補給を鑑み、パリを迂回するルートでドイツに攻め入る作戦でした。しかしドイツ軍占領下のパリにおける市民の不満は爆発寸前、レジスタンスは一斉蜂起を検討していた。しかし仮に一斉蜂起してもすぐ殲滅されてしまい、逆にワルシャワのような悲劇を招きかねない。レジスタンスの中でも共産主義者、ドゴール将軍派が解放後の主導権を睨んで対決していて一枚岩ではなかった。
一方でドイツ軍のパリ総司令官はジレンマに陥っていた。レジスタンスの動きは不穏であるし、連合国軍の動きも気になる。このままではパリを爆破せねばならぬ。総統の命令は絶対であるし、疑念の余地はない。しかし、この美しい街を破壊しつくすということは、取り返しのつかないことになりかねない。
このような多方面から見たパリ開放は、非常にドラマチックで面白かったです。印象的なのは、「三色旗」と「ラ・マルセイユーズ」、いかにフランスの人たちが国を愛し誇りに思って国旗と国家を大切にしているのかがわかります。そういえば映画、カサブランカの1シーンでもそのようなシーンがありましたね。面白いと言ったけど、難点を一つ。登場人物が多すぎて名前がよく覚えられません。通常の小説等だと名前が出てこない通りすがりの人まで名前を載せているので、誰が誰だが良くわからないところがあります。外国小説の登場人物の名前を覚えられない人にはちょっと読み終えるのが難しいと思います(笑)
ドミニク・ラピエール
ラリー・コリンズ 共著
志摩 隆 訳
ジャンル ノンフィクション
発行 早川書房 ハヤカワ文庫
文庫版 369ページ/369ページ
価格 652円
「ホテル・ジャンキー」の著者が、海外の一流どころのリゾートホテルについて、そのホテルの売りや、そこでの体験談をエッセイに綴ったものです。むしろホテルのファシリティそのものより、一流どころなる宿に泊まりに来た人々の世界を垣間見せてくれます。
と、書いたものの、「本当かねー?」というエピソードがいっぱい。あまりにもドラマッチックすぎといったところです。まあホテルは舞台、宿泊客は役者、と見立てた一種の小説として読んでみたら面白いですよ。(少しガイド的要素の入ったヤツね)
こういったところへ泊まってはみたいものの、泊まってもせいぜい1、2泊。ましてや常連客なんぞにはなれないし。違う世界への憧れと夢を見たいなら...オススメかな?
村瀬 千文 著
ジャンル エッセイ
発行 幻冬舎文庫
文庫版 171ページ
価格 600円
主人公、トム・カーターは遺伝子学者。
彼の発明した遺伝子解析システム ジーンスコープは人間の遺伝子を、まるでスーパーにおけるバーコードのように読み込める。その発明によって彼はノーベル賞を受賞することができた。しかし同時に人の遺伝子を解析するという行為は神を恐れぬ不遜なこととして、狂信的キリスト教集団に命を狙われることなり、ノーベル賞受賞式で妻を殺されてしまった。妻はテロリストに命を奪われたが、一方で妻の死により遺伝性の腫瘍が一人の娘にも発症することがわかった。残り時間はあとわずか、その時トムは...
ひとことで言うと、インディ・ジョーンズとミッション・インポッシブルとを掛け合わせたような小説です。つまり映画化されたときの状況が実に浮かびます。その上「こんなのいくら小説だとは言えありえないようなぁ」というB級映画のような安っぽい記述(シーン)があったりします。だからこそ、よけい映画っぽいんでしょうね。
そういった部分は目をつむるとして、話の筋はよく練りこまれており、面白かったですよ
この作品は1997年に発表され、舞台設定は2002年と、もう昔の話となってしましたが、今、近未来小説として読んでも違和感ありません。現実のバイオインフォマティックスの分野では、昨年4月14日にヒトゲノム計画によりの解析が終了しました。そのプロジェクトが大きく前進したのは、セレラ・ジェノミクスというベンチャー企業がスーパーコンピューターを駆使して解析したと報道されています。まさにトム・カーターのジーン・スコープさながらです。
ただ解析が終了したといっても、読み取りが終了しただけで、DNAのどの部分が遺伝情報としてどういう意味を持つのかは、今まさにコンピュータで解析を行っているようで、まあまだジーン・スコープのようにはいかないようですね。
この話、ビジュアル的に派手なシーンがたくさんあるなあと思ってたら、すでにディズニーが映画化の権利を買っているそうです。おそらく小説で読むより映画で見たほうが楽しめると思う話です。早く映画化されないかなぁ?
マイクル コーディ 著
ジャンル 小説
発行 徳間書店
四六版 510ページ
価格 1,890円
桐野夏生さん「OUT」、受賞逃す 米エドガー賞米国ニューヨークで29日夜(日本時間30日午前)、第58回エドガー賞授賞式(アメリカ探偵作家クラブ主催)が開かれ、英国イアン・ランキンさんの「Resurrection Men」(邦題「甦る男」早川書房)が最優秀作品賞に選ばれた。日本人として初めて最優秀作品賞にノミネートされていた桐野夏生さんの「OUT」(英文版、講談社インターナショナル)は受賞を逃した。 4/30t付 朝日新聞より
ということで、読みました、OUT。
コンビニの弁当工場で夜パートで働く主婦4人。夫や子供とすれ違いになる夜のパートに出ているのは夜のパートの方が給料がいいから。夜働くから、夫や子供など 家族とすれ違い。いやむしろすれ違いになることを望んでいるのかもしれない。
この主婦4人はとりわけ親しい訳でもなく、ただパート先で一緒になっているだけ、むしろ性格の違いからお互いさげずんでいたりする。けれど、そのうちの一人が口論の末勢いあまって夫を殺してしまったことから、四人は...
いやー、人物描写が見事ですね。鬱屈した主婦の心情描写が見事です。なもんで、登場人物が鬱屈している分、全般的に雰囲気が暗い。ただ雰囲気が暗いけど、読み込ませるような文章力があります。まあハードボイルドってこんな感じですよね。
ただねー、読み終えて、なんかいまいちすっきりしないって感じを受けました。
ところで、冒頭にも書いたようにアメリカのミステリー賞であるエドガー賞にノミネートとのことですが、ミステリーってどういう定義(意味)なんですかね?探偵や刑事が出てきて、なんてことは言いませんが、謎解きがあるのがミステリーと思ってたけど、違うのかな?まあジャンルなんてどうでもいいと言えばいいのだけど。
桐野 夏生 著
ジャンル 小説
発行 講談社
四六版 447ページ
価格 2,100円
先日、占いでお金持ちセンス判定をしたら石油王クラスだったので、スイス銀行体験記という本を読んで来るべき将来に備えてましたが、同じ金融機関でもお世話になるのはコッチの方が可能性が高いだろうということで読んでみました。
まあ、いわゆる業界の暴露本ですね。サラ金会社に勤めていた筆者が体験した、お客の与信方法についてや、逃げ回る多重債務者、へんてこな社員、結構笑えます。無人融資の機械に映し出される人間模様なんかは大爆笑でした。
幸いにしてまだお世話になったことはありませんが、もし借りにいくことになったら思わずこの本のことを思い出して、店内をきょろきょろ、そしてにんまりしてしまうかも...(そんなことしたら貸してもらえないか?)
ほのぼの 湖太郎 著
ジャンル ルポルタージュ
出版 第三書館
265ページ
価格 1,260円
まもなく映画が封切られるこの話、とうとう二百五十万部を突破して、ノルウェイの森を抜いて歴代1位の発行部数だとか。韓国でも映画化の話もあるというこの話、この読書発電所でも、読了直後の初秋に読後感を書いてみましたが、ついたコメントは賛否両論。昨年に読んでからだいぶたったているので、そんな意見も頭に入れて再読してみました。
その感想は...やっぱ良いです。愛していた彼女を亡くした主人公の喪失感、彼女がいなくとも流れていく月日、そして彼女と過ごしたあの夏。描写がすばらしいと思います。
ただ否定的意見にもあったように文章が軽く、奥行きが無いのは否めません。読み返せばまた新たな発見があるような文章ではないのは確か。でも軽い文章だからこそ、素直に感情移入できるのでしょうね。普段本をあまり読まない人にお勧めかな?逆に読み込んでいる人にとっては物足りなさを感じる人が多いと思います。
最近、ジェットコースターのようと揶揄される、見逃すと訳が分からなくなってしまう連続ドラマや複雑な人間関係のモノから、シンプルな、ある意味古めかしいと感じるくらいの純粋なラブストーリーが見直されてきている気がします。冬のソナタのような韓国ドラマが流行っているのは、そんな理由からのような気がします。
まあ、もはや恋愛小説にときめく歳でもないオヂさんが言うのも...という気がするけど(苦笑)
片山 恭一 著
ジャンル 小説
発行 小学館
四六版 210ページ
価格 1,400円+税
失敗談から学ぶ成功のための30ヶ条 というサブタイトル通り、プログラム開発のSEとして働いていた筆者の失敗談や不条理な業界の内情をマンガとエッセイで綴っている本です。マンガの部分だけを読んでも状況がわかるし、さらに突っ込んだ部分はエッセイで書いてあります。
それを見ると...同じやねぇー、ワタシの状況と...
私はプログラム開発をしてる訳でもないし、いわゆるSEではないんだけど、同じ技術者として営業と一緒にお客さんのところへ行ったり、PM(プロジェクトマネージャー)的なことをしてるんで、ウンウンと頷くトコ非常に多し!そうなんだよなぁーと思ったり、こんなヘマしねぇぞと思ったり(そんなこと言ってるとわが身に降りかかったりするんですよね...)
あまりに身につまされる話ばっかりで、是非これから社会に出ようと思ってる理系の学生に読んで欲しい本です。ちなみに著者はHPを開設しており、その作品の一端をみることができますよ。
きたみりゅうじ 著
ジャンル ノンフィクション
出版 技術評論社
254ページ
価格 1,554円
遠距離夫婦赤道越え交換日記 さんのトコの記事に出ていた”あなたのお値段鑑定します”。
ちょいと、やってみた。そしたらだいぶ値段が低くて、クヤシイ!
で、気を取り直して、”お金持ちセンスを測定”にチャレンジ。こいつだとなんと私は”悪徳商人タイプ”で”石油王級”らしい、すばらしい!金持ちのピークは2027年だとか。ちょいと悪徳商人というのが気になるが、来るべき将来に向けて資金の運用先を考えなくては(笑)
ということで、図書館から借りてきました、「スイス銀行体験記」。石油王たるもの、スイス銀行に口座の二つ、三つもっていないとね(オイオイ)
いわゆるスイス銀行と呼ばれるのはプライベートバンクというもので、日本の銀行のように決済等を主流とするコマーシャルバンクと違い、フィナンシャルプランナーに近いものだとか。資産を増やすことではなく、孫やその子孫の世代まで、たとえ国がなくなろうとも一族の資産は減らさないようにする、それがプライベートバンクの目的。そもそもプライベートバンクの顧客の資産はン十億クラス以上が普通。手数料等を考慮すると1億円以上ないとペイしないし、3千万円くらいが最低の預け入れ金額らしい。
これら顧客から預かった資金は顧客と十分に打ち合わせをし、リターンとリスクなど顧客の要望やお金に対する考え方に応じて、プライベートバンクの名義で資金を運用する。こうすることによって、いわゆる匿名性の高さを保ち、また複数の顧客の資金とまとめて運用するので有利な条件で運用することが可能となるだそうです。
この本ではそういったスイスのプライベートバンクの概要の説明に加え、プライベートバンクを利用している日本人顧客4人(匿名ですが)のインタビュー、そして果敢にも1千5百万円でプライベートバンクに口座を開いてしまった著者の体験談で構成されます。
著者は数年後に続編を書くつもりでいるようですので、来るべき将来に備え、そちらも期待したいと思います(笑)
野地秩嘉 著
ジャンル ルポルタージュ
出版 ダイヤモンド社
216ページ
価格 1,575円
美術館とかに行って絵を見たりするとき、その絵が本物かどうか疑ったりしますか?そもそも誰の絵かなんて、そんなこと気にしない?贋作だって本物と見間違えるくらい技量があり、その絵が気に入るかどうかが重要でどっちだっていいような気がします。
ある画家の技法や主題をまねたら、それは贋作になるのかというとそうではないですよね?その絵がすばらしく気に入れば、誰が書いたのかなんていうのは本当はどうでもいい話です。つまり画家の名前が絵の良し悪しを判断するものでは無いはずです。
ただ美術館に見に行く時などは、画家の名前が一つの目安であるのは間違いありません。でもだからといって、まねて書いた絵をまねた画家の作品だと称すると、それは犯罪、その絵は立派な偽物となってしまいます。
トム・キーティングはイギリスの労働階級に生まれ、本当に絵が好きで絵の勉強にのめり込み、そして絵の修復などを行ったきた人です。ところが勉強や修復などの経験を積むうちに、いろいろな画家の技法を身につけ、そして時々その画家が乗り移ったかのごとく、まるでその画家が書いたような絵を書き上げることができたのです。その絵を、彼の友人達は画家のサインを捏造した上で、ゴヤ、レンブラント等の作品と称して売ってしまったのです。その数は二千点以上。
そして、その事件の発覚は、世界的に有名な画廊やオークション会社を巻き込む一大スキャンダルとなったのでした。
この本はその贋作者トム・キーティングの半生を綴った第一部と、そもそもそれらの贋作が本物として流通してしまう美術界の問題についてリポートした第二部とに分かれています。
贋作者にしろ、美術界にしろ日頃あまり接点の無いことですので、非常に興味深く面白く読めました。
第一部
トム・キーティング 著
フランク・ノーマン(採録)
第二部
ジェラルディン・ノーマン 著
瀧口 進 訳
ジャンル ノンフィクション
出版 新潮社
306ページ
※ 絶版 図書館で探して下さい。
夜、満開の桜をひとり見ると、昼間の明るい日差しの中で咲き誇る桜や、大勢で宴会をしながらふと見上げる桜とも違う美しさを感じます。薄暗い闇の中で、ぽっと浮かび上がる白い桜の花。凜として神々しく、人を寄せ付けない、ある種の怖さを感じる美しさです。
そんな時ふと思い出すのは、「桜の樹の下には死体が埋まっている」という話。あの満開の桜の美しさ、はかなさ、そして怖さについて、なるほどと思わせる説得力があります。
この話のもとになったのは、梶井基次郎の「桜の樹の下」。昭和初期の作家であり、若くして夭折した梶井の、病気療養中に伊豆で書いたといわれるこの作品には、有名なこのフレーズだけでなく、美しい桜の樹の下に埋まっていると想像される死体の描写など、充分すぎるくらいインパクトがあります。
「桜の樹の下」が収められている梶井唯一の著作集「檸檬」を、文庫本で読みましたが、そのほかの作品も「城のある町にて」や「橡の花」など若い時分の例えようのない不安感、なんとなく感じる閉塞感を見事に描いている気がします。
梶井基次郎の作品は死後50年経っているため著作権が切れており、青空文庫等でフリーで読む事ができます。「桜の樹の下」は比較的短い話ですので、ちょっとこちらで読んでみては如何ですか?
梶井 基次郎 著
ジャンル 小説
出版 集英社
247ページ
価格 380円
桜餅のとなりに、柏餅が並ぶ季節になってきました。考えてみると桜餅や柏餅のほかにも葉っぱを利用した物としては、笹の葉を利用したチマキや笹の葉寿司、お弁当の料理の仕切りに使うバレンや朴葉味噌などいろいろあります。
この本では日本における樹木の料理への使用方法について、そのものを食べる・包む・香りづける・色づけるなど9つの分類に従って紹介しています。決して料理のレシピなどではなく、雑学っぽくエッセイ風にまとめてあるので、スッと読めます。
実は以前に書いた桜餅の葉っぱの毒性などはこの本がネタ本です。
この本がからもう一つネタをひっぱると、桜餅に道明寺と長命寺と関東、関西で違いがあるように、柏餅にも違いがあるそうです。東西で包む葉っぱが違うそうです。関東ではその名の通り柏葉を使いますが、関西ではサルトリイバラの葉を使うことが多いそうです。(本当ですか?関西の方)
桜餅の場合この辺りでも並べて売ってますから分かりますけど、柏餅はせいぜい中の餡違い(みそあん・こしあん)で売っているくらいですね。ひょっとして餡違いも関東、関西で違いがあるのかな?
渡辺弘之 著
ジャンル ノンフィクション
出版 研成社
122ページ
価格 1,890円
言葉の力。このタイトルを見てピンと来た人はどれだけいるでしょうか?
桜の時期、毎年のようにある話を思い出します。問題ない程度に載せると...
「この色は何から取り出したんですか」
「桜からです」
と志村さんは答えた。素人の気安さで、私はすぐに桜の色びらを煮詰めて色を取り出したものだろうと思った。実際は、これは桜の皮から取り出した色なのだった。あの黒っぽいゴツゴツした桜の皮から、この美しいピンクの色がとれるのだという。志村さんは続けてこう教えてくれた。この桜色は、一年中どの季節でもとれるわけではない。桜の花が咲く直前のころ、山の桜の皮をもらってきて染めると、こんな、上気したような、えもいわれぬ色が取り出せるのだ、と。
大岡 信 著
講談社学術文庫 詩・ことば・人間 「言葉の力」 より
この部分を読んで思い出した人は多いのではないでしょうか?
そうです。中学の教科書です。「桜というのは花びらだけが桜色なのでなく、桜の木全体で桜色なのだ」という話に例え、言葉というのは表面的な意味だけではなく、その背後にはたくさんの意味がこめられているという話です。
桜の季節になると、いつもこの話を思い出します。桜の樹をみるたびに、木の皮もなんとなくピンクに見えてきます。実際に染めて見た学校もあるようです。今回<桜.BLOG>企画があったのでネットで調べてみました。驚いたことにこの話、今の教科書にも載っています。つまり私が中学生だった頃から使っている!いったい何年前からだろう(遠い目...苦笑)。
もちろんエリアや学校によっても使う教科書が違うと思いますので、みなさん全員がこの話を知っているとは限りませんが、懐かしいと思いませんか?ちなみに私が国語を勉強した光村図書のHPでは教科書タイムとラベルというコーナーがあり、時代別の教科書に掲載されていたたお話の目次があります。なかなか面白いですよ。
詩・ことば・人間
<講談社学術文庫>
自分の運転する車で交通事故を起こし、植物人間状態から立ち直った克己は、病院のみんなから奇跡の人と呼ばれている。ただ事故前の一切の記憶を失ったばかりか、知能程度も子供に戻ってしまった。けれど赤ちゃんのような状態から教科書と頼りに懸命に勉強し、8年かけてようやく中学程度までに回復した。だから病院の仲間はみんな克己にあやかろうとしている。
いよいよ退院の日が近づいてきた。ずいぶん前に死んだ父親に続いて、献身的は介護をしてくれた母親も死んでしまったから、これからは一人で生きていかなくちゃならない。でも周りの人の暖かい励ましと支援でなんとかやっていけそうだ。
ただひとつ...。失った記憶を取り戻したい。けど、そのことに触れようとすると院長先生もみんな教えてくれない。なぜ? 自分の家に戻っても、あってよさそうな、事故の前後の写真も無い。自分はいったい誰?
記憶を失った主人公が記憶を取り戻すべく、いろいろともがき苦しみ真相に迫る小説です。結末は意外でした(救いがないけど)。
正直、真保裕一の小説って期待して読んだけど、今一歩、面白くありませんでした。
奇跡の人
真保裕一 著
ジャンル 小説
出版 角川書店
405ページ 四六版
価格 1,700円+税
どんな動物でも一生にうつ心臓の鼓動はだいたい同じって話、聞いたことがありますか?
この本はあらゆる生物、それこそミジンコからゾウまで、サイズの違いによる研究をテーマにした本です。
ネズミの生涯は数年であるけど、ゾウは百年にまでおよびます。けれど時間の流れは大きさによって異なり、同じ1秒でも意味が違う。つまり哺乳類の場合ではどんなものでも、一生に打つ心臓の鼓動は約20億回、一生にする呼吸は約5億回だそうです。ゾウでも、ネズミでも、人間でも。
その他にも大きい生物は本当に大食いか?とか単純な構造の生物に大きいものがないのはなぜか?等サイズにかかわる興味深い話が載っています。
ほかにも昆虫や植物の体の作り方、珊瑚のような動かない動物やウニ・ヒトデといったちょっとだけ動く棘皮動物についても解説してあり、非常に面白かったです。
本川達雄 著
ジャンル ノンフィクション
出版 中央公論新社
230ページ 新書判
価格 660円+税
アフリカというと何を思い浮かべますか?砂漠やジャングルといた厳しいけど美しい自然?それとも内戦や飢餓といった人間のネガティブな部分?新聞や雑誌等のメディアで刷り込まれるアフリカのイメージってそんなところでしょうか?
この本は2002年2月28日、アフリカ大陸のあちこちで人々の生活をカメラマンが撮った写真を集めたものです。いわゆる”アフリカ”の写真はありません。アフリカでの”生活の様子”が生き生きと映しています。
南アフリカでは、ボランティアのおばさんたちが道一杯に広がりながら、箒を振りかざし、踊りながらやってくる。ケニアではメダルを目指して若者がトレーニングに励む。そして夜ディスコで踊る若者。
みんな生き生きしています。なんか日本の方が活気がないような気さえします。
この本の収益はアフリカのエイズ教育資金に使われます。
ジャンル 写真集
出版 Pub Group West (洋書)
288ページ
大人の言葉って不思議ですよね。ふだん何げなく使ってても、ふと我に返ると意味不明だったりします。
初対面でも「お世話になってます。」 「宿題」を持ち帰ったり、価格を「勉強」したり。
オトナ語を使うと、桃太郎はやり手の営業マンみたいだし、男女の別れ話はシビアになって笑えます。
この本は糸井重里のHP「ほぼ日(ほぼ日刊イトイ新聞)」で話題になったオトナ語の謎。コーナーを単行本化したものです。ということはHPを見れば本を買わなくて済むと思ったあなた、正解です。若干の差はあれど読むことができます。でも始めから読むのであればやっぱり紙の本の方がいいですよ。
佐藤満彦 著
ジャンル エンターテーメント
出版 東京糸井重里事務所
224ページ
価格 1,300円
誰もが知ってるガリレオやニュートン。でもそれらの偉人がどんな人だったか?「それでも地球は動いている」とつぶやいたとか、リンゴの木の話とかは知ってても、どういう階級に生まれ、どのように生計を立てていたのかは知らないのが普通ですよね。
この本では科学者がパトロンの庇護を受けていたコペルニクスの時代から、職業的科学者として成り立つようになったファラデーの時代までその家計や人物像をまとめた本です。
コペルニクスは医者としても政治家としても活躍していたとか、ガリレオは職を求めいろいろな国を転々としたなどの話は興味をひきます。
中でもガリレオが宗教裁判にかけられる発端となった地動説の本は、教会の検閲を受けてから出版されているという話なんてビックリ。それじゃなんで宗教裁判なの?となりますよね。それはガリレオのパトロンでもあり後ろ盾でもあった国王が亡くなり、その反動で誹謗中傷が噴き出てたからだからそうです。
この本はあなたの「ヘエー」を引き出します。必ずほかの人に話したくなることばかりです。
佐藤満彦 著
ジャンル ノンフィクション
出版 中央公論新社
281ページ 新書判
価格 840円+税
ごぞんじ無敵の体当たり(場当たり?)漫画家、西原理恵子が放つ「できるかな」シリーズ第3弾!
第一弾では手作り放射能測定器を持って「もんじゅ」へGo!第2弾では理学博士を使って作ったロボットでロボット相撲に参戦。そして今回は親方日の丸に反旗を翻し、脱税できるかな?池袋のキャバレーに潜入し、ホステスできるかな?とやりたい放題。
最近だんだんネタ切れというかマンネリ気味ですが、なかなかどうしてサイバラワールドに引き込まれます。このメチャクチャさが小市民の私にはマネなどできるはずもなく、でも一種の爽快感を覚えます。
しかし...前からブックカバーが派手だったけど、とうとうやっちゃいました。なんと色は蛍光かかったショッキングピンク!これだけでインパクトあります。
西原理恵子 著
ジャンル エンターテーメント
出版 扶桑社
142ページ
価格 1,000円
本のタイトル作「デッドエンドの想い出」を含む短編集。全部で5作品入っていますが、どれもほんわかした陽だまりのような話ばかりです。よしもとばなな らしいと言えばそうかも。タイトル作よりむしろ一番初めの「幽霊の家」が一番印象に残っています。気のいい男の子と女の子のラブストーリーです。変わらないってことは悪いってことではない。むしろ幸せなことかもしれないって考えさせられます。
その他にも「おかあさーん!」にでてくる女の子は確かに大変な経験をしたんだけど、まわりの人達に支えられてなんとかやっていけそうだし、「デッドエンドの思い出」の主人公は失恋のショックを叔父さんの知り会いの店で働く男の子に励まされて何とか立ち直る。安心して読めますし、読んであったかくなれます。
今の季節、窓際で日向ぼっこしながら読むのに最適かも。けど反面、刺激が無くてつまらんという見方もあるなぁ。
よしもとばなな 著
ジャンル 小説
出版 文芸春秋
232ページ 四六版
価格 1,143円+税
私のいる幼稚園に転入してきたウメ子は他の子とはちょっと違う。私の苦手なジャングルジムだって、てっぺんまでスルスルと登るし、みんなが逆らえないユカちゃんにだって遠慮はない。着ている服だって真っ赤なエプロンドレスだったり、ロビンフッドみたいな緑の服とか変な服ばっかり。そんなウメ子にはお父さんがいない。お母さんとの二人で暮らしている。大きくなったらどこにいるかわからないお父さんを探しにいくだって...。
時々街にやってくるお兄ちゃんの大好きな紙芝居屋の源さんは、ウメ子のお父さんを知っているみたいだ。ウメ子のお母さんの古い友達。ある日久しぶりに街にやって来た源さんは、今度ウメ子のお父さんに会いに行くと言う。それを知ったウメ子は...
幼稚園児のお話です。面白いんだけと、ふと我に返ると、幼稚園児がこんな目的のある行動を取るかというと...?せめて小学生からですよねぇ。ちょっと釈然しないなぁ。まあ確かに中学生になって振り返っている体裁を取っているけどね。
阿川佐和子 著
ジャンル 小説
出版 小学館
258ページ 四六版
価格 1,500円+税
文庫版有り
うだつの上がらないサイエンスライターの真一は、ピンチヒッターでインタビューした信託銀行のエリートである梨香子となぜか付き合い始め、そしてとうとう結婚に。美人でスタイルも良く頭も切れるそんな梨香子だが、結婚生活を始めてから今まで見せたことのない裏の顔を見せ始めた。女らしく と言われることに異常なほど 反応し、鬼のような形相で当たり散らす。身の回りのことがまったくできず、料理はもちろん洗濯物にいたってはカビが生える始末。そんな彼女が身ごもった時、真一は...。
この本は篠田節子さんの仲間である青山智樹さんの子育て奮闘を基に、劇中劇ならぬ小説中日記を青山さんが書き、それをベースに篠田さんが小説仕立てにしたものです。したがって二人の作家の共作なのですが、そこがやはりネックで小説中日記の部分が全体の流れの中で浮いてしまっている感じがします。しかし実感のこもった日記部分は、切り出して読んでみるとパパになるということの戸惑いと期待が良く込められてます。
でもオーバーなくらいの人物設定やストーリーなどが面白いので、やはり小説として割り切って全部篠田さんが書いたほうが(あるいは日記部分に手を入れるか)良かったような気がします。TVドラマになってたようですね。
篠田節子 著(作中育児日記 青山智樹)
ジャンル 小説
出版 朝日新聞社
312ページ 四六版
価格 1,500円
文庫版有り
珍しく、色々な文学賞とかの受賞やノミネート前に読んでいた本です。
といってもザウルスのブンコビューアーなんで、いわゆる電子書籍として読みました。だもんでひょっとしたら、感想は紙の本と違うかも知れません。
高校に入学して仲のいい友達もできた頃、クラスメートから浮いてる私(ハツ)と にな川。ひょんなことからよく話をするようになったけど、にな川はミョーでオタク。思わず蹴りを入れたくなる。友達のつもりはないし、当然恋人ってわけでもない 微妙な関係。
ハッキリいって盛り上がりもないし、どってこと無い話です。読んだのは昨年だけど、読んだことを忘れてたぐらい。でもこの微妙な関係ってヤツは書くのもそうだし、読んで共感するのも年代が限られるかもね。(オヂさんにはもうわからないかも...淋しい)
蹴りたい背中<芥川賞受賞作品>
綿矢りさ 著
ジャンル:小説
ザウルスセレクト文庫
300kB
価格:670円
普通の書籍バージョンは
蹴りたい背中<芥川賞受賞作品>
綿矢りさ 著
出版 河出書房新社
142ページ 四六版
価格 1,000円
先日、国立近代美術館でイサム・ノグチ展を観たのを機に、イサム・ノグチについて知りたくなり、図書館で伝記を借りて来ました。
やっぱりイサム・ノグチといえば、和紙を使った有名な「あかり」シリーズでしょう。洒落たインテリアショップや雑誌などで良く見かけます。私も「あかり」でイサム・ノグチを知りました。その後イサム・ノグチという表記から彼が日系二世であり、彫刻家であったことを知りました。ただ大抵の人がそうであるように私も知っていたのはそこまででした。
彼は彫刻家であるといっても普通の彫刻家の枠に捕らわれず、彫刻を単なる一つのモノではなく空間を構成する一つの要素として捕らえ、作品はいわゆる彫刻品だけでなく空間をプロデュースした庭とか公園と多岐にわたっています。
その彼の作品の根底には二世であるがゆえの苦しみ、日本でもアメリカでも自分を受け入れてもらえない「宿命の越境者」としての苦しみがあるようです。
しかしながら、ハンサムな彼は数多くの女性と浮名を流しました。メキシコの女性画家として有名なフリンダ・カーロと不倫による騒動を起こし、また李香蘭で知られる山口淑子と結婚し北鎌倉の魯山人の離れを借りて新婚生活を過ごしています。山口淑子とは結局別れることになりますが、魯山人の離れで過ごした時期は彼にとって幸せであったように思えます。
やがて彼は日本とアメリカを行き来するうちに、日本三大石材産地の一つである四国の牟礼で晩年の彼を支える石匠 和泉正敏と出会います。和泉は個人として共に作品を仕上げ、彼の実家 和泉石材店としてもイサムの日本での活動を支援するなど、公私にわたりイサムを支援しイサムになくてはならない人となります。やがて和泉は丸亀市にあった築二百年の農家を移築し、イサムの日本における拠点として提供します。当初煤と煙で真っ黒であったその家をイサムは「こんなお化け屋敷に住むのはいや」と拒絶しますが、修復作業を見ているうちにのめり込み、やがて「イサム家」と呼ばれるようになります。(イサム家はやがてイサム・ノグチ庭園美術館としてオープンします)
晩年、彼は和泉のいる日本の牟礼とミケランジェロを輩出したイタリアのピエトラサンタ、そしてニューヨークを転々としながら、最後までアグレッシブに創作活動を送り、そして1988年12月30日に他界しました。
そんな彼が最後までこだわり続けた作品のひとつが芸術作品として捉えて貰えなかった「あかり」シリーズであると聞くと、普段なにげなく見ている「あかり」も感慨深いものがあります。またもう一つこだわっていたもの、それはニューヨークでは何度もコンペに応募しながら、採用されることの無かった「プレイマウンテイン」...札幌市郊外のモエレ沼公園(1998年7月一部開園 2004年完成予定)として実現します。
最後まで「越境者」としての作品を作り続けたイサムですが、幼少時代を過ごした日本での自然風景、魯山人の側で過ごし影響を受けた新婚時代、そして牟礼での生活と充分その感性は「越境者」ではなく、「日本人として」の感性のように感じました。
この本はイサム・ノグチの生涯を綴った伝記なのですが、一気に読ませる文章力、過不足無く調べ盛り込まれた中身、非常に面白い本でした。
ps.サイトで本の情報を調べて知りましたが、第22回講談社ノンフィクション賞受賞だったんですね。
ドウス昌代 著
ジャンル ノンフィクション(伝記)
出版 講談社
397ページ(上)/389ページ(下) 四六版
上下 各 2,000円
※ 講談社文庫版もあり
「罪を憎んで人を恨まず」って、言葉がありますよね。
宗教用語?真の意味はよくわからないけど、「罪を犯した人、その人を恨むのでは無く、恨むなら罪を犯さざろう得なかった環境(社会?)を恨みなさいよ」という事でしょうか。
けれど人間ってそうそこまで達観した境地にはなかなか至らないもので、被害を被った人は当然としても事件に関係の無い人であっても、罪を犯した人を恨み「アイツは犯罪者だ」とレッテルを貼る。そしてそれは犯罪者本人だけでなく、その家族にまで貼られてしまう。アイツは「殺人者の弟だ」と...
この本は弟のために罪を犯し服役中のた兄からの「手紙」と、殺人者の弟だという負い目をもった主人公の生活と心情を綴った話です。
犯罪者の弟が感じる疎外感。兄のことを隠して生活していてもやがてはバレてしまう。そのとたん腫れ物に触るように、あるいは露骨に自分たちの周りから弾き出そうとする人。なかには以前と変わりなくつきあってくれる人もいます。そしてとうとう、ある決心をした主人公に見せられた手紙。そこから感動のラストへと続きます。
読み終えてなんかスッキリしない(救いが無い)話ですが、東野圭吾の話の紡ぎ方に旨く、引き込まれます。
東野圭吾 著
ジャンル 小説
出版 毎日新聞社
357ページ(四六版)
価格 1,800円
シエスタおじさん。青空に浮かぶその人は空にぷかぷかと浮かび寝ている。
なにをするわけでもないが、空に浮かぶ姿を見ると幸せになれるとも言われている。
激しく動き回るときはなにかが起こるとも言われている。
ほとんど迷信の権化のようなおじさんと母を捜しにでかけたぼくとの話です。でもシエスタおじさんとぼくは会話をするワケでなく、ぼくの旅の中でところどころで寝ているだけ。
ぼくの旅では、様々な宗教談義が出てきます(さわりですけど)。よく分からないなんてことない話のようでいて、深い話なのかも知れない。ちょっと不思議なお話でした。
シエスタおじさん
青空に浮かぶその人はすべてを知っている
小暮満寿雄 著
ジャンル 小説
出版 文春ネスコ
158ページ (B6)
価格 1,350円
主人公の進一は12歳。
1963年、父親の破産でたった一人で父の戦友の九州の炭鉱町に預けられ、そこから始まる少年の冒険物語です。都会育ちだった進一が、炭鉱の町の子供たちや荒くれの大人にもまれ、逞しくなっていきます。
いまどきの子供は塾にTVゲーム、ホントに外で遊ばなくなったようですが、今の子供ととそして悪ガキとどっちが良かったか。でも子供だけではないですね。預けられた先の父親は昔の頑固親父そのもの。すぐ鉄槌が下るような親ですが、愛情が深いからというのがいろいろなシーンから滲みでます。それに対し進一の父親はある意味今日的。
始めの不安な出会いから、親友となった竹ちゃんとのヨットでの冒険、そしてラストの別れまで一気に読みました。 坪田譲治文学賞受賞作
上野哲也 著
ジャンル 小説
出版 講談社(講談社文庫)
317ページ
価格 619円
最近、この手の本ばっかりですが...
タイトルを見ると漂流記の魅力について解説した本のような気がしますが、どうしてこれは立派な漂流記そのものです。
1793年に遭難し、ロシアに漂着した若宮丸の乗組員が10年後かけ、日本人として初めて世界を一周し帰国した様子を描いた物語です。ロシアに漂着というと、どうしても大黒屋光太夫の話が有名ですが、それにもおとらず苦節の日々を過ごしています。
若宮丸の場合はシベリアを横断してロシア皇帝に拝謁するまでは一緒ですが、大黒屋光太夫の場合と違い、そこから大西洋を横断。そして南アメリカ大陸のホーン岬を回って、太平洋に出てハワイ経由で日本に帰国します。まさに世界一周!
鎖国を守ろうとする幕府と交易を迫るロシア。その交渉の道具としてロシア側に利用されて帰国することができたのですが、鎖国の妨げになってはと冷たい態度をとる幕府。その狭間で、せっかく日本に帰国したというのに、帰郷もできず出島から出れない若宮丸の乗組員。気を触れるものもでてしまいます。ようやく最後は帰郷することもできますが、その頃海外に出た日本人がどう扱われていたのかがよく分かります。
非常に興味深い内容なのですが、もう少し詳しく読みたいと思ってしまいました。逆を言うと軽く読めます。
吉村昭 著
新潮新書
191ページ
680円
台風が来たあとなどに浜辺にでると様々なものが流れ着いてますよね。
見知らぬ文字のポリ容器や場合によっては椰子の実など。日本は島国でしかも海岸線が長いことから昔からいろんなものが流れついてきました。その中でも大きいのが船そのもの。しかも流れ着いた船の中に見られぬ格好をした人が乗ってたら...
この本は江戸時代から明治初期にかけて、日本に漂着した異国船の話です。
御宿に漂着したサン・フランシスコ号の場合、漂着時に村民総出で乗組員を助け、漂着した積荷はきちんと集めて返したことが感謝された。(当時の世界情勢の中では漂着物は拾った人のものとなるのが当たり前、下手すれば漂着した人は皆殺しで積荷を奪われるのが常識だったそうです) それが縁で御宿の町は約400年後の1978年にメキシコの大統領を迎えた...。
大分に流れ着いたリーフデ号の場合、その船尾に飾られていたエラスムス(宗教改革の発端となった「痴愚神礼賛」を書いたオランダ人)の像が、その後栃木県佐野市で「アズキ砥ぎばばあ」として祭られた...。
などなど、全部で8隻の異国船の漂着時の記録とそれを発端とする騒動や近年の交流について書いた本です。
異国船漂着物語
難破船と、彼らを救った浜辺の住民たちとの交流秘話
著者 松島駿二郎
ジャンル ノンフィクション
出版 JTB
253ページ
1,500円
吉本ばなな(最近、よしもとばなな に変えたらしいが)さんの本
どうも、と売れてる作家ってなんだかそれに乗るのがやな感じがして、結構読まず嫌いだったりする。(売れてる時って「けっ!」って感じなんですよね) でもそういう作家の中でも、後で読んだエッセイやノンフィクションで気になり、そして気に入りの作家となることって多いんです。
村上春樹の場合は、「アンダーグラウンド」(地下鉄サリン事件の被害者のインタビュー集)がきっかけ。その切り口、文章に「この人の小説ってどんな感じだろう?」って気を起こさせました。
この吉本ばななの場合、今は廃刊になってしまったSINRAって雑誌に、沖縄あたりの離島の旅行記が載っていて、いつか読んでみたいと思いました。
今までなかなか縁遠く読んでませんでしたが、今回図書館で思い出し借りてきたのがこの「TUGUMI つぐみ」です。(単に忘れていただけという話も)
体が弱いけどそれを補うほど有り余るエネルギッシュな従妹のつぐみ。彼女が引き起こす一夏の騒動を、主人公の目を通してつづってます。一途な、でも場合によっては残虐なほど鋭いつぐみ。こんな娘周りにいたら大変だ。
PS.よくよく考えると、「世界の中心で、愛を叫ぶ」とおんなじ位、ありがちに感じるシュチエーション(でも実生活ではあまり聴かないだけどね)
吉本 ばなな 著
ジャンル 小説
中央公論社
234ページ
価格 1,030円
なんてタイトル...
30過ぎのオヂさんが買うには、いや普通のOLでもこっぱずかしいに違いない。救いは装丁の中でタイトルの字が小さく目立たないところかな?
中身はタイトル通り恋人を亡くした高校生の物語という陳腐な設定ですが...すごく良いです。今まで読んだラブストーリーの中で1,2を争うって感じかな(村上春樹の「国境の南、太陽の西」と競います)。
本屋で何気なく手にとって、数ページを読んだだけで引き込まれて買ってしまいました。彼女を亡くした喪失感が、彼女と過ごした日々が、お構いなしに流れていく日常の中でくっきりと浮かびあがります。
どちらかというと速読するタイプなんですが、じっくりと染み入るように読みました(といっても2日で読んじゃいましたが...)。主人公だけでなく祖父の恋も絡めていろいろ考えさせられるところもあり、何回も読み返しそうです。
初版は一昨年の四月なんですが、最近ベストセラーとなっているようです。私が買った本が第十五刷で発行が今年の九月二十日(おいおい来週だよ)。大きい本屋の売り上げランキングにも10位以内にはランキングしているし、来年の映画化も予定されてます。読んで損はない一冊です。
でも、タイトルが恥ずかしいなぁ。
なにもこんな大上段なタイトルつける理由もないのに...
片山 恭一 著
ジャンル 小説
発行 小学館
四六版 210ページ
価格 1,400円+税
仕事が忙しくなる前の、お盆に何冊か本を読みました。
そのうちの二冊が「夏みかんの午後」と「じーさん武勇伝」。前者は芸文社の「CittA」、後者は「小説現代」に掲載されたもの。2つの雑誌とも読んだことはないのですが、読者層が若い女性と若干年齢層が高そうな男性層と勝手に推測してます。
というのもこの二冊、かるーく読める小説なのですが内容はタイトルから想像されるとおりのそのままんま。
「夏みかんの午後」は、葉山で暮らし始めたフードスタイリストのちょいと洒落た生活に恋愛を絡めたいかにもトレンディー(ちょいと死語か)な話。
「じーさん武勇伝」は南の海を縦横無尽に駆け巡り、若い嫁さんをもらい、沈没船の財宝まで引き上げてしまうというスーパー爺さんの話。こんな爺さんいるかっ!て感じのスーパーじじい
それぞれの雑誌の読者の夢ものがたり(と勝手に想像してるけどあってるのだろうか?)をまんま小説にした感じです。
別に悪い意味でなく、かるく楽しみながら読めます。(きびしく言えばそれだけで、あとになにも残らないけど...)
そういえば、「夏みかんの午後」は装丁が結構いいです。
夏みかんの午後
著者 永井 宏
ジャンル 小説
出版 サンライト・ラボ
141ページ
530円
じーさん武勇伝
著者 竹内 真
ジャンル 小説
出版 講談社
242ページ
1,700円
十八世紀後半にルイ十六世の命を受け、世界一周を行う途中でヨーロッパ人には未開の地であった太平洋北西部の探検をしたラペールーズの航海記です。(当時日本人もあまり蝦夷地のことはよく分かってなかったけど) また、ルイ十六世の勅命には、「江戸や長崎といった太平洋岸では日本との交易は難しいだろうけど、北東部における交易の可能性を探れ」ということも含まれています。ようは江戸から遠い分、鎖国が徹底されてないのでは?ということですね。
ラペルーズは、フランスを出航して大西洋を横断し、ホーン岬を越えハワイを経由してアラスカへ、そしてマカオへ1787年4月に到着してます。そこからが本書の範囲である日本近海となります。マカオを出航したラペルーズは、対馬海峡を抜け能登半島沿岸に接近し、日本の船を確認しておきながら接触せず北上を続けます。
その後は日本海沿岸を北上し、サハリン西岸と大陸の間を北上し間宮海峡を抜けようとしますが幅と深さと風で断念し、サハリン西岸に沿って南下しヨーロッパ人として初めて宗谷海峡を抜けるのです。それを記念して海外では宗谷海峡のことをラペルーズ海峡というのが一般的だそうです。
このころアイヌの人たちだけが住んでいたサハリンは、ヨーロッパ人には太平洋北西部とは未開の地であったようです(当然日本人にとってもでしょうけど)。千島列島を北上し、ペトロハバロフスクにたどり着いて、文明人であるロシア人に会いほっとしたような記載があります。
しかしこの本、寄港地で本国に送られたラペルーズの航海日誌を基にしてますが、ラペルーズの性格的なものか客観的事実を淡々と記載していて、ちょっと読み物としてはいまいち盛り上がりに欠けます。ただヨーロッパ人が日本近海をどう捉えてたか、その頃の日本の状況はどうだったか、と考えるとなかなか興味深いものがあります。ちょうど、ラペールーズが日本海にいる頃、日本では松平定信が筆頭老中に就任し寛政改革を行っていた頃であり、また間宮林蔵によるサハリンの探検は1809年のことです。
ちなみにラペルーズは世界一周は叶わず、ソロモン諸島のバロコニ島で現地人に襲われて命を落とすのですが、その後のラペールズ捜索の経緯についても簡単に記載があります。
ラペルーズ世界周航期 日本近海編
ジャン・フランソワ・ガロー・ド・ラペルーズ 著
ミエ・ミュロー 編/小林 忠雄 編訳
出版 白水社 (※絶版)
272ページ
価格 4,500円
パリス・レヴュウ新人賞他の文学賞を受賞し、またアマゾン・コムの読者採点でも満点続出の本、らしい。(パリス・レヴュウ賞って、どんな賞だか知りませんが...)
確かに、この本、いいです。
短篇小説って、勢い日常生活の1シーンを切り取っただけってものになり易いと思いますが、この本はそんなことありません。特に日本の短篇小説は、映画のように表面的(シーン)な描写におちいって軽いものになりがちだと思いますが、この本では登場人物の内面もうまく切り取って描写してます。
それも、くどすぎることも無く足りないこともなく、ちょうど良い塩梅で文章が書かれており、読んでいて心地良いですね。
この本のコピーに「短篇小説でしか書けないこと」とありますが、本当にそのとおりです。
久々にまた読み返したいな、と思う短篇小説でした。私は「華麗なる奇術師」が好きですね。
巡礼者たち
エリザベス・ギルバート 著/岩本 正恵 訳
ジャンル 小説
出版 新潮社
四六版変形 302ページ
価格 2,000円
ゴッホ、ピカソ、ルノワール、ダリ、名画と呼ばれる美術の教科書に出てくるような絵、それが今誰が所有しているかわからない、という。
今から十数年前のバブル期に、安田火災が約58億円で購入して話題を呼んだゴッホの「ひまわり」に始まった日本人による名画の買いあさり。日本人による相次ぐ名画の購入は、ある意味、日本人における美術への関心を高めたという側面もある。また過去の歴史をひもとけば、時の勢いのある国に美術品が流入するのは自明の理だという。
しかし「名画は単なる美術品ではなく、人類共通の財産である」という認識をもった欧米の国々に比べ、日本では単なる土地建物といった不動産と同様の財産として扱われているという事実を、この本では突きつけられる。さらにはイトマン事件のように不透明な美術品取引慣行を悪用し、不正取引の道具に使われたりする実態が書かれている。
なにも絵画を購入した人だけが悪いのではない。事実、名画を購入したコレクターの多くは美術館等を作りコレクションを公開する計画をもっていた。ただバブルがはじけ、その計画が泡と消えただけである。バブルの崩壊により担保として差し押さえられた名画は、不動産と同様に購入価格と評価価格との差額が大きすぎ売れるに売れない。さらにはバブル景気で日本人によって購入されそして担保に押さえられたという事実は、そのプロヴァナンス(来歴)に汚点をつけられたという意識が欧米のコレクターに働くらしい。
日本のコレクターによって購入された名画は、そもそも個人で購入したのか自分の会社名義で購入したのかがわからない。そしてバブル崩壊後に担保として差し押さえたのは、誰なのかは全くわからなくなってしまった。しかし売るに売れない名画は、どこかの銀行やノンバンクによって、公開される訳でもなくかといって売られる訳でもなく、倉庫に「塩漬け」されている。つまり世間からは消え去るのだ。
今、失われた十年と言われる日本のバブル後を過ぎ不動産市場が動き始めているように、美術品も売買がされるようになってきた。ひそかに相対取引で国外に流出したり、ひっそりとオークションに出品されてきている。(だだし出品者は明かされない)
やがて、人類共通の財産である「消えた名画」もひょっこりと現れるのだろうか。
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図書館にあった本なのですが、美術書のコーナーにありました(笑)。確かにテーマは名画だけど純然たるノンフィクション。どういう基準で分類しているのかよくわからない。そしてこの本、文章は読みやすいのですが、バブル期の企業不正のカラクリ等の記述等あったりして、なかなか頭に入っていかず、読みえるのに非常に時間がかかってしまいました。
消えた名画を探して
糸井 恵 著
ジャンル ノンフィクション
出版 時事通信社
四六版 248ページ
価格 1,800円
スウェーデンの童話作家 リンドグレーンの代表作
子供のころ読んだ気がしますが、
嫁さんが図書館から借りてきたのを機に
もういちど(?)読んでみました。
訳わからん...。
ピッピという女の子が活躍する(?)話なんですが、
よく言えば自由奔放、悪く言えばデンパの入ってる子供。
子供らしい自由な発想といえば聞こえがいいけど、
振り回される周りが大変そう。
→ と、思うワタシは日本人なんだろうね。
ピッピもこの本以外に続編が2作ほどあるんだけど
同じ調子なのだろうか?
それとこの本、初版が1964年と40年近く経っていることもあり、
ちょっと訳が古い感じがする。
長くつしたのピッピ~世界一つよい女の子
リンドグレーン作品集 1
リンドグレーン 作/大塚 勇三 訳
ジャンル 児童文学
出版 岩波書店
A5版 264ページ
価格 1,700円
ご存じ、芥川賞受賞作。
本屋でぱらぱらめくり面白そうだけど、
自腹で購入までして読みたいと思えなかった。
図書館で借りようと思ったら、案の定予約だらけ。
しばらくほっておいたら、図書館の順番待ちは解消されたみたい。
こないだ近所の図書館で検索機でみたら、
閉架書庫にありました。(でもなんで閉架なんだろ)
非常に軽い(さっと読める)本なので
読み始めたらあっという間に読了。
”他人だから恋が始まる”ってコピーだけど、
恋までたどりつかない...。
今時の人間関係をさらりとつづってます。
ほんとにさらりと。
だからなんなのって感じで、頭に残らない。
きっと1ヶ月も立てば内容はすっかり忘れるでしょう。
と、そう思ってたんだけど、さっき読み直したら、
文体が軽いのは軽いんだけど、公園でのぼけーとしてるときの
とりとめのない頭の中の考えや公園の中の様子が生き生き描写されて
なかなか、いいかもしれない。
もしかすると主人公は人間じゃなく日比谷公園かもしれない。
脇役は駒沢公園ね。
最近、天気が悪いけど梅雨が明けたら、近所の大きい公園に言ってみよう。
パーク・ライフ
吉田 修一 著
ジャンル 小説/もう一篇 "flowers"を同時収録
出版 文芸春秋
四六判 184ページ
価格 1,238円(+税)
7/5読了,7/18二度目の読了
今日、本屋に行ったら...ありました「ウェブログ入門」。
ウェブログって何?から始まって、BLOGGERとMovable Typeの導入方法から
さらには、私みたいな
「HTMLって勉強してないからわかりませぇ~ん。
スタイルシートって、うーん。でもHPのデザインをいじりたいなぁ」
って人でもツボを押さえた解説があるので、この本を見れば、OK!
さらには応用編では、RSSの生成からトラックバックなど
よくわからないけどいろいろできそう。
「よおーし!やるぞー」って気にさせる。
これはと思い早速購入。
この本で勉強して、このサイトのデザインをかっちょえぇものにしたいっす。
まだぱらぱらとめくっただけだけど、とりあえず紹介。
全般的に中身はMovable Type中心ですね。
ウェブログ入門 −BloggerとMovable Typeではじめる−
田口 和裕/堀越 英美/ばるぼら/sawadaspecial 著
ジャンル 実用書
出版 翔泳社
B5変形版 320ページ CD-ROM付
価格 2,380円(+税)
7/17 購入
いつも新聞の折り込みに入っているマンションのちらし。
街角の不動産やの案件紹介。
つい、見入ってしまうことはありませんか?
この本はそういった不動産案件の間取りを集めたもの。
むろん普通の部屋じゃあ〜ありません。
なに、この壁! このスペースはなんに使うの?
なんで自分の部屋の風呂に入るのに、玄関を出なければならないの?
てな案件がびっしり。
設計段階で気がつかなかったのか?確信犯なのか?
でもこういう案件ってありますよね。
是非、案件を見てみたいものです。
ps.私の気になる案件best1は、83番。
間取りの手帖
佐藤和歌子 著
ジャンル ノンフィクション
出版 リトル・モア
新書サイズ変形 136ページ
価格 950円(+税)
7/14 読了